2023年02月02日20時07分掲載  無料記事
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アジア

ミャンマー国軍、非常事態宣言を半年延長 市民は「沈黙のスト」で対抗

 ミャンマー国軍は1日、国営テレビを通じて2021年2月1日のクーデターとともに発令した非常事態宣言を半年間延長すると発表した。「治安の不安定」が理由とされている。同日、民主派勢力が軍政に反対して呼びかけた「沈黙のストライキ」に大半の市民が参加、外出を控えた。 
 民主派勢力は国民防衛隊(PDF)が全土で国軍と戦闘しており、「治安の不安定」とはこのような状態を指す。 
 非常事態宣言は、憲法では「通常は最長2年」とされており、さらに延長される可能性もある。軍政は今年8月に総選挙を予定していたが、選挙日程も大幅にずれ込みそうだ。 
 ミャンマージャポンが自由アジア放送などの報道として伝えるところによると、「沈黙のスト」は午前10時から午後3時まで行われ、最大都市ヤンゴン市内は早朝から交通量が少なく、午前10時頃には歩行者や車の姿がほとんど見られなくなった。 
 一方、国軍支持者らはヤンゴン市役所前の道路を封鎖し、クーデターの正当性を主張する大規模集会を行った。 
 軍政に抗議する行動は国外でも展開された。東京都品川区のミャンマー大使館前には、在日ミャンマー人ら約600人(主催者発表)が集まり、「指導者を解放しろ」「勝利するぞ」などとシュプレヒコールを上げた。 
 タイの首都バンコクのミャンマー大使館前では、約500人の在留ミャンマー人が参加。「我々を独裁政権下最後の世代にしなければならない」と書かれたプラカードを掲げ、クーデターで拘束された民主化指導者アウンサンスーチー氏らの解放を求めた。 
 ニューヨークの国連本部の壁にはプロジェクターで抗議メッセージが映し出されていた。 
 治安の不安定とともに、経済状況は、2年前に国軍が権力を掌握する以前と比較して10%以上も低下している。 
 ある経済学者によると、国民の軍評議会に対する信頼の欠如と国内の政情不安により、2021年の経済成長率は前年比マイナス18%を記録した。その後持ち直したものの、現在も10%以上減衰した状況が続いているという。 
 世界銀行が1月30日に発表したレポートによると、2023年度の国内総生産(GDP)は3%の成長を見込んでいるが、同経済学者は「インフレ率や雇用創出能力などに目を向けると、この成長率は意味の無い数字だ」と切り捨てた。ミャンマーのインフレ率を最大30%と見込んでおり、実質的に大きなマイナス成長になるとしている。 


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