2022年05月07日20時48分掲載  無料記事
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難民

入管法改悪は火事場泥棒 弁護士ネットワークが集会を開催

 ウクライナからの難民・避難民の受け入れに併せて、政府が準難民(補完的保護)制度の創設を進めようとしている件について、入管法改悪阻止を訴え掛ける有志の弁護士からなる「入管を変える!弁護士ネットワーク」(弁護士ネット)が、5月6日に東京都内で集会を行った。集会で司会を務めた弁護士ネット共同代表の指宿昭一弁護士は、「政府は、昨年廃案に追い込んだ入管法改悪法案をウクライナからの避難者を保護するという名目で再び国会に出そうとしている」とし、これを「火事場泥棒的である」と表現した。 
 
 政府が国会への提出を目指しているとされる準難民(補完的保護)制度について、登壇した渡邉彰悟弁護士は、「補完的保護制度の有無でウクライナから避難した人々の保護の可否が決まるわけではない。補完的保護制度が設置されることで救われる者はほとんどいない」とし、ウクライナ避難民の受け入れを隠れ蓑に、入管法の改悪を進めようとする政府の姿勢を「姑息だ」と非難した。また、同じく登壇した高橋済弁護士は、「日本は政府から個別に把握・狙われていなければ難民ではないとする個別把握論を採用しており、これが本質的な問題点である」とした上で、「日本政府はこの問題点を必死に隠そうとしており、まるでDV(の加害者)のようだ」と日本の入管制度の問題点を指摘した。 
 
 当事者家族として、コンゴ出身で現在仮放免の状況にあるムセンブラ・サイさんを配偶者に持つムセンブラ晴佳さんも発言。ムセンブラさんは「夫が入管に行くと入管職員から、子供3人連れてコンゴに帰ったら、などと言われる」と、入管職員により恒常的に行われている人権侵害に憤りの声を上げた。また、ムセンブラさんは「双子の子供が5歳になるまでに夫に在留資格を与えてあげたいと思っていたが、その夢は叶いそうにない。私たちを苦しめる今の制度を早く変えたい」と述べ、今の入管制度の下で在留資格が認められずに苦しむ自身と家族の苦しみについて語った。 
 
 秋の臨時国会で入管法の改正案が出されるという噂も飛び交う中、指宿弁護士は「難民条約に加盟しているのにそれを履行しようとしない日本政府の姿勢は詐欺に等しい。日本政府の思惑を反映した最悪の改悪法案の成立を何としても阻止したい」と強い思いを口にした。弁護士ネットでは、今後も集会などを定期的に開催し、入管法の改悪阻止に向けた訴えかけを継続していく予定であるという。 


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