2022年11月29日05時49分掲載  無料記事
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米国

商務長官ジーナ・ライモンドの講演 日本人には非常に近いテーマ〜製造業の再構築戦略〜米最初の女性大統領になる有望株

  昨日、ニューヨークタイムズが2024年の大統領候補の有望株として示唆していたのが商務長官のジーナ・ライモンドだったことを書きました。どういう政治家なのかを少し知ろうと、彼女のブラウン大学での講演会を聞いてみました。日本語字幕で聞くことも可能です。プレジデントが「社長」となっているのを除くと、AI翻訳は悪くありません。 
 
Gina M. Raimondo - Ogden Memorial Lecture on International Affairs( ブラウン大学 ) 
https://www.youtube.com/watch?v=L0HO0ASGLz4&t=42s 
  彼女が商務長官という立場であることもありますが、米国の製造業特に半導体産業の再構築について語っています。クリントン大統領時代以後、過激に進行したグローバリズムによって、中国に工場が移り、それが米国の製造業ひいては安全保障に影響を与え、結果的に民主主義にダメージを与える、という骨子です。 
 
  私自身も米国で製造業の再構築を取材したことが何度かありましたが、リーマンショック以後のオバマ大統領時代にも大きな課題だったにも関わらず、なかなか解決には程遠いというのが現状でした。ジーナ・ライモンドは900万人の製造業の雇用が過去30年間で失われたというところから語り始めています。同じ民主党の女性政治家であってもヒラリー・クリントンとは異なる戦略を持っており、しかも中道の政治家です。そして、彼女を後押ししているのが、新型コロナによる米産業の再構築です。 
 
  「同質性はイノベーションの敵です」というイノべーションをキーワードにしている彼女の言葉は、日本では耳が痛い言葉でしょう。安倍政権の時代は同質性の社会を基盤にイノべーションを進めようとしていたからです。彼女は託児所を完備し、女性や有色人種、貧しい人々に今後、教育の機会を与え、それを米経済の推進力にすると明確に語っています。またディジタル・ディバイド(インターネットへのアクセスへの格差)も均等にすると言っています。これはバイデン大統領のホワイトハウスの経済戦略ですが、民主党としては2024年の大統領選にバイデンの後継として、バイデン政権の推進力の政治家として売り出しやすい面となるでしょう。 
 
 
 
 
■「Democratic Debacle 民主党の敗北」The defeat of Hillary Clinton was a consequence of a political crisis with roots extending back to 1964. ヒラリー・クリントンの敗北の根っこは1964年に遡る ジェローム・カラベル(社会学) 
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■地域の子供に無料の作文教育を 子供の教育を変えたサンフランシスコの ”826 Valencia” , One-on-one tutoring can help students make great leaps in their writing skills and confidence. 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201702080540363 
■私はなぜ刑務所の民営化と闘ってきたか  元受刑囚で「刑務所法律ニュース」のジャーナリストに聞く  Interview : Alex Friedmann , Managing Editor of "Prison Legal News." 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201612081813454 
 
■The Price of Inequality | Joseph Stiglitz | Talks at Google 
https://www.youtube.com/watch?v=woerUgtufUo 
  スティグリッツ教授の「不平等の代償」は、1980年代以後の日本の格差社会化、階級社会化が日本経済にどのくらいのダメージを与え、国をダメにしてしまったかを考えるヒントになるだろう。スティグリッツ教授は米国の経済上の不平等は、富裕層に有利な法律に大きく依存していることを説いている。 


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