2024年04月07日02時28分掲載  無料記事
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入管

迫る改定入管法の施行 当事者らが院内集会開催 私たちの未来を助けて

 政府は4月5日の閣議で、3回目以降の難民申請者に対する強制送還を可能にする改定入管法を6月に施行する方針を決定した。これにより、複数回難民申請者の送還が強化されることになる。同法に関しては、制定の段階から立憲野党の国会議員や市民などから反発の声があがり続けてきた。同閣議決定前の4月1日には、改定入管法の施行により強制送還の可能性が高まる仮放免当事者などが、参議院議員会館内で集会を開催。出身国への強制送還ではなく平等に在留資格を付与するように強く求めた。 
 
 同集会では、様々な国籍の仮放免当事者が発言。在留資格のない未成年者が、「これからも家族と日本で暮らしたい」「私たちの未来を助けて」と、今後の生活に対する不安な思いを口にした。また、在日クルド人のユージェル・マヒルジャン氏は、「(入管は)何かの役に立ちたいという思いを持った子供達をもっと大切にすべき。子供達こそが日本の未来である」と、在留資格のない未成年者に差異を設ける今の入管制度の在り方に警鐘を鳴らした。 
 
 集会には立憲野党の国会議員も参加。日本共産党の本村伸子衆院議員は「全ての子供たちに、最善の利益と人権が保障されなければならない」と、より平等な外国人受入制度の必要性に触れた。また、立憲民主党の石垣のりこ参院議員は「『好きなように生きさせて』と、(当事者が)この場に来て言わなくともいいような社会にしなければならない。与党は(このような声を)しっかりと受け止めてほしい」と、当事者の声を汲み取ることなく制度改定を進めようとしている与党の姿勢を疑問視した。 
 
 4月2日には支援団体が未成年仮放免者とその家族に平等に在留資格を付与するように求める署名約43,000筆を入管庁に提出。提出に際し、指宿昭一弁護士は「入管庁は未成年者とその家族に在留資格を与えると言いながら、線引きをして非常に厳しい形でしか認めていない。これは大きな問題」と、分断ではなく共生のための制度創設を強く求めた。 
 
 今後同法が施行されることで、仮放免当事者が強制送還される可能性が高まるだけでなく、新設された監理措置制度の運用開始にともない、監理人の“なり手”がいない当事者が入管施設に長期収容される事態も懸念されている。今国会で審議が進められようとしている法案では、永住許可の取消も強化されようとしており、外国人材の定住化を前提とした受入制度の創設が進められているとはとても言い難い状況にある。日本の入管制度の問題点が国際機関から度々指摘される中、“共生”ではなく“分断”を進めようとする法改定が諸外国の人々の目にどう映るか。少なくとも、“魅力的な国”とは映りにくいであろう。場当たり的な法制度を創設するのではなく、長期的な目線で日本の外国人受入政策の在り方を根本から議論することが求められている。 


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