2024年01月01日11時19分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202401011119171

欧州

イタリア年金こぼれ話〜チャオ!イタリア通信(サトウノリコ)

 日本でも少子化問題が深刻だと思いますが、ここイタリアでも少子化問題は深刻です。少子化ということは、長年言われていますが、年金問題にも関わってくるわけです。今回は、イタリアの年金についてです。 
 
 ちなみに、イタリアの平均出生率は1.25人で、内訳は1.18人(イタリア人)と1.87人(外国人)となっています。私の周りでは、子どもが二人いる人が多く、これほど出生率が低いとは少し驚きです。 
 
 イタリアの年金受け取り年齢は、2019年から67歳となっています。最低でも20年間、年金を支払っていればという条件があります。また、年金の平均額は一人当たり約1,179ユーロとなっています。(今の為替レートで計算すると、約18万円(12月29日現在1ユーロ=156円)ということになります。)現在のイタリアの平均収入が月1,700ユーロと言われていますので、それよりも少し低い額となります。 
 
 男性と女性の年金額の差があり、男性の平均年金額は1,669ユーロで、女性は945ユーロとなっています。40年間の年金支払いがあると、最後の給与の60%が年金として支給され、30年間の年金支払いでは48%が支給されます。つまり、男性と女性の給与の差が年金の差に反映されていると言ってもいいでしょう。平均月収でみると、男性は約2,200ユーロ、女性は1,500ユーロとなっています。また、結婚や出産で仕事を辞める女性もいると思います。 
 
 私がイタリアに来たばかりの15年ぐらい前は、最後の給与をそのまま年金としてもらえるという話を聞きました。また、40代ぐらいで早期退職して年金をもらえる制度もあったようです。私の義父は、小学校の教師をしていましたが、その制度を利用して40代で年金生活に入りました。その後は、年金をもらいつつ絵描きとしても収入を得ていました。 
 
 少子化問題が年金問題を直撃することは予想できますが、さらに失業問題や不法労働問題なども大きく関わってくるでしょう。イタリアの失業率は2021年15歳から29歳で33%と若者の就職難が大きな問題となっています。 
 
 私の義母は持病があるので、週1回病院に治療で通っていますが、地元の町のミゼリコルディアというボランティア団体の車で病院に送迎してもらっています。ボランティアと言っても、こうしたサービスが必要なお年寄りや市民の寄付で成り立っているミゼリコルディアですが。この送迎をしてくれる30代の男性が安定した収入の仕事を探して、結婚したいという話をしたと言っていました。仕事を探しているが、月800ユーロぐらいしかもらえないと愚痴っていたとのこと。親から独立して生活するとなると、800ユーロでは家賃でなくなってしまいます。 
 
 年金から話はそれますが、若者の収入が低いということはよく聞きます。例えば、イタリアのグッチやプラダなどファッション業界で有名なブランドが多いですが、あるブランドで働いた男の子(28歳)の話です。会社はまず試用期間として若者を雇用します。この試用期間では月300ユーロ以下の給与は規則違反になります。会社は若者たちからアイデアを出させて、良いアイデアは会社で使用して試用期間が終われば、解雇をしているとのこと。その子は「アイデアを盗んでいる」と言っていました。 
 
 不法労働問題では、現在イタリアでは約300万人が雇用契約なしで労働をしているとの統計があります。(私もその内の一人ですが。結婚している女性は、清掃業やベビーシッターなどで個人的に仕事をして収入を得ている人も多いようです。また、夫の自営業を手伝っている妻なども、こうした不法労働の中に入るでしょう。)この300万人は年金を支払っていないことになります。この問題は、イタリアの税金が高いということが基本にあります。会社側は税金を払いたくないために雇用契約をしないと聞きます。 
 
 こうした社会状況は、必ず将来の年金制度の土台を揺るがすことになるでしょう。現在の政府は、年金受け取り年齢を引き上げることしかできなさそうですが。イタリアは年寄りの国―政府や会社などの主要な役職に年寄りがいて、若者の場がない―と言われており、ますますその傾向が強まるのでしょうか。。。年金一つ見ても、社会の色々な問題が見えてくるものです。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。