2023年01月08日14時05分掲載  無料記事
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国際

「安保理理事国日本に期待する西サハラ!」【西サハラ最新情報】  平田伊都子

 2023年1月3日午後、ニューヨーク国連本部ビルの記者室に、石兼公博・国連日本政府常駐代表全権大使が登場しました。 2023年~2024年国連安保理非常任理事国日本の初記者会見です。 <法の支配>遵守を唱えている日本の<その心>を質そうと、記者陣が待ち構えていました。 
 
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 「イスラエルがパレスチナ占領を続ける国際法違反を、国連総会で国際司法裁判所に訴える決議を採決の時、日本はどうして棄権したのか?日本が謳う<法の支配>と、どう整合性があるのか?」と、ハミード・パレスチナ人記者が石兼日本大使の国連記者会見で質問した。 
 「安保理議長として、公正かつ効果的に議長職を務めていく」と、石兼日本国連大使は答えた。さらに、ナショナル・キャパシティ(国の目いっぱいの判断)として、<二国家共存(パレスチナとイスラエル)>を支持していると言及した。 
 そして日本国連大使は、「1月12日に<法の支配>に関する公開討論を、林芳正外務大臣の議事進行で主催する」と、予告した。<法の支配>という言葉は、日本政府がアメリカに忖度してロシアを叩くために用意した便利語のようだが、世界の国連特派員は一般用語の一つとして、イスラエルの占領支配にも適用している。 
 問題の国連決議案は、長年イスラエルによる占領や入植でパレスチナの人たちの権利が侵害されていることなどについて国際司法裁判所に訴える案を指すが、アラブ諸国などが提出していたものだ。2022年12月30日に国連総会で行われた採決では、アラブ諸国をはじめロシアや中国など87か国が賛成し、イスラエルやアメリカ、イギリスなど26か国が反対、日本やフランスなど53か国が棄権し、賛成多数で決議は通った。 
 1月5日、日本が議長国を務める安保理で最初の緊急会合が開かれた。イスラエルのネタニヤフ新政権の強硬派の閣僚が1月3日、エルサレム旧市街地にあるイスラム教の聖地を挑発訪問し、これに反発するパレスチナやアラブ諸国が開催を要請し、会合が実現した。 
パレスチナの国連大使が、イスラエル・ネタニヤフ新政権の強硬な姿勢を厳しく非難したうえで、「安保理はいつになったら行動するつもりなのか」と議長席の日本の石兼国連大使に向かって苦言を吐いた。「ショックを受けた!なぜこのような意味のない緊急会合が開かれるのか?!」と、イスラエル国連大使は安保理会議場前のステイククアウト(待ち伏せ会見)で怒鳴った。 
 
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 行動しない国連に対するパレスチナ国連大使の苛立ちは、国連が約束した<国連西サハラ人民投票>を、32年間も待たされ続けている西サハラ人民のものだ。さらには、ウクライナ戦争の停戦を願う世界の庶民のものでもある。 
 1月5日、プーチン・ロシア大統領はセルゲイ・ショイグ国防相に対し、ウクライナの前線で6日から36時間の停戦を実施するよう命じた。停戦はモスクワ時間6日正午(日本時間同日午後6時)に開始された。プーチン大統領はウクライナに同調を求めた。が、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は即、停戦を拒否した。停戦は、ウクライナ軍の進軍を食い止めるための戦略だと続戦を命じるバイデン・アメリカ大統領は、6日にウクライナへの37億5千万ドル(約5千億円)を超える追加の軍事支援を発表し、戦闘を煽った。アメリカは、ブラッドレー歩兵戦闘車50台、対戦車ミサイル「TOW」500発や装甲兵員輸送車「M113」100台など過去最大規模の兵器をウクライナに提供する。ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、これまでゼレンスキー氏が和平の提案をしてきたのに、ロシアは無視し続けたと主張する。が?その証拠を示すべきだ。 
 そもそも、ロシア正教会のキリル総主教が、信者たちがロシア正教会のクリスマス礼拝に参加できるよう、休戦を要望していたのだ。ロシア正教会はユリウス暦に沿って、1月7日にクリスマスを祝う。ロシアは声明で、「(キリル総主教の)呼びかけを考慮し、大統領はロシア連邦の国防相に対し、ウクライナのすべての前線で停戦を実施するよう指示する、、停戦期間は36時間、、敵対行為がみられる地域に住む多くのロシア正教徒が、6日のクリスマスイブと7日のクリスマスを祝えますよう、、」と、語りかけた。ウクライナの正教徒の皆様、メリークリスマス! ウィキぺデイアによると、ウクライナの宗教は、ロシア正教徒72%、ロシア式カトリック教徒(ロシア正教の礼式でカトリックを受容)14.1%、プロテスタント2.4%、カトリック1.7%、イスラム教0.6%、ユダヤ教0.2%、その他9%とある。 
 1月5日、プーチン大統領のクリスマス停戦表明を聞いたグテーレス国連事務総長は、ぶら下がりインタビューで、「どんな形でも、停戦は歓迎する。しかし、真の平和の兆しは、見えていない。平和はまだまだと判断している。いつの日か、平和はやってくるだろう。平和は国連憲章と国際法にとって、最高だ、、」と、答えた。まるで、対岸の火事だ。 
 傍観者を決め込む国連事務総長は、自ら行動しようとしない。 
プーチン・ロシア大統領の停戦は、日本時間の8日午前6時に終了した。 
 
<法の支配>をモロッコに適応することを期待する西サハラ: 
 残念なことに、国連記者室に一人も西サハラ人記者はいない。モロッコがマチュー・リー記者を力ずくで国連ビルから追放した2018年7月13日以来、西サハラのことを問い質す特派員もいなくなった。 
 パレスチナは国連の正式メンバー国ではないが、国家としての国連オブザーバーという資格で活躍している。西サハラはニューヨークに国連代表を送っているが、国連の中で自主的に活動できない。目的のためには手段を選ばないモロッコ・ロビーストの暗躍で、国連は<法の支配>ならぬ<モロッコの支配>下にある。パレスチナ同様、西サハラにとっても国連憲章と国連安保理決議という<法の支配>が頼みの綱なのに、国連活動ができないのは、辛い。 
 打つ手がない西サハラに、「山田賢司外務副大臣が手を差し伸べてくれた!」と、MAP通信(西サハラ・ネット通信)が、嬉しいニュースを流してくれた。APSアルジェリア国営通信の転載のようだが、そのまま転載する。 
「日本の山田賢司外務大臣代行は、アルジェリア外務省事務総長であるアマル・ベラニとの会談で、<国連の後援の下での紛争両当事者間の交渉の枠組みの中で>西サハラでの政治的解決に対する日本の支持を表明した。外務大臣代行は、西サハラ難民のために、日本政府がUNHCRに100万ドルの寄付をしたことを明らかにし、同時に、西サハラ難民に対してアルジェリア当局が行っている支援と人道援助に関し、その多大な努力を称賛した。一方、アマル・ベラニ氏は、西サハラ難民との連帯のジェスチャーについて日本政府に感謝しつつ、<世界的な健康危機と世界中の危機と紛争の増大によって引き起こされた国際的な食糧援助の急激な減少を背景に、深刻な食糧危機に直面している西サハラの人々に対して国際社会が全責任を負う必要がある>と強調した。アルジェリア外務省が発表した声明によると、アルジェリア外務省事務総長は、<紛争両当事者、すなわちポリサリオ戦線とモロッコに対して、国際的な正当性に従って、西サハラの人々の自決を保証する相互に受け入れられる政治的解決策に到達するために、前提条件なしで誠実に直接交渉を再開するように>というアルジェリアの訴えを繰り返した。 
 双方は、<アフリカの平和、安全及び繁栄を促進するため、アフリカ開発会議の枠組みを含め、協力を深化させる共通の意思>を再確認した」(MAP通信) 
 
 日本に期待を寄せる西サハラ難民キャンプでは、年が明けてから第16回ポリサリオ戦線会議(西サハラ全人民会議)の準備に大忙しです。 
 殉教者モハメド・ハダドの名を冠したこの会議は、2023年1月13日から17日まで、「占領を追放し、主権を完全にするための戦いをエスカレートさせる」というモットーの下で開催されます。 結果は来週に報告します。 
 
 
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 「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。 
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、 
定価:本体1,800円+税、 
発行人:松田健二、 
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861 
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。 
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。 
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
「Last Colony in Africa]  英語版URL:  https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十  2023年1月8日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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