2022年10月16日23時24分掲載  無料記事
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コラム

政治家の世襲禁止法の制定を 日本は未だ近代以前の身分制社会

  日本の円がさらに対ドルレートを下げて147円になったと報じられました。経済だけでなく、いろんな面で日本の実力の下降が報じられています。こうした下降していく時代において、機会の均等は右肩上がりの時代よりもさらに保障されなければ、社会の不公平感はますます高まり、放置すると民衆の暴動も起こりかねません。 
 
  その機会の均等を保証する第一歩として、政治家の世襲禁止法の制定が求められると考えます。昨今の政治の崩壊は、凡庸でも親が政治家なら後援会や資金が保障されて、世襲ではない候補者に対して圧倒的に有利に立てる世襲制度による驕りが大きく作用しています。競争にさらされ自己を研鑽する必要なく、凡庸な政治家がさらに二代、三代と国政を動かしている日本国は、江戸時代と変わりありません。文学部の世界ではポストモダンという言葉がかつてもてはやされたことがありましたが、日本は未だ近代が確立されていない遅れた状態にあります。政治家の世襲制度は実質的な士農工商という身分制度に他なりません。日本は法外な資金を用意しないと立候補できない制度になっています。 
 
  ですから、職業選択の自由と、世襲制の問題を考慮するなら、親が政治家の場合、子供は親とは異なる選挙区から立候補するか、あるいは親の選挙地盤から立候補する場合は親の引退・死去後、10年間の間隔をあけるといった法制度が必要です。日本で政治とは政治家がやるものという通念が強く、有権者が政治に関心を持つことができない理由が庶民を政界から隔てるこの前近代的な身分制度が残っていることにあります。そして、日本国が今、近代国家に移行できなければ、ますます日本の地位は下落していくでしょう。右翼の人々にとっても見過ごせないテーマであるはずです。凡庸な政治家が家族と仲間の利益だけを考える政治は、前近代の政治なのです。したがって、早急にこの政治の最大の問題を解決しなければ、日本の未来はないと思えるのです。 
 
 
 
■野党共闘を考える 市民連合の中野晃一教授(上智大学)に聞く その2 
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