2024年02月29日14時29分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202402291429064

アジア

クーデターから3年のミャンマー 徴兵制開始で広がる不安の声

 ミャンマーで軍事クーデターが発生してから3年が経過した。昨秋の「1027作戦」(2023年10月27日に3つの少数民族勢力が連携し国軍拠点などに一斉攻撃をかけた作戦のこと)をはじめとする民主派勢力の抵抗により、国軍兵士の投降が相次ぐなど、軍の弱体化は間違いなく進んでいる。また、国軍は今月に入り、国民に兵役の義務を課す徴兵制の実施を発表するなど、軍は今“兵士不足”という窮地に陥っている。 
 
 クーデターから3年となった2月1日、都内では「ミャンマーの民主化を支援する議員連盟」による院内集会が開催され、多数の在日ミャンマー人や日本人支援者らが参加した。集会には、ミャンマー国民統一政府(NUG)のウィンミャットエイ人道問題・災害対策担当大臣が出席し、基調講演を行なった。 
 ウィンミャットエイ大臣は、軍の駐屯地を掌握するなどして支配地域を拡大し続けている国民防衛隊(PDF)の成果を報告する一方で、国内避難民の状況については「食糧が必要な所に届かず、現在、三分の一の国民が飢えている。国軍の妨害を避けるためにも、NUGを通じた支援を実行してほしい」と呼びかけた。 
 オンラインで参加したNUG駐日事務所のソーバラテイン代表は、「日本政府も(ミャンマー情勢について)心配しているだけでなく、NUGと手を組み支援してほしい」と訴えた。 
 
 また、長年、在日ミャンマー人支援に携わる日本人支援者の熊澤新さんは、クーデターから3年が経った今、「ようやく終わりが見えてきた」と話す。「国軍は突如、徴兵制度の開始に言及するなど、軍は間違いなく崩壊しつつあるし、軍によるミャンマー国内の統治は、全くといって良いほどうまくいっていない」との見方を示した。 
 一方で、ミャンマーで徴兵制が実施された場合の弊害について、熊澤さんは「ミャンマー人は、海外で就労する場合、政府から『海外労働身分証明カード』(OWIC)を発行してもらう必要がある。国軍がOWICの発行を停止すれば、今以上にミャンマー人は他国に避難することが困難になるだろう」と懸念を示した。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。