2023年08月01日15時58分掲載  無料記事
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アジア

ミャンマー非常事態宣言4度目の延長、総選挙も先送り 抵抗運動への弾圧強化

 ミャンマー軍評議会(SAC)は31日、ネピドーで国家防衛安全保障理事会を開催し、国営放送(MRTV)を通じて2021年2月1日に発令した非常事態宣言を半年間延長すると発表した。ミンアウンフライン総司令官は、延期の理由として民主派や少数民族武装勢力による各地での抵抗運動を挙げ、総選挙について「現状では不可能だ」と述べた。 
 ミャンマー軍は2021年2月1日にクーデターを起こし、非常事態を宣言した。翌2日には軍評議会(SAC)を設置し全権を掌握した。その後、非常事態宣言を繰り返し、今回が4度目の延長となり総選挙も先送りされる。 
 ミャンマージャポンによると、会議には、ミンアウンフライン総司令官やミンスエ大統領代行、ソーウイン副総司令官、国防省大臣ミャトゥンウー大将らが出席した。 
 また、軍評議会(SAC)が発表した人事異動によると、現職の警察庁長官ジンミンテッ少将に代わり、新たに就任したのはニーリンアウン中将で、内務省副大臣も兼務するという。 
 ニーリンアウン中将は軍士官学校出身で、2022年8月までシャン州南部とカヤー州を管轄する東部軍管区の管区長を務め、その後三角地帯軍管区の管区長として少数民族武装勢力との戦闘や市民に対する弾圧を指揮した総責任者だったことが知られている。 
 2021年12月にカヤー州ディモーソー郡で発生した大量虐殺(住民ら50人が死亡)を指揮した人物ともみられている。 
 国民防衛隊(PDF)のある隊員は、「大量虐殺の首謀者が警察庁長官に就任したことで弾圧がさらに激しくなり、よりひどい虐殺が起こる可能性がある」と警戒を強めた。 
 その一方で、民主派の国民民主連盟(NLD)は7月28日、民主化運動の指導者アウンサンスーチー国家顧問が24日に収監先の刑務所から政府施設へ移送されたことを確認した。NLD関係者によると、スーチー氏は首都ネピドーにある要人が使用する施設に移されたという。 
 スーチー氏は2021年2月1日に拘束され、SAC傘下の裁判所が計33年の有罪判決を言い渡し、刑務所に収監されていた。同月9日には、ミャンマーを訪れたタイのドーン副首相兼外相と面会。外国要人との面会が明らかになったのは、2021年2月のクーデター後初めてで、ドーン氏によるとスーチー氏は元気だという。 
 スーチー氏の移送は国内外の国軍批判をやわらげる措置とみられるが、非常事態宣言の再々延長により民主派勢力への弾圧はこれまで以上に強まりそうだ。 


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