2022年04月23日17時25分掲載  無料記事
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検証・メディア

2024年にトランプは復活するのか  オーストラリア版60ミニッツのTV報道

  過去10年で報道メディアは大きく変貌した。インターネット環境の発達で映像のクオリティが20世紀と比較にならない程上がり、海外の報道番組が次々とYouTubeなどで公開されているのである。つまり、グローバル化の波がついに報道の世界を襲っているのである。未だ日本は言語の壁がある、と旧世代は安心しているかもしれないが、外国語で動画が視聴ができる人ははるかに広範な情報を得ることができる時代と言える。 
 
  臭い前置きで恐縮である。しかし、そう書かざるを得なかったのは以下のオーストラリア版60ミニッツの報道をYouTubeで見たからである。これは海賊版でも何でもなく、公式チャンネルである。豪州の60ミニッツは先月、2024年のトランプ大統領復活はあり得るのか?という特集を組んだ。以下のリンクは、その特集だが、キャスターが様々なキーマンにインタビューをしている。その中核は2021年1月、バイデン大統領就任前に起きたトランプ支持者たちが議事堂に乱入した事件である。この事件が2024年にまで傷として、残り、それが米国民を2分しており、2024年にはそれが再度起きる可能性があると要人たちが指摘していることである。さらに、米軍の中に2020年の選挙はトランプが勝っていたのにバイデンに盗まれたと考える人々が25%から33%くらい存在し、退役の将軍たちの間にも広範にその考え方が存在していることである。番組では明言してはいないが、トランプ派のクーデターの可能性も2024年にあることを匂わせている。 
 
■The second coming of Donald Trump: Can he become president again? | 60 Minutes Australia 
https://www.youtube.com/watch?v=bU4JKV9Opt0 
 
  ニューヨークタイムズは、それに関連するが、4月20日のフランス大統領選前のTV討論の後、マクロンが再選される可能性はあるが、マリーヌ・ルペンが勝利したと報じている。 
https://www.nytimes.com/2022/04/22/opinion/emmanuel-macron-marine-le-pen.html 
  つまり、マクロンは討論では勝ったとしても、地方で生きる多くの人にマリーヌ・ルペンの生き方に共感する人がぐっと増えていることを伝えている。そして、負けるとしても前回は66%対33%だったが、今回、マリーヌ・ルペン候補は40%はつかむだろうと予測されている。マリーヌ・ルペンがシングルマザーで苦労してきたことや猫を飼っていることなど、フレンドリーなイメージをSNSで拡散していることが功を奏しているというのである。そして、マクロンにエリート臭を感じた人々がマリーヌ・ルペンを支持する可能性があるというのである。これは2016年のトランプ現象と通底している。 
 
  この数年後に世界がどうなっているか、未だに不透明である。極右勢力が反エリート主義を掲げて、世界の主流になる可能性は十分にある。オーストラリアの60ミニッツで、カナダの政治学者が語っていたが、2021年1月6日の議事堂乱入事件は民主主義に大きなダメージを与え、今も修復できていないのである。 


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