2024年02月27日13時11分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202402271311592

入管

【入管問題】監理措置制度にNO! 弁護士団体が記者会見 私たちは監理人になれません

 今年6月までに施行予定の改定入管法と同法の施行に併せて運用が開始するといわれている監理措置制度について、これに反対する弁護士団体が26日に都内で記者会見を行なった。会見では、「監理措置制度にNO!私たちは、『監理人』になれません。」と題した声明を発表。国際人権法違反の改定入管法の施行を前提とし、被監理人と監理人の双方を支配しようとする同制度に対して、NOを突き付けた。また、同声明に、弁護士や支援者など400人近い人数が賛同していると公表された。 
 
 監理措置制度は、現行の仮放免制度に代わって運用が想定されている制度で、出身国に帰国することができない「被監理者」に、現状を届け出る義務を課し、この義務に反した者には刑事罰が科されるものとなっている。また、仮放免制度下で収容施設での収容を解く際に必要とされていた「保証人」が「監理人」に置き換わり、監理人が届出や報告などをしなかった場合には過料の制裁が科されることになる。 
 
 会見を主催した入管を変える!弁護士ネットワーク(変えるネット)の駒井知会弁護士は、「監理措置制度は、国際人権法違反である原則収容主義を維持するための制度」と、制度の在り方を問題視。同制度上、入管の裁量で「送還可能な時まで収容しないことが相当と認める時に監理措置に付する」とされていることについて、「司法審査度外視の制度」と語った。その上で、「仮放免制度もいい制度ではないと言い続けてきたが、この監理措置制度よりはマシ」と現行の仮放免制度以上に外国籍の者への締め付けを強化しようとする監理措置制度に警鐘を鳴らした。 
 
 また、これまで100人から200人の仮放免者の保証人になってきたという原町田教会の宮島牧人牧師も発言。宮島氏は、「この制度が運用されることで、日本に知人がいない者の収容が長期化する可能性がある」と語った。現行の仮放免制度の下で、日本に知人がいない仮放免者の保証人になってきた宮島氏は、「この制度が導入された場合は、そのようなこと(保証人=監理人になること)はもうできないと思っており、そうなると(長期収容により)心を病む者が増えるのではないかと懸念している」と述べた。 
 
 さらに、関東近郊で仮放免者への面会活動などに取り組んでいる支援団体BONDの鎌田和俊氏。制度の導入により、「(被監理人は)プライバシーを全て監視され、監理人は監視しなければいけなくなる」とした上で、「入管の手先になって、自分の家族を監視するなんていうことは認められない」と、監理人になる可能性がある当事者家族の思いを代弁して紹介した。 
 
 加えて変えるネットの共同代表である指宿昭一弁護士は、監理人の成り手がいなくなることで、「貧困ビジネスが入ってくる可能性もある」と指摘した。 
 
 入管主導の制度改変が、貧困ビジネスの温床になるようなことがあれば、日本の入管政策の在り方そのものが問われかねない。成り手のいない監理措置制度を、入管はどのように運用しようとしているのか。同制度の在り方を今後も注視していく必要があるといえるだろう。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。