2022年09月27日17時07分掲載  無料記事
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アジア

在日ミャンマー人はなぜ安倍元首相の国葬で抗議行動をしたのか 国軍代表が参列、ミス・ミャンマーがカナダ亡命、NLD議員が拷問死…

 安倍元首相の国葬に異議申し立てをしたのは、多くの日本人だけではない。在日ミャンマー人らのグループは前日9月26日、国葬にミャンマーから軍評議会 外務省の駐日大使が参列することに対し、外務省前で抗議活動を行った。彼らがなぜ国軍代表の参列に反対なのかは、これを報じたミャンマージャポンの連日のニュースで明らかである。 
 まず外務省への抗議行動。 
 グループの責任者は、「国葬に軍評議会傘下の駐日大使を招き入れることは、クーデターを起こした国軍を承認することと同義であり、断じて認めることが出来ない」と述べ、日本政府に対して軍評議会との関係や国軍を利する支援を即時停止することなどを求めた要望書を外務省の担当職員に手渡した。 
 9月19日に行われた英・エリザベス女王の国葬には、ミャンマーは招かれなかった。 
 つぎにミス・ミャンマー代表のカナダ亡命。 
 2021年に「ミス・グランド・インターナショナル」に出場し、国軍のクーデターに抗議したハンレイさんが同日カナダへの亡命が認められたとタイ地元メディアが報じた。 
 彼女は前日、滞在していたタイのビザを更新するために数日間ベトナムに滞在、出国したところ、タイへの再入国を拒まれた。タイ入管当局は、ハンレイさんのパスポートがミャンマー軍評議会により使用停止されたものとなっているため、入国を拒否したと説明、彼女は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の保護下に置かれた。 
 この問題がメディアで取り上げられると、ベトジェット・エアがホテルを手配し、空港の地上スタッフがホテルの部屋の前で待機した。 
 ハンレイさんは、「UNHCRから誰にも会わないように言われている。ミャンマーから警察関係者がタイに来て私に面会を求めていると聞いているが、滞在場所はベトジェット・エアのスタッフ以外は誰も知らない」とコメント。タイ入国管理局は、「入国を拒否しただけで、逮捕はしていない。ミャンマーに強制送還することも、第3国に国外追放することも考えていない」とコメントした。 
 同じ日、アウンサンスーチー国家顧問が率いる国民民主連盟(NLD)所属のカチン州議会議員が拘束され、軍施設内で拷問を受け死亡したことが明らかになった。 
 死亡したのは、カチン州モーニン郡選出の州議会議員ミョーミョーチョー氏。8月24日にカチン州ミッチーナ市内に設置された検問所で逮捕され、国軍施設に連行された。検問で同氏の携帯電話が検閲され、NLDが実施している国債に関する資料や国民防衛隊(PDF)の写真などが発見されたため、逮捕・拘束されたとみられる。 
 カチン州ナンマティー郡選出の州議会議員ウインナイン氏は、「逮捕され約1か月連絡が取れなかったが、9月第1週に軍施設内で死亡したことを知らされた。激しい拷問を受けたうえ、遺体が家族に返還されないまま埋葬されたようだ」とコメントした。 
 国軍は民主派勢力の国民防衛隊との戦闘作戦のため、ザガイン管区タンセ郡区で9月24日、住宅密集エリアを襲撃し、125軒以上の民家が焼失した。 
 同郡区のインナー村では148軒の民家のうち125軒が焼失し600人が避難したほか、周辺地域では国軍による攻撃が激化しており、これまでに8,000人以上の住民が避難を強いられている。 
 民間団体のデータ・フォー・ミャンマーは、ザガイン管区では昨年2月のクーデター以降今年8月までに20,153軒が国軍や警察隊により焼き払われたことを発表している。 
 ミャンマー北西部チン州と国境国境を接するインド北東部のミゾラム州に、4万人以上のミャンマー国民が避難していることが明らかになった.. 
 
 こうした状況を踏まえて、米国のバイデン大統領は9月21日に行われた国連総会の一般演説で、ミャンマー情勢に触れ、「我々はミャンマー国民の側に立つ」と発言した。 
 おなじ国連総会で一般演説した岸田首相からはそのような発言は伝えられていない。 


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