2022年07月31日13時54分掲載  無料記事
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国際

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と米仏首脳の蜜月 

7月15日、バイデン大統領がサウジアラビアを訪問してカショーギ記者殺しの黒幕で名高いムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談した。これについては、インターネットの世界で非難がごうごうと出た。どんな経済的な狙いがあろうとも、人権外交にこだわっているはずのバイデン大統領の二重基準がわかりやすく世界に映し出された格好となったからだ。 
https://www.theguardian.com/us-news/2022/jul/15/fist-bumps-as-joe-biden-arrives-to-reset-ties-with-pariah-saudi-arabia 
 英国のガーディアン紙は「Fist bumps as Joe Biden arrives to reset ties with ‘pariah’ Saudi Arabia」(中東訪問のジョー・バイデンが<のけ者>サウジアラビアとグータッチで関係をリセットへ」と見出しを付けた。ガーディアン紙は殺されたカショーギ記者の未亡人のツイート「あなたが約束したカショーギ殺しの責任追及とは、これですか?皇太子の次の殺人の犠牲者の血はあなたの手につくでしょう」を報じた。 
 
  同紙によると、バイデン大統領は首都のリヤドで記者たちから「カショーギ未亡人にメッセージをください」と詰め寄られていた。バイデン大統領は私の姿勢は全然変わっていないし、「今日訪問したのは皇太子と話すためじゃない」と答えた。だとしたら、皇太子にうまく乗せられたことになるだろう。何といってもグータッチは強烈だった。世界の<民主主義>のリーダーによる「もうあの話は今日で終わりにする、わかったな」というわかりやすいメッセージとなりえる構図だったからだ。実際、大統領が口先で何を言おうと、あの動画、あの写真が拡散されたら、今さら無駄であろう。 
 
 ホワイトハウスのウェブサイトでは、バイデン大統領はサルマン王と会談し、皇太子とはワーキンググループ的セッションもあった。いずれの際かは不明だが、カショーギ記者殺しについてもバイデン大統領が問いただしたことにはなっている。以下はホワイトハウスの発表から。彼=バイデン大統領。 
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/07/15/fact-sheet-results-of-bilateral-meeting-between-the-united-states-and-the-kingdom-of-saudi-arabia/ 
 ホワイトハウス「Over the course of the discussion, he raised specific cases of concern. He also raised the egregious murder of Jamal Khashoggi, described the accountability measures the United States has put in place in response, and received commitments with respect to reforms and institutional safeguards in place to guard against any such conduct in the future.」 
 
  しかし、さらに追い打ちをかけたのがパリでマクロン大統領が7月28日にムハンマド・ビン・サルマン皇太子を迎えたことだ。こちらはがっつり握手しているし、バイデン大統領のような「皇太子と話しに行ったわけじゃない」というような言い訳はできない。マクロン大統領は昨年、サウジアラビアを訪問しており、カショーギ記者殺害後に訪問した西側の最初の首脳とされている。いや愉快愉快。 
https://www.reuters.com/world/macron-hosts-saudi-crown-prince-with-oil-iran-rights-agenda-2022-07-28/ 
 
 
南海先生 


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