2025年07月11日22時39分掲載
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入管
排外主義に抗する生活困窮者支援現場からの訴え 瀬戸大作
反貧困ネットワーク主催で衆議院第一議員会館において「緊急記者会見ー排外主義政策に抗する生活困窮者支援の現場と当事者からの訴え」を7月19日に開催しました。参議院選挙中ですが、多くの政党や政治家による「外国人が日本の社会保障の負担になっている」「日本人ファースト」とする排外主義的な政策と発言が繰り返され、各党が排外主義政策を競い合っている危険な状態となっています。政治家がしてはならないことは、人の心の妬みや憎しみ、差別を煽ることです。「外国人労働者が増えると賃金が下がる」、「日本人が払った税金は日本人のために使う」など、貧困と格差を外国人のせいにして、排外主義政策をおこなってはならないと私たちは考えたからです。
●入国管理庁が5月23日に「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を公表しました。私たちの現場には「不法規滞在」とされた仮放免者から、強制送還を迫る具体的圧力を受けているなど悲痛な声が連続して届くようになりました。入管が一方的に主張する「ルールを守っていない」とされる「不法滞在者」とは、出身国に帰ることができない事情がある人たちです。
●今回の記者会見開催に向けて背中を押してくれたのがk「仮放免高校生奨学金プロジェクト」の学生チューターからの訴えでした。奨学金プロジェクトでは40名の仮放免高校生を支援、約30名の学生チューターが伴走していますが二件の悲痛な声が届いたのです。入国管理庁が「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を出してから一か月もたたない6月中旬のある日、仮放免状態である高校生の父親に退去強制令書が入管庁から出されました。「父に退去強制令書が出た。どうしたらいいかわからない」「入管への出頭期間は3か月から1か月に短縮されました。」
別の高校生からの悲痛な声は「両親にも退去命令が出されていました。それも、8月上旬までに退去するようにと期限が明示された書類付きです。両親に退去命令が出されれば彼の生活基盤が崩れ、大学受験どころではなくなってしまいます。」子どもの学ぶ権利すら一方的に奪う入管政策に対し声をあげよう。排外主義を掲げるやり方に私たちのような困窮者支援団体が社会に訴えること、選挙権もなく声もあげると弾圧される可能性が高い当事者を守る事は私たちの責任であるからです。
●今日の記者会見には4名の仮放免状態の私たちの「なかま」が勇気を振り絞り発言してくれました。今日の報告中に入管庁職員からの退去を執拗に迫る威嚇的発言が蘇り動悸が止まらない状態となってしまった大好きなJCさん JCさんは3回目の難民申請が却下されている。日本に来て30年、こんな酷い日本なのにJCさんは「私の故郷は日本、日本が大好きです。」本当にごめんね。これからも一緒だよ「なかま」であり続けるよ。
アフリカ出身のTさんは涙を流しながら訴えた、
「4人の子は日本で生まれた。1人は難病だが医療も受けられない。手術を受けることができないどころか、通院もできなくなった。私の子どもは犯罪者ではありません」
●日本の入管がおこなっていることは生存権を奪い「いのちを奪う」犯罪行為だと思いませんか。この事実をもっともっと知ってほしいです。もっともっと報道してください。参政党は「医学的には精神病ってないらしい」「発達障害でマーケットをつくりだし、麻薬を注入してる。日本人の自覚を持てば治るそうです」こんな発言を街頭演説で展開しています。ナチスの優性思想!絶対に許してはいけません。
【反貧困ネットワーク声明】
2025年7月10日
生活困窮者支援の現場から、排外主義に抗するための呼びかけ
私たちは、生活困窮者を支援する市民団体です。私たちは、国籍や在留資格に関係なく、誰であろうとも、人として尊厳ある生活を実現するための支援をしています。
今、参院選を前にして、政府やいくつかの政党による「外国人が日本の社会保障の負担になっている」、「不法滞在の外国人が治安を脅かしている」、「日本は外国人の人権が守られていない国だから、来ない方がよい」とする排外主義的言説が蔓延しており、私たちが支援する人たちが標的にされています。
事実は、まったく異なります。外国人は、在留資格によっては、ほとんどの社会保障制度から排除されているからこそ、私たちのような民間団体が、市民からの寄付を財源にし、外国人の生活困窮者の生存権を保障するために活動しているのです。
そもそも日本の貧困問題が深刻化しているのは、2001年の「聖域なき構造改革」以降、社会保障をはじめとする公共サービスが削減されてきたからであり、外国人の責任ではありません。それにもかかわらず、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」が掲げられ、外国人がいなくなれば社会問題が解決するかの如き政策が展開されています。
「ルールを守らない外国人」として標的にされている「不法滞在者」とは、私たちが支援する仮放免者です。仮放免者は、ほとんどすべての社会保障制度の利用ができないため、衣食住のすべてを民間の支援に頼らなくては生きていけない生活困窮を経験しています。そのような状態に20年、人によっては30年以上置かれています。日本生まれの仮放免の子どもたちもいます。
かれらは、安全・安心な生活を送るために、日本に滞在することを希望しています。ただただ、平和に、尊厳を持って生きるために必死であることが、日本の安全・安心を脅かすのでしょうか。「犯罪」なのでしょうか。
民主主義社会に「存在そのものが不法」とされ、生まれた時から人権を保障されない人が存在することのほうが、問題ではないでしょうか。入管のルールのほうが、グローバル化した社会の現実に合っていないと考えるべきではないでしょうか。外国人の人権が守られていないのならば、制度のほうを変更すべきであり、差別される当事者を排除することで問題を隠蔽するのは本末転倒ではないでしょうか。
歴史上、外国人を敵視し、排除することで、豊かで平和になった国はありません。むしろ排外主義が虐殺や戦争につながることは歴史が示しているとおりです。
排外主義により日本人と外国人を分断するのではなく、国境を越えて通用する普遍的人権の観点から日本の政治を構想できる政治家が国政を担うことを私たちは望みます。
一般社団法人 反貧困ネットワーク
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