2023年02月03日19時57分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】関西電力高浜4号機のスクラム(緊急停止)は操作ミスか  関西電力の原発運営管理に重大な欠陥?  山崎久隆

 中性子束の急減により自動停止した関電高浜原発4号機の、停止時の様子が規制庁の審査会合で明らかになった。2月1日のNHKのニュース「高浜原発4号機の自動停止制御棒装置不具合で点検作業中に発生」によると関電は『トラブルが起きる5日前から当日にかけて、核分裂を抑える制御棒を炉心に出し入れするための 
装置で、故障を示す警報が合わせて3回出ていた』『電流の値が通常よりも低くなっていることが分かり、点検作業のため一部の電源を落としたところ、原子炉が自動停止した』と説明したそうです。 
 
 運転中の原子炉で、一部とはいえ、原子炉制御系のシステムの電源を遮断するという行為は、にわかには信じられません。 
 しかも、その結果として制御棒を止めている電磁石の電流がなくなり制御棒が落下したのだとしたら、不注意では済まない重大事です。 
 通常は、こうした制御系でも基幹に当たるところの異常は原子炉を止めて点検するべきであり、稼働中の原発でいろいろといじることはしてはならないことです。警報が3回も出ていたのだから、止めるべきでした。 
 
 結局、停止点検を省こうとして炉をスクラムさせ、その検証に膨大な時間が必要になるのですから、意味がないどころか元の木阿弥とはこのようなことのためにある言葉です。 
 原因は未だに特定されてはいませんから、即断はできませんが、これが理由だとしたら関西電力の原発運営管理に重大な欠陥があることは明白です。 
 
 なお、原子炉の中性子束急減で止まることは、制御棒が落下して中性子の量が急激に減少する場合のほか、原子炉出力を制御し、燃料の燃焼を安定させるために投入している中性子吸収材のほう酸が異常に大量に投入される場合や、中性子束を計測している計装系のトラブルや電源異常などがあります。 
 今回のケースが制御棒の落下であるとしたら、制御棒を固定している電磁石の電流遮断が可能性としては高いでしょう。他には制御棒駆動機構の故障などがあります。 
(たんぽぽ舎共同代表) 


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