2022年11月27日09時27分掲載  無料記事
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国際

「弱者の頼るところは国連?」【西サハラ最新情報】  平田伊都子

 部屋の入口を開けて、ムハンマド六世モロッコ国王陛下が訪問者と握手をする写真が、 
MAPモロッコ国営通信に掲載されました。 写真の提供はモロッコ王室で、通常、訪問者と国王陛下のツーショットは横向きか並んだ握手シーンですが、この写真では訪問者は剥げた白髪の後ろ姿で、誰か分からない、、記事が国連事務総長の謁見許す国王陛下とあるので、グテーレス総長と判明します。 
 モロッコ国王陛下はこの礼を欠いた写真で、何を言いたいのでしょうね? 
 
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 2022年11月22日の国連定例記者会見で、グテーレス国連事務総長がモロッコの古都フェズで行われていた「国連・文明の同盟」第9回フォーラムで基調演説をしたと伝えた。「事務総長は、我々が解決を迫られていることの一つに、断絶と憎悪に煽られた不法な紛争による泥沼の地盤沈下問題がある、しかし、我々が負の要素を刺激剤とし、尊厳とチャンスを糧に生きていけば、平和の同盟を構築できる。これは我々の時代に与えられた試練なのだ、、」と、ファラハーン国連副報道官は文学的な報告書を読み上げた。記者たちは反応しなかった。 
 翌11月23日の国連定例記者会見では、「総長は今、首都ラバトでモロッコ国王と会っているところだ。ニューヨークへの帰路につくのは、その後だ」としたが、会談の内容には触れなかった。記者たちは興味を示さなかった。 
 一方、MAPモロッコ国営通信は、「国連・文明の同盟会議では、ムハンマド六世の大パネル写真を横に、国連事務総長が<モロッコ国王は偏見や分断と闘う国連文明同盟のチャンピオンだ>と国王の多様性を絶賛した」と報道した。 
 <国連・文明の同盟>は、2005年に当時のサパテロ・スペイン首相とエルドアン・トルコ首相が共同提案したもので、国連広報センターには「宗教的信条と伝統に対する相互尊重を推進し、あらゆる分野で強まる人類の相互依存を再確認する連合となる。その主要な任務は、集団の政治的意思を造り出し、国家、人民、地域社会間の異文化理解と協力を改善することである。西欧社会とイスラム社会との間の関係、またはそれぞれの社会内での関係を強化し、根強く残る緊張と分裂を解消することに力を入れる」と。謳われている。これまで、そのフォーラムは、マドリッド、イスタンブール、リオなどで開催された。 
 
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 11月22日、モロッコ王室は、「式典に国王陛下〜神のお加護がありますように〜は参列されず、国王の助言者であるアンドレ・アズライ氏が代読した」と前置きして、ムハンマド六世モロッコ国王陛下のフル演説を公表した。演説は、先々代のムハンマド五世、先代のハサン鏡い修靴謄爛魯鵐泪貧酸い飽き継がれているモロッコ国王陛下の叡智と国際感覚と諸宗教を包括する寛大さを自画自賛したものだった。そして、モロッコの国連貢献を強調し、グテーレス国連事務総長の平和尽力に敬意を表している。 
 先代のハサン鏡ぅ皀蹈奪街餡Δ了代から国王助言者である、ユダヤ・モロッコ人アンドレ・アズライ氏とは? 略歴を紹介する。 
 アンドレ・アズライ氏は、1941年4月17日にモロッコのエッサウィラで生まれた。彼自身がユダヤ・モロッコ人の家系だと公表している。パリで経済やジャーナリズムや国際関係を学んで、パリ・パリバ銀行の中東北アフリカ部門で1968年から1991年まで働いた。 
1991年から1999年に先代のハサン鏡い死ぬまで国王の助言者を務め、死後も息子の現国王に助言者として仕え続けている。1991年に故ハサン鏡い容認した国連人民投票の実施に向け動き始めた1993年に、氏は民間企業参画と外国企業誘致を助言した。2000年に入り、ムハンマド六世はモロッコ占領地・西サハラの経済開発を急速させ、世界経済を牛耳るイスラエルの傘下に入った。ユダヤ・モロッコ人のアズライ氏は、イスラエルがらみのキーパーソンになっていく。 
 アズライ氏は<三大主教と三大文化財団(スペイン・セビリア拠点)>の理事を務める一方で、イスラム教徒とユダヤ教徒間の相互理解を深めるための<アラジン・グループ>創設にも関わった。<国連・文明の同盟>には2005年創設時から絡んでいる。パレスチナ問題に関しては、二国家(パレスチナとイスラエル)共存説を支持するとしながらも、欧米とイスラムの相互理解と相互尊重を表看板に掲げ、モロッコのイスラエル化を成し遂げた。 
 イスラエルと繋がるモロッコ国王は<アラブのカメレオン>と、仇名されている。グテーレス氏の言う<多様性のチャンピオン>とは、<無節操のチャンピオン>とも聞こえる。 
 
6者にへつらう国連ボス、が、弱者は国連を頼るしかない: 
 ムハンマド六世モロッコ国王陛下の国連事務総長を巻き込んだパフォーマンスに、西サ 
ハラ難民政府もアルジェリアも反応しなかった。西サハラ難民キャンプのネットでは、モロッコ国王にへつらう国連事務総長の猫背が流れ、「グテーレス、お前もか!」と、揶揄された。「王権による力ずくの外交で、国連の理念を変えようとしている」と、批難した。 
 2022年11月23日、西サハラ難民政府大統領ブラヒム・ガリは閣僚を引き連れて、ニジェールの首都ニヤメに降り立った。翌日の11月24日、第17回AU特別サミットに参加するためニヤメに来ていたラムタン・ラマムラ・アルジェリア外務大臣と会談した。アルジェリア外務大臣は、西サハラを全面的に変わらず支援していくことを約束した。 
 11月25日、<アフリカの産業と経済の発展>をテーマとする、第17回AUアフリカ連合特別サミットが開催された。西サハラからはガリ大統領、アルジェリアはアイメヌ・ベンアブドゥルラフマーン首相が参加した。モロッコは?AUサミットを記事にしていない。 
 アルジェリアは、2021年に提案した<アフリカ大陸の自由貿易地域設立>に向けて、速やかな行動を促した。ウクライナ戦争で完全に疲憊したアフリカ大陸の経済を立て直すのは、容易なことではない。アフリカの弱い国々は、国連事務総長に文句を言いながらも、国連を頼らざるをえない。ロシアが無償援助をしたように、戦争を止めようとしないウクライナにも、援助を求める声が上がっている。 
 11月23日、ヨーロッパのフランス・ストラスブールでは、西サハラ人民に連帯するヨーロッパ議会の議員連盟が、ウビ・バシール西サハラ難民政府EU代表を招いて会合を開いた。 
 11月25日、アジアのベトナム・ハノイでは、WPC(世界平和評議会)の執行部がSADR(西サハラ・アラブ民主共和国)を承認し、組織の一員であることを確認し、西サハラ人民の民族自決権を今一度、強く支持した。WPCの第22回総会は2022年11月21日から26日までハノイで開かれていた。 
 
 2023年から2024年にかけて、日本は国連安保理で非常任理事国の役割を担います。 
 シデイ。オマル西サハラ難民政府の国連とMINURSOミヌルソ(国連西サハラ人民投票監視団)の代表は、日本に期待しています。 
 「力ずくで現状を変えようとする一方的な試みは、世界のどのコーナーでも起こってはならない」(国連日本政府常駐代表全権大使) 
 
 
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 「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。 
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、 
定価:本体1,800円+税、 
発行人:松田健二、 
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861 
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。 
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2022年11月27日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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