2023年10月15日19時33分掲載  無料記事
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農と食

欧州委員会 グリホサート10年延長可決できず

 今年12月15日が登録期限のグリホサートについて、欧州委員会は10年の登録延長を提案していた。そして10月13日に行われた植物・動物・食品・飼料常設委員会(SCOPAFF)での登録延長に係る加盟国の投票は、適格過半数(15か国以上、人口65%以上)に達せず可決されなかった、と欧州委員会が発表した。この後、11月前半に開催の上訴委員会で再度投票に付せられるが、ここでも可決できない場合、最終的には期限前日の12月14日までに欧州委員会が独自に決定することになる。加盟国個々の賛否は、現時点では明らかになっていない。除草剤の主要成分であるグリホサートは発がん性が指摘されている。(有機農業ニュースクリップ) 
 
 
 ・Europian Commission, 2023-10-13 
  Glyphosate: no qualified majority in Standing Committee, proposal for renewal now to proceed to Appeal Committee 
  https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/statement_23_4962 
 
 この投票に先立ちEuractivが加盟国の賛否を報じていた。これによれば、登録延長に賛成はスペイン、チェコなど14か国で、人口で50.6%と的確過半数には達していなかった。結果を大きく左右する人口を有するフランスは態度未定であり、ドイツは棄権だとみられていた。この見方によれば、態度未定のフランスが賛成すれば、必要な適格過半数をわずかに超えて登録延長が可決される微妙な情勢だった。したがって常設委員会で可決できなかったということは、少なくともフランスが賛成に回らなかったということになりそうだ。 
 
 ・Euractiv, 2023-10-12 
  Glyphosate renewal: A ’round-up’ of how EU countries plan to vote 
  https://www.euractiv.com/section/agriculture-food/news/glyphosate-renewal-a-round-up-of-how-eu-countries-plan-to-vote/ 
 
 この投票結果を受けて農薬行動ネットワーク・欧州(PAN Europe)は即座に声明を発表した。その中で、「グリホサートの登録延長(再登録)は、健康と環境が最優先されるべきと定めたEU農薬法に違反する。疑わしい場合には、予防原則を発動する必要がある」とPAN Europeのゲルゲイ・サイモンさんは述べている。 
 
 ・PAN Europe, 2023-10-13 
  EU Member States do not agree on glyphosate renewal 
  https://www.pan-europe.info/press-releases/2023/10/eu-member-states-do-not-agree-glyphosate-renewal-0 
 
 9月に公表されたフランスやドイツなどEU6か国での世論調査では、グリホサートの登録延長に6割が反対し、賛成は2割足らずだったという。 


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