2023年03月05日20時54分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202303052054490

国際

後発開発途上国の対外債務が緊急事態と国連が警告 

 後発開発途上国の対外債務が無視できない状況に陥っていると国連が警告している。NNNの報道によると、3月4日、ドーハで開かれた後発開発途上国(LDCs)会議に出席した国連開発計画のアキム・シュタイナー代表は「開発途上国の対外債務の状況は非常に深刻である」と述べた。国連機関によると、「52カ国が債務超過に陥っているか、債務超過やデフォルトの可能性から一歩手前まで来ている」と推定している。(大野和興) 
 
 シュタイナー氏は、3月4日にドーハで開催された後発開発途上国(LDCうs)会議の傍らでインタビューに応じ、「国家債務に関する開発途上国の現在の状況は、実に非常に深刻である」と述べた。国連機関は、「52カ国が債務超過に陥っているか、債務超過やデフォルトの可能性から一歩手前まで来ている」と推定している、という。 
 
 UNDPは先週、2021年の値で52カ国の対外債務を30%償却するよう求める報告書を発表した。この52カ国には、アルゼンチン、レバノン、ウクライナのほか、サブサハラ・アフリカの23カ国、ラテンアメリカとカリブ海諸国の10カ国、東アジアと太平洋地域の8カ国が含まれている。 
 
 同氏によると、この52カ国は世界の対外債務の3%に過ぎないが、世界人口の6分の1を占めている。しかし「金融市場は十分な注意を払っていない」と述べた。また52か国の内25カ国が政府収入の5分の1を債務返済に充てていることは、「持続可能ではない」とと付け加えた。 
 
 コロナウイルスの大流行、食料・燃料費の高騰、金融危機のため、貧困国の債務は過去10年間で倍増した。過去2年間で、いくつかの国が債務不履行に陥っている。さらにナイジェリア、マリ、ブルキナファソなどのアフリカ諸国は、政治的暴力の増加や、基本サービス、治安、保健、教育を提供する政府の失敗の中で、最大20年の開発の進歩を失っていると同氏は述べた。 
「現在、ウクライナでの戦争があり、世界の食料・エネルギー価格への影響があり、特に債務に関しては、インフレの影響が金利を押し上げている」 
 
 シュタイナー氏によれば、燃料費の上昇は、基本的な財政の安定を維持するのに苦労している国々に「短期的なショック」をもたらしている。同氏は、「必然的に、貧困国や中所得国がクリーンエネルギー・インフラを大幅に拡大する能力に影響が及んでいる」と述べ、貧困国のために「クリーンで安価な電力」への国際的な投資拡大を呼びかけた。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。