2025年09月19日17時10分掲載
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入管
「不法滞在者ゼロプラン」に抗議の声 国会前に250人が集結
9月5日の夜、東京・永田町にある国会正門前に、250人の市民が集まった。テーマは、「差別排外主義」や「不法滞在者ゼロプラン」により加速する強制送還への抗議だ。
主催したのは、「アジア太平洋人権保護難民移民ネットワーク」(NPHR)などの市民団体。アクションの冒頭、NPHRの杉山聖子代表はマイクを握り、国会前アクションを起こした理由を語った。
「日本人や在留資格のある外国籍の方と結婚して家庭を築いている人、30年以上も日本に住んでいる人、そういう事情のある人たちが毎日どんどん強制送還されている。まさにその当事者の方たちが『私たちはもう黙っていられない、声をあげたい、みんなにこの気持ちを伝えたい』といった声をあげていた。そうした声にこたえるため、私たちは今日のアクションを企画した」
アクションには、仮放免中の外国籍の人々、そして彼らの子どもたちも参加していた。ある子どもは、今の不安な日々について、こう話した。
「両親は強制送還に怯えており、入管へ行くたびに怖い思いをしている。どうか声をあげて両親を助けてほしい」
この日のアクションには、国会議員や地方議員の姿もあった。日本共産党の吉良佳子参院議員、本村伸子衆院議員、社民党の福島瑞穂参院議員がマイクを持ち、今の入管行政を批判した。
吉良議員は、制度の矛盾が子どもたちの未来を奪っている現実に触れ、「そうした人権侵害を見過ごす訳にはいかないし、命の危険がある国に強制送還することなどあってはならない」と訴えた。
この背景にあるのが、2023年に成立した「改定入管法」だ。この法律では、難民申請を2回不認定とされた人は、3回目以降に申請中であっても、強制送還の対象にされてしまう。
支援活動を続けてきた市民も、現場から声を上げている。
長年にわたりクルド人支援に取り組んできた「クルド人難民Mさんを支援する会」事務局の周香織さんも、今回の国会前アクションに駆けつけた1人だ。
今年5月、法務省が打ち出した「不法滞在者ゼロプラン」による影響について、周さんは「たとえ日本に子どもがいても、入管庁は2030年末までに送還を忌避する者の半減を目指すという“ゼロプラン”のノルマを優先し、家族全員をためらうことなく本国へ送還している」と警鐘を鳴らす。また、先月下旬には、パニック障害を抱えるネパール人男性が強制送還された事例も確認されており、こうした状況に対し、周さんは「今回のようなアクションを継続し、この問題をもっと可視化していかなければ、事態はますます悪い方向に向かっていくだろう」と強い懸念を示す。
国会前でのアクションを呼びかけた「NPHR」の事務局長を務める在日ミャンマー人のミョーチョーチョーさんは、今後の活動について次のように語る。
「永田町の議員たちが入管・難民問題に関心を寄せるよう、私たちは来月以降も国会前で同様のアクションを続けていくつもりだ」
国会正門前に響いた声は一夜限りのものではない。日々強制送還の不安にさらされる人々や、その家族、そして彼らをサポートする支援者の思いは、これからも継続的なアクションとなって永田町に届けられていくだろう。入管・難民問題は、今や一部の人々の課題ではなく、社会全体で向き合うべき問いとして突きつけられている。
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