2023年07月13日10時36分掲載  無料記事
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人類の当面する基本問題

(54)気候変動・地球温暖化対策への不都合な真実 落合栄一郎

 先にも報告した[1]が、気候変動・温暖化阻止が、現在の人類の緊急課題であり、それを阻止には、CO2・N2O・CH4などの温室効果ガスの2030年までの削減の必要性などを信じ込まされた人たち(政治家、政策決定者など)が、次々にとんでもない政策を打ち出しています。しかし、政治家ばかりでなく、科学者(気候科学以外)の中にもこうしたウソの科学を信奉してしまった人たちがいるようである。その最近の動きのいくつかを紹介します。 
 
(1)気候の現実 
 
 まず、現実を見ておきましょう。現実から見て温暖化が進行して危機的状態になっているのか。気候変動論者が1980年ぐらいから主張していた急激な海水面の上昇とそれによる大都市の消滅などは、とても起ってはいない。確かに、近年、旱魃、洪水などが報道され、温暖化のせいだ、危険な状態になっているのだと騒がれることが頻繁になったようではある。しかし過去2、3世紀のそうしたデータを見ると、必ずしも増加しているようには見えないのである。むしろハリケーン、竜巻、山火事などは、ここ150年ぐらい減少しつつあるようである [2, 3]。海水面の上昇は、微小である。しかし、この間、人為によるとされる大気中のCO2の濃度は増えているのである。これだけの事実からでも、CO2が温暖化・気候変動をもたらしているというのは、事実に反することがわかる。その上、詳しく検討してみたら、1750年から2018年までの大気中のCO2の増加のうち、化石燃料の燃焼に基づくものはわずか23%で、残りの77%は別のもの(海洋から、その他)という研究結果も発表されている[4]。すなわち、温暖化による危機は観測されていないし、温室効果ガスなるものの気候変動への影響はほとんどないというのが現実である。ところが、こうした背景事実がありながら、気候変動信者(というより駆動者)たちは、温暖化の危機を煽り、以下のようなとんでもない政策を強行しようとしているのである。何が彼らをそうした政策に駆り立てているのか?どうも、単に温暖化危機=人為CO2その他の温室効果ガスの削減の必要性(例えば、2030年までに半減またはNetZeroにしなければ)という概念が、政治家を含め多くの人々、特に西ヨーロッパの人々の頭脳に染み込んでしまっているからのようである。問題は、誰が、そうした考えを植えつけたのであろうか。この問題の概略は先にも述べた [5]。 
 
(2)とんでもない方策 
 
 まず、先に取り上げた [1] 農業・畜産業を縮少しようとする動きのいくつかを。理由は、主として窒素肥料が、環境汚染物質を, また牛などがメタンを放出するからと(温室効果を増大)。最も熱心にそうした政策を実施しているのはオランダ政府であることは以前にも紹介したが、最近の報道では、オランダのおよそ半分ほどの農地を閉鎖するのだそうである [6]。ドイツでは、一部の州(北ラインーウエストファリア州)で、生産量をあげるよりグリーンにする(汚染物とされている化学肥料を使わないようにする)方が良い政策として、農業でのそうした肥料の使用を制限するのだそうである [7]。 
 肥料問題に基づく農地縮小ばかりでなく、オランダでは、ユーロ共同体の承認を得て、牛、羊などの畜産業も廃止する意向を示している [8]。こうした動物たちがメタンを作り出しているから。アイルランドでは、20万頭の牛を処分することにしたそうである [9]。ニュージーランドでは、メタン排出を2030年までには10%、2050年までには47%削減するするために畜産業に税を科すことにするそうである [10]。水田稲作では、水が停滞していてメタンを作る細菌が繁栄するため、メタン放出が問題であるなどいう主張は先に紹介した [11]。Slow Food ムーブメントなる団体の会合では、食糧生産は、温室効果ガス全体の37%を占めているなどと話されている [12]。そのため、食糧生産削減の必要性などを議論しているようである。 
 医療現場でも、温室効果ガスを出しているとして、医療そのものを縮少するような傾向まで出てきた。アメリカの麻酔医が年会で、1時間の手術間に麻酔を施すことは、自動車が750 km走る時に出す温室効果ガス放出に相当すると発言したそうである[13]。そのために、麻酔用ガスを少なくしなければならないと。手術中の患者の痛みは強くなるだろうが、北極の氷が融けて、我が家(麻酔医の)が水浸しになるのは避けられるなどと、とんでもないことを発言。ガン医学紙にも、2020年に、ガン治療でのカーボンフットプリントを考慮しなければならないという論文も出たそうである [14]。そのせいかどうかわからないが、最近、不思議なことに、ガン治療用の医薬その他が不足し出したのだそうである [14]。 
 地球温暖化を抑える最も直接的な方法は、太陽光を遮ることであるというわけで、太陽光を遮る方策が色々と画策されている。最も広く実施されているのが、いわゆるケムトレールで、航空機から、微小粒子(ガス)を撒き散らす方法である。以前は、雨量を作り出す方法として長年使われた施策(顕著な1例 [15])だが、大規模に撒き散らして、太陽光をかなり遮断しようというわけ。この太陽光遮断をアメリカ政府の言い方では、SRM (Solar Radiation Modification)という”geoengineering”(地球工学)とし、その実施を数年の間に実現したいと報告されている [16]。 
 最後に当然のこととしてすでに脱炭素のために利用されていることについて。電気自動車と水素を燃料とする自動車その他。どちらも、見かけレベルでは明かに脱炭素には違いない。しかし、電気自動車のための電気エネルギーはどこから来るのか。太陽光などの再生可能エネルギーからの電力?もちろん、そうあれば結構。しかし、現実的には、少なくとも今後数十年間は、化石燃料による電力に依存せざるを得ない。ということは、結局CO2を大量に出すことになる。おそらく、電気自動車が多くなれば、電力不足で、運行できないといったことが多いに起きるであろう。 
 では、水素エネルギーはどうであろう。水素を燃やすと水(環境に害がない)が出来、大量のエネルギーを出すが、CO2は出さない。ということで、理想的な燃料と見做されている。しかし水素はどこから来るのだろうか?現在は、石油と水の反応により水素を作っている。その反応ではCO2ができる。だからCO2削減にはならない。理想的には、水を電気分解するという方法はある。これではCO2は発生しない。しかし、その電力はどこから得られるのか?どちらも、化石燃料電力に依存するとしたらCO2を作り出すし、直接的使用よりも、エネルギー効率は格段に低くなる。 
 
(3)気象現象の複雑さ 
 
 以上全て、「人間が作り出すCO2 (その他)による温室効果で地球が温暖化(過剰な)され、人類を危機に陥れつつある、そうした危機を避けるためにはあらゆる方策をこうじなければならない」という、間違った観念が人々に植え付けられてしまっているからである。しかも、現在の報道機関は、よく行き渡っていて、洪水だ、旱魃だ、竜巻だと人々の目に焼きつく報道が世界中で行われている。人々は、それがすぐ、地球温暖化のせいだと思わされている。上でも述べたように、こうした気候変動は被害をうける人たちにとっては恐怖には違いないが、過去まで遡って見てみると、何度もあったことで、現在異常気象が特別頻発しているわけではない。ただ、報道機関の発達で、どうしても頻発しているように思わされてしまうことは事実である。いずれにしても、年々少しづつ増えているけれども、CO2(現在大気中の0.04 %)のわずかな上昇が急にこのような異常気象を起こすわけがない。ただ、今回の北九州の豪雨をもたらした線状降水帯のような気圧配置が、どうして多くなったかとか、その他の現象が、現在停滞しているらしいエルニーニョ・ラニーニャの影響などもあるのかもなど [17]、気象現象の複雑さは、まだまだわからないことが多いように思われる。 
 
 
[1] http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202304131332484; 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202305181000544; 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202208221011251 
[2] https://expose-news.com/2023/06/15/wildfires-were-more-extensive-in-the-past/ 
[3] https://www.climate.news/2023-02-16-climate-crisis-that-activists-keep-talking-about.html 
[4] https://journals.lww.com/health-physics/fulltext/2022/02000/ 
world_atmospheric_co2,_its_14c_specific_activity,.2.aspx 
[5] http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202304131332484 
[6] https://www.climate.news/2023-05-10-dutch-government-seize-half-farmland-nitrogen-emissions.html 
[7] https://www.climate.news/2023-05-05-european-union-dutch-government-shut-down-animal-farms.html 
[8] https://climate.news/2022-12-07-germany-restricts-fertilizer-usage-eu-green-agenda.html 
[9] https://www.globalresearch.ca/ireland-proposes-culling-200000-cows-help-meet-climate-goals-farmers-push-back/5824601 
[10] https://www.climate.news/2022-10-25-nz-farmers-demand-cancellation-burp-fart-tax.html 
[11] http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202305181000544 
[12] https://www.climate.news/2022-10-05-climate-activists-food-cause-of-environmental-crisis.html 
[13] https://www.censoredscience.com/2023-02-07-global-warming-cult-less-anesthesia-save-planet.html 
[14] https://www.censoredscience.com/2023-06-26-cancer-society-treatment-carbon-footprint-drug-shortage.html 
[15] http://www.huffingtonpost.com/2011/01/03/abu-dhabi-rainstorm_n_803554.html 
[16] https://www.globalresearch.ca/beyond-insanity-white-house-wants-to-block-sunlight-to-save-planet-from-global-warming/5824770 
[17] 東京新聞7月4日 https://www.tokyo-np.co.jp/article/260767 


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