2022年03月22日21時46分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】3/22電力逼迫の警報を発する経産省の無策 山崎久隆

 3月22日の電力受給体制について、経産省は21日夜、東電管内について「電力需給逼迫警報」を出した。2011年の東日本太平洋沖地震を除けば初めて。22日の東電管内の電力需給の見通しが「供給予備率」3%以下になる見通し。 
 
 気象庁などは22日の東海、関東地方の予報は雨になるうえ気温も 
急激に下がり、真冬並みに冷える見通し。予報では東京都心の最高 
気温は5度、標高の高い所は雪が交じるとも。 
 
◎ 天候だけではない。3月16日に発生した最大震度6強、マグニ 
チュード7.4の福島県沖地震で火力発電所が10箇所以上停止し、 
その後復旧できていないのがあること。地震発生時にも需給バランスが崩れたため周波数が乱れ、210万戸以上の大規模停電になったが、こちらは地震発生からおよそ3時間後に全面復旧した。 
 
 しかし新地火力(相馬共同火力発電の石炭火力100万kWが2基)、広野火力6号機(東電の石炭火力60万kW)などは損傷が大きく、現在も止まったまま。東北電力の原町火力(石炭火力100万kWが2基)も被災しており、東電だけでなく東北電力もギリギリの状態。 
 これらの発電所は、東日本太平洋沖地震の際よりも今回の方が被害が大きいという。震源が近く、地震動が強く伝わったこともあるのだろう。 
 
 このような原因での逼迫は、この季節に急激に気温が下がるなど 
すると起こり得るので、その場合は節電を呼びかける他はない。 
 
◎ しかし東日本大震災から11年も経っているのに、やはり脆弱すぎるといわざるを得ない。特に、広域融通体制が、依然として電力事業者による設備投資に任せたままなので、西日本と東日本の連系線(注)が細すぎる。3・11東日本大震災時の計画停電も、東西連系の細さが原因だった。 
 
 日本の電力供給体制を、大きく変える仕組みを作らないと、この 
ような事態が何度も繰り返される。高圧直流送電技術を使えば、2000km以上離れた地点に大電力(1000万kWなど)を効率よく送電できる。 
 北海道から九州まで、直流回線を通して大電力を通せるようにすれば、北海道が逼迫した時に九州の太陽光から大電力を送る、などもできる。中小の再生可能エネルギー会社が自由に電力を売ることが出来る 
体制も確立できる。 
 このような仕組みを構築すれば、国民民主党の玉木代表のように 
電力が逼迫するなら「原発は動かすべき」などという発言には 
ならなくなる。 
 
 3月21日に東電が発表した22日の受給見通しを引用する。 
 
------------------------引用開始 
 当社は、電力の安定供給を維持すべく努めておりますが、22日の電力需給は極めて厳しい見通しであり、引き続き精査中ですが、想定される電力需要に対して供給力が十分確保できない見通しとなっております。 
 22日は朝から当社サービスエリアで電気をご使用いただく皆さまにおかれましては、ご家庭や職場などにおいて、不要な照明を消し、暖房温度の設定を20度とするなど、節電にご協力いただきますようお願いいたします。 
 
 翌日の電力使用見通し(3/22の見通し)ですが、現在、最新の情報を反映して精査しております。 
 電力使用見通しは、随時見直しをさせていただきます。 
 
「電気予報」による受給見通し 
需要ピーク時の見通しは「非常に厳しい」の「97%」予想最大電力(16時〜17時)4,840万kWに対して供給力は4,963万kW使用率ピーク時の見通しは「非常に厳しい」の「97%」予想電力(6時〜7時) 3,190万kWに対して供給力3,272万kw 
------------------------ 引用終了 
 
◎ 見て分かるとおり、5500万とか6000万とか、大きな需要ではないのに逼迫するのは、火力の停止が大きい。通常は需要が下がる時期なので検査などで止まっている火力が1000万kWほどあることや、地震により止まっている発電所が400万kWあることが理由だ。 
 なお、午前6時台に使用率がピークになるのは過去に経験がないことだと思われる。太陽光発電は日が昇って2時間ほどしないと出力が高くならない。これが大きい。夕方の16時台が需要ピークで逼迫するのも太陽光が理由だ。 
 3月21日の実績では昼台には1300万kWほど出力があるが、天候が悪くなる22日はもっと低いと見ていることと、需要ピークが日の暮れた17時台になるから。 
 
 (注):西日本と東日本の連系線 
 
 東京電力(東日本側)は50サイクル、中部電力(西日本側)は60 
サイクルと電源周波数が異なるため直接電力を送れない。そのため東西連系線が必要になる。 
 これは、2011年以降210万kWの規模にまで拡大されている。東京電力と中部電力の間に建設された「飛騨信濃周波数変換設備(FC)」が2021年3月31日から運用され、中電が岐阜県高山市内に90万kWの飛騨変換所を新設した。 
 一方、東電は既存の新信濃変電所に交直変換設備を増設し、飛騨と新信濃を結ぶ飛騨信濃直流幹線を建設。これで120万キロワットから210万キロワットに拡大することに 
なった。 
 
(たんぽぽ舎共同代表) 


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