2022年08月21日21時04分掲載  無料記事
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政治

野党共闘の柱に2015年の安保法制の撤廃を  集団的自衛権という集団的妄想

  私は故安倍首相が力づくで強行採決で通した2015年の安保法制(有事法制)は違憲だと考え、野党共闘はこれまで通り、これを撤廃することを今後も共通政策に盛り込むべきだと考えています。というのも、憲法改正をしないまま、憲法解釈だけを無理やり変更し、さらに法律の制定によって憲法を停止させることはそもそも民主主義へのクーデターだと考えているからです。安保法制をこのまま放置しておくことは憲法9条への違反にとどまらず、憲法の保障する表現の自由や知る自由を中止させられることに同意したことになりかねません。 
 
  長いものにまかれることに長けており、近年、ますます強い人間に寄り添って生きていこうと考えがちな日本人にとって、米政府こそが心のよりどころになっているようです。しかし、米国は中国との戦争をあおったとしてもいざ本当の戦争になったら、米国は第三者となって、日本と台湾だけに戦わせて米国は武器を売ってくれるだけかもしれません。 
 
  そもそも米国は4年に一度大統領選があり、大統領が変われば外交も変わりますので、米国だけ中国と単独講和を結んで撤退してしまう可能性があります。そうなると日本は単独で中国を相手にしなくてはならなくなるかもしれません。相手が中国であれ、北朝鮮であれ、そのことを考えれば、「集団的自衛権の戦争」という米国への幻想を一度頭から抜く必要があります。米国との同盟がリスクをはらんでいることを認識する必要があります。朝鮮戦争では米国は確かに半島に兵士を出しましたが、北朝鮮が核兵器とミサイルを開発し、核ミサイルの射程が米本土に届くようになれば(※)、もはやこれまでの米外交とは180度違うものに転換しているはずです。 
 
  その意味で、戦争をする必要があるなら、日本一国で戦争をすることを想定して、本当に戦争をする価値があるのか、その理由は何なのか、そのリスクは何なのか?を冷徹に、単独に考えなくてはならないのです。そもそも本来、憲法9条は専守防衛であります。 
 
  中国も米国も第二次大戦では同盟国であり、国連でも仲間になっています。一見、中国と米国は仲が悪いように常に新聞で報じられますが、それを信じ込んではいけないのです。米国と中国は想像する以上に裏でつながっていると考えた方が良いのです。米国と中国は世界最大の資本主義の2大国を占めており、彼らの間でコミュニケーションは脈々と存在しています。大量の留学生を米大学に送って来た中国ですから、中国政府には日本政府をはるかに上回る濃密な米政財界の要人との人脈が存在します。 
 
  2015年の安保法制も米国と一緒に戦うことが暗黙の前提になっていること自体が、日本の存亡に大きな危険を与えています。その思い込みが一番危ないものです。米国にとっては軍需産業を温存するために世界のどこかで戦場を1つ保持しておく必要があり、今はウクライナで維持できていますが、次は東アジアかもしれないのです。しかし、その戦争においては、米本土は無傷の戦争かもしれません。 
 
 
※NYTが米諜報の失敗を指摘 「近来の最大級の誤り」 北朝鮮のミサイル開発の速度を軽視 水爆の完成で新たな練り直し 核保有数もわからず 
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