2022年05月04日02時03分掲載  無料記事
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欧州

フランスの野党共闘 社会党(PS)と服従しないフランス(LFI)の交渉が続く LFIと環境政党(EELV)と共産党(PC)の合意は成立

  フランスでは6月の国民議会選挙(フランスの国会下院に相当)に向けて、左派野党で共闘の話し合いが続いていた。大統領選では左派政党がバラバラに出馬したため、誰一人決戦にこぎつけることができなかったが、2位と僅差までこぎつけた服従しないフランス(LFI)のメランション党首が今回、盟主となって左派野党の集結を目指して交渉を加速させている。そして、ルモンドの最新記事によると、すでに共産党(PC)と環境政党(LLEV)は選挙協力で提携が成立した。残りは社会党である。 
 
  前に書いたように、社会党にはオランド元大統領ら重鎮たちがメランションLFI党首との共闘に批判的だとされる。ルモンドの記事ではオリビエ・フォール党首(書記長)がLSIとの交渉に臨んでいる模様が書かれているが、社会党の交渉団は1,選挙戦略、2,候補者の割り振り 3,共通の政策をめぐって3つのグループに分かれてLFIと話し合いを続けている。交渉妥結に可能性があるのは、オリビエ・フォール自身が野党共闘の必要性を確信していることだ。逆に言えば共闘しなければ共倒れとなって、極右と与党に大幅に議席を奪われたままに留まるだろう。2017年に左派が惨敗した結果、何が起きたかと言えば黄色いベスト運動だったことは記憶に新しい。しかも、左派がばらばらのままだと、有権者の中には投票しない人も増えていくのである。それは日本の状況と大差がない。 
 
  フランスは日本と異なり、議院内閣制ではなく、大統領制であるため、国民議会で多数を握れば行政府をコントロールすることができる。その意味で、この1か月は将来を考えれば非常に重要な期間である。1回目の投票は6月12日で、過半数を占めた候補者がいない選挙区は翌週の19日に決選投票が行われる。 
 
  今回のルモンドの記事を読めば、今年、完全に社会党と服従しないフランスの勢力バランスが逆転したことがうかがえる。左派政党のリーダーたちは野党共闘の交渉にLSIの本部に詣でているのだ。しかし、筆者はフランスにも日本の市民連合のような市民組織が生まれて、野党共闘を市民が間に入ってコントロールする方式の方が望ましいのではないかという気がする。というのも、各党の間のヘゲモニーや党利党略を越えるためには市民が間に入るべきだし、市民のための政治であるからだ。そして、日本の市民連合が素晴らしいところは様々な市民団体が市民連合に最初から参画していたところである。ともあれ、野党共闘がフランスで完全にまとまるまでまだ時間がかかりそうだ。 
https://www.lemonde.fr/elections-legislatives-2022/article/2022/05/03/la-france-insoumise-poursuit-son-marathon-de-discussions-pour-unir-la-gauche_6124521_6104324.html 


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