2023年06月06日16時19分掲載  無料記事
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アジア

弱体化するミャンマー軍、兵士40万人が15万人に

 ミャンマー軍評議会(SAC)トップのミンウンフライン総司令官が、軍の弱体化について指摘する一幕があったという。Voice of America(VOA)ミャンマー語放送の記者アウンキン氏が寄せたビデオレポートで明らかにしたものをミャンマジャポンが報じた。国軍の弱体化については。米国平和研究所(USIP)も5月4日、ミャンマー軍は急速に縮小し弱体化しているとの分析結果を公表した。 
 5月下旬に将軍クラスのみが参加するミャンマー軍の幹部会議が開かれ、総司令官は「ミャンマー軍には勇敢な軍人が居なくなった」などと発言したという。 
 また、ミャンマー国内で人道支援を行っているFree Burma Rangersが4月に発行した報告書によると、ミャンマー軍の支配地域は首都ネピドーやヤンゴン、マンダレー、バゴーなどの管区で、ザガイン、マグウェ、タニンダーリなどの管区やカチン州、チン州、シャン州では活動が制限され、縮小を続けてるという。 
 民主派の国民統一政府(NUG)が先月発行した国民向けの報告書でも、ミャンマー軍が縮小している事実が盛り込まれた。これによると、2021年2月のクーデター以降にミャンマー軍兵士3万人が戦死、1万人が負傷したほか、市民不服従運動(CDM)に参加した兵士や警察官は13,000人以上にのぼるという。 
 ミャンマー軍は当初40万人の兵士を有するとされたが、米国平和研究所(USIP)によると現在は15万人程度の兵士しかおらず、士気も低下しているという。 
 USIPの客員研究員イェ・ミオ・ヘイン氏によると、2021年2月のクーデター以降、民主派などとの戦闘による死亡や脱走、亡命などにより少なくとも21,000人のミャンマー軍兵士が減少したという。一方、軍の新規採用は減少の一途を辿っており、採用時の報奨金を平均50万Ks(およそ32,000円)から250万Ks(およそ16万円)に引き上げたものの、効果がないという。軍は犯罪者や麻薬中毒者の受け入れを余儀なくされており、弱体化が加速度的に進んでいると分析した。 
 また、ミャンマー軍ではデータの隠匿や改ざんが横行していると指摘。誤った報道も蔓延しているため、ミンアウンフライン総司令官とソーウィン副司令官でさえ、ミャンマー軍部隊内の正確な状況を把握していない可能性があるという。 
 同氏は、兵力の減少により軍が政権を維持することは困難だと指摘している。 


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