2024年02月25日20時26分掲載  無料記事
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核・原子力

文献調査に提言 原子力資料情報室が会見

 原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向け、原子力発電環境整備機構(NUMO)は、13日、北海道寿都町及び神恵内村で地層処分を見据えた文献調査の報告書案を公表した。同報告書案では、寿都町の全域と神恵内村の南端に地層処分の適地があることを示し、次の調査段階である概要調査に進む候補地とした。今後、文献調査の報告書案は地層処分技術WGで審議される。 
 
 地層処分は、2000 年 に国会で制定された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」で決められた。これに伴いNUMOによる地層処分事業が進められているが、この地層処分については専門家から多くの批判が出ている。昨年10月には、研究者ら約300人が、世界最大級の変動帯である日本に地層処分の適地はないとして、地層処分計画の中止を求める声明を出した。 
 
 こうした動きがある中、「認定NPO法人原子力資料情報室」は、22日、上記の声明の呼びかけ人を参考人として地層処分技術WGの議論に参加させることを要請する提言をホームページに掲載し、同日、記者会見を行った。 
 
 会見では、特定放射性廃棄物小委員会委員であり、原子力資料情報室の高野聡氏が提言を公表した趣旨について説明を行った他、北海道大学名誉教授の小野有五氏、北海道教育大学名誉教授の岡村聡氏が、地層処分の問題点を技術的な観点から解説し、報告書案について次の点などを指摘した。 
 
◯能登半島地震を起こした海底活断層は、変動地形学的手法でのみ認定されるが、音波操作に偏ったデータをもとにしか活断層の存在を確認していなく、活断層の存在が過小評価されている。 
◯ 原子力規制委員会の規制基準は、海底活断層の認定には、変動地形学的手法も採用すべきであると明記しているにもかかわらず、それを無視している。 
◯能登半島では深部流体が群発地震を引き起こすのに関与した。深部流体を起源とする低周波地震は、文献調査の対象地域である寿都湾内陸部でも観測されているが、そうした検討が行われていない。 
◯耐用年数原則40年の原発と比べて10万年間の保管施設建設である高レベル廃棄物の地層処分において、安全基準はどのように考えるべきかという根本的な定義がなされていない。 
 
 地層処分については専門家による批判が相次いでいる他、文献調査の対象となった寿都町の市民団体「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」の女性は、「寿都町が文献調査の対象になってしまい、住民が賛成派と反対派で分かれてしまった。普通に暮らしてきた町でこんなことが起きることは想像もしなかった」として、文献調査に伴い町人同士の繋がりがこれまでと変わってしまった現状を指摘する声も上がっている。 
 
 文献調査の報告書案は、今後、地層処分技術WGで審議されることになる。概要調査に進むことを前提とする審議を避けるためにも、地層処分の危険性を指摘する専門家を交えることが必要であり、それができて初めて公平性が保たれた議論が成立する。また、地層処分に関する議論を進める上では、技術的な側面だけではなく、何よりも対象地域となっている現地住民の声を聞き入れる必要がある。事業者であるNUMOは、対象とされる地域住民のコミュニティの変化に気がついているだろうか。地層処分技術WGの審議に加えてNUMOの現地住民に対する対応を今後も注視したい。 
 
 以下、地層処分技術WGへの提言 
 
【地層処分技術WG への提言】「声明」の呼びかけ人を参考人として技術WGの議論に参加させよ | 原子力資料情報室(CNIC) https://cnic.jp/50637 


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