2024年04月05日10時55分掲載  無料記事
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難民

クルドの祭典「ネウロズ」〜共生社会の実現に向けて〜

 3月20日、埼玉県さいたま市桜区にある「秋ヶ瀬公園 三ツ池グラウンド」で、クルドの新年を祝う祭典「ネウロズ」(Newroz)が開催された。ネウロズはクルド語で「新しい日」を意味しており、毎年3月に開催されている。 
 
 今年、ネウロズの開催をめぐっては、秋ヶ瀬公園の管理業務を担う「県公園緑地協会」が主催団体に対し、同公園の使用許可を出すことに難色を示したほか、ネットやSNS上でネウロズの開催中止を求める声が溢れるなど、一時、開催が危ぶまれていた。 
 ところが、こうした事態を見かねたクルド人支援団体などは、公園の使用許可を求め、水面下で協会側と交渉。結果的に音楽の音量に配慮することなどを条件に、協会側は公園の使用許可を出すこととなった。 
 
 ネウロズ当日、会場にはネウロズの開催を心待ちにしていたクルド人や日本人を含む約1,000人以上の参加者が集まり、クルドの伝統音楽や踊りを楽しんだ。 
 ネウロズに参加したクルド人支援団体の男性スタッフは、「今年は例年に比べ、日本人の参加者が多かったように思える」と述べるなど、今年のネウロズは、開催前から良くも悪くも注目を集めていただけに、改めて注目度の高さが窺える。 
 その一方で、「無用なトラブルを避けるため、我々は事前に警察に対して警備要請をしていた。そのためか、当日は大勢の警察官が配備され、物々しい雰囲気に包まれていた」と話す。しかし、現時点ではネウロズ当日に大きなトラブルがあったという報道は見られず、「会場の入り口付近でクルド人とネトウヨと思しき人物が揉めそうになる場面もあったが、多くの人が予想していたようなトラブルは起きず、例年通り無事に祭りを開催することができてよかった」と振り返った。 
 
 国を持たない最大の民族と呼ばれるクルド人は、現在、埼玉県川口市周辺に約2,000人以上が集住しているとされる。こうしたクルド人は、本国での“迫害”や“弾圧”から逃れるため、他国に住む親族などを頼りに避難生活を送っている。 
 騒音トラブルをはじめとする地元住民との軋轢が注目される中、クルド人コミュニティの有志たちは被災地である石川県・能登に赴き、キッチンカーでケバブやスープを被災者らに提供するなど、“他人想い”な面も垣間見える。 
 今後、こうしたクルド人たちとの“共生社会”を構築していく上で、我々に求められているのは、異国の地から来た人々を受け入れる“寛容さ”ではないだろうか。 


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