2022年09月05日16時49分掲載  無料記事
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入管

【入管法改悪反対】全国で一斉行動実施 参加者500人超

 昨年3月に名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんに関するビデオ映像の開示や入管法の改悪阻止を訴えかける全国一斉行動が、4日に行われた。主催は、市民と学生のネットワークである「入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合」(入管闘争市民連合)。東京都台東区で行われたデモ行進には約200人(主催者発表)が参加し、日差しが照り付ける中、「ウィシュマさんのビデオを渡せ!」「入管法改悪は人権侵害です」など、思い思いのプラカードを掲げた市民と学生が歩を進めた。 
 
 デモ行進終了後の集会では、ウィシュマさんの妹で二女のワヨミさんが発言。ウィシュマさんの死の真相究明を進めることについて、「姉のためだけでなく、日本で苦しんでいる外国人のためにもなる」とし、「私と私の家族に起こったようなことは二度と起こってほしくない」と、その悲痛な胸の内を語った。また、仮放免者でナイジェリア出身のエリザベスさんは、収容施設内で差別的な扱いを受けている被収容者の状況に触れつつ、「差別はやめて」と強い口調で繰り返し訴えかけた。 
 
 今回の一斉行動の主催団体の一つであるBONDの学生メンバー曽根祐太郎さんは、送還忌避者が全国に3100人いるとされている現状について、「(送還忌避者は)ある日突然出現したものではなく、入管が場当たり的な対応を繰り返したことで、(数字が)積み上げられたもの」と語った。そして、「当事者をイジメても帰国できない事情が変わることはない。本来の解決策は、国際基準に基づいた難民受け入れをし、帰国できない当事者に在留資格を与えること」と、送還一本やりの入管の方針を改めるよう求めた。 
 
 この日は、東京の他、札幌、山形、仙台、浜松、高崎、名古屋、大阪、京都、高知でもデモやスタンディング・アクションなどが行われ、これに全国で500名以上(主催者発表)が参加した。主催団体関係者は、「これだけの人たちが恒常的に声を上げてくれるようになってきた。ありがたい」と、市民が関心を寄せてくれることに対して感謝の思いを滲ませた。 
 
 入管闘争市民連合代表の指宿昭一弁護士は「葉梨法務大臣が入管法の改悪に意欲を見せるなど、市民の反対があっても入管は必死に入管法改悪法案を出そうとしている。声を上げることで、これを阻止しなければならない」と、入管法の国会提出阻止に向け、継続した取り組みの必要性を語った。 
 
 ウィシュマさん死亡事件に関しては、現在遺族が国を相手に損害賠償を求めて提訴中で、9月14日には、名古屋地裁で第三回口頭弁論が予定されている。 


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