2023年06月27日17時38分掲載  無料記事
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国際

ロシアの次期大統領は誰に?  

  ニューヨークタイムズでロシアのNovaya Gazetaというメディアの元幹部Andrei Kolesnikov氏が興味深いコラム「Yesterday’s Putin Is Gone」を書いていたので、その一部を紹介します。ドイツのDWや先のニューヨークタイムズなどの分析と同様に、今回の事件で、プーチンの権力の掌握力が綻びている、弱さが露呈したとしています。そのうえで、プーチン大統領がプリゴジン氏よりも怖れているであろう人物が、プーチン大統領やメドベージェフ元首相(元大統領)への批判を行ってきて現在、刑務所にいるアレクセイ・アナトーリエヴィチ・ナワリヌイ氏*であることです。2014年に「進歩党」を創設して党首になっています。 
https://www.nytimes.com/2023/06/27/opinion/putin-russia-coup.html 
<Nevertheless, the revolt gave the world a rare window into the Russian state’s slow decline. No state with functioning institutions can thrive while in pursuit of senseless military expansionism that contradicts the meaning of democratic and civic values, the most important of which is human life. During Russia’s transition from democracy to authoritarianism to hybrid totalitarianism, Mr. Putin and his elite inner circle have colonized civil society and built a system of repression. This is not a sign of strength, but of desperation. And the outsourcing of critical government functions, like the military role handed to Mr. Prigozhin and his Wagner force, is a glaring manifestation of that weakness.> 
 
 Andrei Kolesnikov氏のこの箇所で興味深いのは、ロシアの政治が民主主義から権威主義、さらに「ハイブリッドの全体主義」に移行しているとしていることです。「ハイブリッドの全体主義」というのが、具体的に何を意味するのかわかりませんが、大統領選挙が行われているがゆえに完全な全体主義とまで言い切れず、「ハイブリッド」としているのかもしれません。そして、プーチンとそのインナーサークルのエリートたちは、ロシアの市民社会を「colonize」したと記しています。つまり、自国を「植民地化」したという意味です。自国を植民地化して、搾取しているのはおそらくオリガルヒと呼ばれる新興の大富豪でしょう。 
 
  私の見立てでは、現在、日本の植民地化に取り組んでいる自民党と同じです。日本でも冷戦終結後、民営化ビジネスが一部のエリートたちを富ませ、派遣業の大幅規制緩和以後は多くの人材派遣会社が乱立しています。ロシアの場合、この植民地化において、言論統制と抑圧が行われてきました。Andrei Kolesnikov氏は人命を軽視し、民主主義や市民の価値観に反する無意味な軍備拡張主義を行う国が繁栄することはあり得ない、としています。これなど日本の今と同じであり、あたかもロシアの2000年の時点に今の日本があるかのように読めました。マスメディアもすでにほとんど統制されたに等しく、ジャーナリズムを行ってきた多くの活字媒体が過去十数年で消えてなくなりました。海外でバラマキをしている日本政府の予算の使途を検証することすらできていません。また、すでにコロナ対策の不手際や無理やり開催した五輪で、十分に企業利益重視、人命軽視が示されています。もうソ連もロシアも他国のことと傍観できないくらいに日本と類似してきています。もし、将来日本に本格的な独裁者が登場するなら、面倒な憲法改正手続きなどせず、一瞬にして憲法をゴミ箱に入れてしまうかもしれません。 
 
 
*[映画評]ドキュメンタリー「ナワリヌイ」…プーチン大統領がその名を口にしない男の肖像 
https://www.yomiuri.co.jp/culture/cinema/20220615-OYT1T50205/ 


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