2025年02月18日16時09分掲載
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市民活動
「政府は教育予算の拡充を」学生100人以上が学費値上げ反対の声 修学支援新制度の問題点も【院内集会】
近年、首都圏の大学を中心に学費の値上げが相次いでいる。2019年には東京工業大学(現・東京科学大学)と東京藝術大学で授業料が値上げされ、その後、千葉大学、早稲田大学、慶應大学などでも値上げが行われた。直近では、昨年5月に東京大学が値上げを検討していることが明らかになり、同年9月には正式に値上げを発表した。東大の授業料は、現行の535,800円から約11万円増の642,960円となり、来年度の学部入学生から新たに適用される。国立大学が法人化して以降、学費は長年に亘って据え置かれてきたが、いまその流れに変化が起きている。
こうした中、学費値上げの撤廃を求める学生たちは13日、千代田区の衆議院第二議員会館で集会を開き、値上げによって学生が直面する問題点などについて報告を行った。集会には東京大学、武蔵野美術大学、中央大学、大阪大学、広島大学、熊本大学などの学生ら100人以上が集まったほか、野党の議員らも連帯の挨拶に駆けつけた。また、集会の最後には「東大学費値上げ反対緊急アクション」などの値上げ撤廃に取り組む学生ら有志で作成した要請書が、財務省、総務省、文科省の担当者や野党議員らにそれぞれ手渡された。要請書では、「学費値上げを止めること」「現行の学費をまずは10万円引き下げること」「給付型奨学金を拡充すること」の3点を実現するために、必要な予算措置を国に求めている。
学費が高いのであれば奨学金制度を活用すればよいとの意見もある。これに対し、一橋大学の学生は「制度を使って当たり前という考え方は生存バイアスそのものだ」と指摘する。学費値上げの背景には、物価高騰などによる経常的経費の増加や大学への運営費交付金・助成金の減額などの様々な事情が関係している。そのような中、学生にのみその負担を課す物言いは強者の論理であり、「問題を矮小化するだけ」だという。
日本学生支援機構が実施する貸与型の奨学金を借りている学生は、卒業後に数百万円もの借金を背負って社会に出る場合も多い。東京大学教育学部の学生は「奨学金を借りて大学に通うことができたが、卒業後には多大な借金を抱える。これは、将来のキャリア選択や生活設計にも大きな影響を与える。好きな職に就こうと思っても手取りが安く、借金を返せないのではないかとの不安が頭をよぎる」などと語った。
政府は2020年4月、「高等教育の修学支援新制度」と称して、給付型奨学金と授業料の免除などを組み合わせた新たな支援制度をつくった。家計基準や成績基準を満たせば、給付型奨学金と授業料の減免措置が受けられる。世帯年収などによって第�偽菠�から第�原菠�に分けられ、これに応じて支援額も変わる。ただし、第�原菠�で支援を受けられるのは、扶養する子どもが3人以上の多子世帯や私立理工系学科の学生に限られる。この新制度は経済的に困難な学生にとっての希望の光とも言えるが、いくつか問題もあるようだ。
この日参加した東京大学の学生は、新制度を利用できたことから無理なバイトをすることもなく学業に集中できていたという。学問への関心も高まり、将来的に研究者になる夢も抱くようになった。しかしある日、同制度の対象外となったことを知らせる通知が突然手元に届いた。何があったのか。
「姉が大学卒業後に就職して両親の扶養から外れたことで、多子世帯の基準を満たさなくなった。それで支援区分が第�原菠�となり、給付型奨学金が停止されてしまった。この制度では給付型奨学金の支給と授業料の減免がセットになっているため、これにより授業料の免除も受けられなくなった。すぐに数十万円もの授業料を用意しなければならずパニックに陥った。私立大学に通う弟も同制度を利用していたが同じく対象外に。両親に2人分の授業料を支払う余裕はなかった」(東大学生)
ひとたび支援区分が対象外となれば、同時に授業料の負担を課されるなどの危うさを抱えた新制度だが、この学生は区分変更の通知時期についても問題を指摘する。
「支援区分の通知と授業料の支払い期日が近すぎる。私の場合、9月に通知を受け取ったため、11月の授業料の納入期限まで2ヶ月しかなかった。たまたま大学独自の授業料免除制度に申請できたため、支払いは申請結果の出る1月まで猶予をもらった。だが、本来であればたった2ヶ月間で数十万円を用意しなければならない。これでは金銭面だけでなく、身体や精神までもが追い詰められてしまう」(同)
熊本大学の学生は、「私の友人は家計が厳しくアルバイトに追われていた。そのため勉強時間をうまく確保できず、新制度の給付型支援金の成績要件を満たせなかった。その結果、さらにアルバイトの時間を増やさざるを得ないという悪循環に陥ってしまった」と報告。新制度は困窮する学生ほど、逆に使い勝手が悪いという側面もあるようだ。
また、学費値上げは日本人学生だけの問題ではない。武蔵野美術大学の学生は次のように語り、会場からはどよめきが起こった。
「武蔵野美術大では『修学環境整備費』の名のもと、留学生のみに対して年間363,000円、4年間で145万2,000円の増額が行われた。年間の学費は230万円近くとなり他大学とは比較にならないレベルだ。値上げに際して留学生に対する事前のヒアリングもなく、その後に実施された大学の説明会では整備費の具体的な使途も提示されず、挙げ句の果てには留学生の日本語能力をその場で試したり、日本文化の理解不足を前提とした不適切な発言があった」(武蔵野美大学生)
このほか、多くの学生から値上げに反対する声が上がったが、共通するのは居住地や経済的な事情にかかわらず、誰もが安心して勉学に励むことができる環境の整備とこれを実現するための適切な予算措置だ。国立大学への運営費交付金は、ここ20年間で約1,600億円減少し、私立大学への助成金も全体として減少傾向にある。一方、「国際卓越研究大学」に象徴されるとおり、国は「選択と集中」の名のもと”稼げる大学”に対して重点的に税金を投入する。大学教育は将来の有望な研究者や社会に貢献する人材を育成するための投資行動と見ることができる。その受益者となる政府は、学生軽視の態度を捨てて適切な高等教育費の拡充を行うべきだ。
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