2023年05月18日21時02分掲載  無料記事
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人権/反差別/司法

市民団体が日本政府による在日外国人に対する人権侵害で国際社会に訴え G7広島サミット最終日に広島で共同記者会見

 日本に住む在日外国人の人権に深くかかわる入管法改正案の審議が参院で続いている。同法案は問題となっている入管当局による数々の人権侵害に歯止めをかけることなく、難民申請中の人物の強制帰還を容易にするなど、国際的な基準を大きく外れたもので、当事者だけでなく日本の市民にも広がり、連日国会前や都内で反対行動が続いている。「緊急要請:難民・移民の権利保障こそが日本が目指すべき道」と銘打たれた共同記者会見は、アジア太平洋難民の権利ネットワーク、全国難民弁護団連絡会議、 認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ、NPO法人RAFIQの四者によって行われ、アムネスティ日本、特定非営利活動法人なんみんフォーラム、ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権NGO が協力している。(大野和興) 
 
 
報道関係各位 
 
5月19日〜21日に予定されているG7広島サミットにあたり、5月21日11時より、広島市青少年センターに設置されるNGOスペースの会場から、入管法改正の動きに関する4団体共同の記者会見を行います。ぜひ、関心を持っていただき、取り上げていただけますと幸いです。 
 
 
日本は人権を尊重しているのか? 
日本の難民・移民の現状に関するNGO共同記者会見ー迫る送還の危機 
 
2023年5月18日、日本・東京 
 
グローバル、リージョナル、あるいは日本において、移民・難民の権利のために活動するNGO4団体は、G7ホスト国である日本が、自国の出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)の改正においても、人権や自由、法の支配といった普遍的価値を守り抜く姿勢を積極的に打ち出すことを期待します。 
 
5月19日〜21日予定されているG7広島サミットにあたり、5月21日11時より、広島市青少年センターに設置されるNGOスペースの会場から、入管法改正の動きに関する4団体共同の記者会見を行います。 
 
 
 
NGO共同記者会見「緊急要請:難民・移民の権利保障こそが日本が目指すべき道」 
 
■ 日時:2023年5月21日(日)11時〜12時 
■ 場所:会場およびオンライン(Zoom) 
■ 会場:広島市青少年センター内「NGOスペース」第二講義室 
    (〒730-0011 広島県広島市中区基町5-61) 
■ 言語:英語(ただし、日本語のご質問もお受けします) 
■ 共催:アジア太平洋難民の権利ネットワーク、全国難民弁護団連絡会議、 
    認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ、NPO法人RAFIQ 
■ 協力:アムネスティ・インターナショナル日本、 
    特定非営利活動法人なんみんフォーラム、 
    ヒューマン・ライツ・ウォッチ 
 
■ オンライン参加の方 
下記のリンクより事前にお申し込みください。 
https://us06web.zoom.us/meeting/register/tZ0ud-2sqjwjGdUBbGaggj1zgaB-bkI58CTc 
 
■ 会場参加の方 
メディア関係者に限ります。可能な限りこちらのフォームより事前登録をお願いします。当日参加も受け付けます。お名刺を持って、直接会場にお越しください。お席が埋まり次第受付が終了する場合があります。あらかじめご了承ください。 
 
▽ 登録フォーム:https://forms.gle/gyYCzCkJFjhnTMqf8 
 
 
【本記者会見の趣旨】 
移民や難民は、社会の偏見や無理解、差別、搾取のリスクに晒されやすく、その権利の矮小化を正当化する、あるいは看過させうる外的要因が多く存在します。そうした保護や援助を受けにくく、最も周縁化された人々への権利保障は、その国の基本的人権の価値の本質を示すといっても過言ではありません。 
 
出身や目的地がどこであろうとも、また国境を越えた移動が強制的なものであれ自発的なものであれ、すべての人に生きる権利、非人道的な扱いを受けない権利、庇護を求める権利、社会保障を受ける権利、自由と安全を享受する権利といった基本的人権があります。権利保障のあり方は国や地域、法制度によって異なりますが、基本的人権に関する無差別及び平等の原則が、国際人権基準の要であることに変わりはありません。それは、移住に関するガバナンスにおいても同様です。 
 
本記者会見は、国際社会における日本の役割と、日本が訴えてきた人権の普遍的価値の追求の観点から、現在同国の立法府で審議されている入管法の改正に関して警鐘を鳴らすものです。 
 
 
日本政府による入管法改正案の提出 
 
2023年3月7日、日本では、入管法の一部を改正する法律案(以下、2023年法案)が閣議決定され、政府案として第211回国会(常会)へ提出されました。2021年の同法の改正案(以下、2021年法案)の廃案から約2年ぶりのことです。2021年法案へは、国際人権基準を逸脱しているといった批判や、人権尊重が欠如しているなどといった厳しい指摘があり、国連難民高等弁務官事務所(以下、UNHCR)も異例の「重大な懸念」を表明しました。その年、日本政府は同法案の採決を見送りました。 
 
新たに提出された2023年法案には、以下の内容が含まれます: 
・一部の難民申請者への送還停止効の例外措置の導入 
・難民認定手続きにおける人道的な地位の付与の廃止と補完的保護  の創設 
・在留の正規化にかかる考慮要素や手続き規定の整備 
・収容に代わる新たな社会内措置の導入と現行制度の縮小 
・収容施設の処遇にかかる規定の整備 
・難民申請者を含む旅券発給申請命令の新設やこれに従わない者への刑事罰の適用 
 
これまでのステークホルダーからの懸念に応えて、2021年法案から修正された部分もありますが、抜本的な見直しはなされておらず、2021年法案の骨格は維持されています。閣議決定後も、弁護士、移住者や難民の支援団体、人権NGOのみならず、困窮者支援に取り組む団体や、医療関係者、福祉専門職、研究者など、国内外のさまざまなステークホルダーから、強い懸念の声が上がり続けており、その数は40件を超え、2023年1月以降の国内メディアによる関連報道件数も、5月13日時点で、2021年の同期間の約2倍にあたる約650件に上りました。 
 
2023年法案は、同年4月13日に衆議院本会議で審議が開始され、5月9日には、与党と野党の一部の賛成多数で可決され、参議院に送られました。衆議院で審議中の4月18日(ジュネーブ時間)には、国連人権理事会の特別報告者らから日本政府へ共同書簡が送られました。これは2021年法案に続く2回目の書簡であり、専門家らは、2023年法案は2021年法案から基本的に変わっておらず、国際法、特に市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)に依然違反する恐れがあると指摘し、日本政府に対して、さらなる情報提供を呼びかけました。同書簡について、出入国在留管理庁は、5月3日に公式ウェブサイトで見解を公表し、一方的に見解を公表されたとして抗議を表明しています。また、2023年法案は、2021年法案に対する様々な指摘を真摯に受け止め、2021年法案の修正すべき点を修正したものであると説明していますが、5月18日現在、同書簡に大輔からの日本政府からの詳細な回答は公開されていません。また、参議院では、野党の一部が参議院へ提出した対案と合わせて、政府案の審議が行われています。 
 
 
G7の中核的価値と誓約へのコミットメントからの視点 
 
2022年6月末、ドイツで開催されたG7エルマウサミットにおける首脳宣言によっては、「人権、法の支配を遵守する開かれた民主主義国として、我々は共通の価値により推進され、ルールに基づく多国間秩序及び普遍的人権へのコミットメント」を行うとし、G7の中核的価値が再確認されました。また、「外交及び安全保障政策」の項目においては、次の誓約がなされています。 
 
 
「ロシアの対ウクライナ戦争やその他の紛争により、戦争、暴力、人権侵害及び迫害から 逃れざるを得ない人々の数は、世界中で過去最高の1億人に達しており、難民の移動や国 内避難の根本原因に対処するとともに、安全で尊厳ある持続可能な解決策を提供すること が緊急に必要であることを証明している。我々は、難民の人権及び基本的自由の完全な尊重を確保するとともに、紛争、危機及び避難における女性及び子どもたちの特別なニーズに対処しながら、難民を保護し、避難を強いられた人々や受入国及びコミュニティを支援 することへの我々のコミットメントを再確認する。より公平に責任を共有するという「難民に関するグローバル・コンパクト」のコミットメントを想起し、我々は、再定住プログラムを拡大することによるものを含め、難民及び受入国との国際的な連帯を引き続き促進する。我々はまた、国際社会に対しても、世界規模の責任共有に向けた取組として、難民の保護、避難を強いられた人々及び受入国への支援を増大させることを求める。我々は、人身取引及び関連する不正な資金の流れ並びに移民の密入国と闘い、関連する偽情報に対 抗することの重要性を確認する。」 
 
 
G7加盟国が、自国における難民の保護、難民の人権及び基本的自由の完全な尊重の確保について、良い先例を示すことは、好事例の発展や他国への普及など、グローバルレベルやリージョナルレベルの取り組みの牽引にも繋がります。相乗効果が期待されているのであり、日本国内の政策の発展は、他の受け入れ国及びコミュニティの支援や、難民受け入れの責任の共有においても、決して無関係ではありません。より包括的な視点に立って、自らのリーダーシップを問う責任があります。 
 
また、G7は、難民に関するグローバルコンパクト(GCR)へのコミットメントを約束してきました。今年12月には、GCRに基づき、4年に一度のグローバル難民フォーラム(以下、GRF)が開かれます。GRFは、UNHCRが設立した全世界的プラットフォームであり、難民への支援を結集させ、活発化させることを目的としています。GRFでは、世界各国・地域の好事例が共有され、GCRが掲げる目標に向けた誓約やコミットメントが紹介されます。各国政府代表に限らず、全世界から多様なステークホルダーが集い、アイデアを交換し、避難を強いられた人々や受入国及びコミュニティのニーズや課題に真に応える取り組みを調整する重要な機会です。 
 
さらに日本は、今年12月の第2回GRFの共同議長国という立場にあります。日本を含む共同議長国は、難民の状況改善に向けて、包括的なアプローチに確実に適応するために、すでにある誓約やイニシアチブの遂行以上の取り組みに関与すると表明しています。つまりは、新たなイニシアチブや他国への働きかけ、国際社会におけるコンセサスづくりなど、より多くの期待を背負っていると言えます。 
 
 
日本に求められていること 
 
残念ながら、難民の保護や、人権及び基本的自由の完全な尊重の確保の観点から、2023年法案に対する国内外のステークホルダーからの懸念は、未だ払拭されずにいます。国際社会で担ってきた日本の役割を踏まえれば、これまでのあらゆる日本の外交努力にとっての損失にも繋がり兼ねません。 
 
私たちは、日本が、国内政策においても人権をはじめとする普遍的価値の追求を貫いていくことを明確にし、基本的人権の擁護と推進にかかる日本の責務に照らして、2023年法案を抜本的に見直すことを呼びかけるとともに、建設的な対話における私たちの最大限のコミットメントを約束します。 
 
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本プレスリリースに関する連絡先: 
 
・アジア太平洋難民の権利ネットワーク Email:SG.Hafsar@aprrn.org| 
・全国難民弁護団連絡会議 Email: jlnr@izumibashi-law.net 
・認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ Email: info@hrn.or.jp 
・NPO法人RAFIQ Email:rafiqtomodati@yahoo 


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