2025年10月17日08時47分掲載  無料記事
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環境

本当の温室効果とは(GHE-1対GHE-2)

 現在の気候変動の原因は、人類が石炭、石油などの化石燃料を大量に燃やして出すCO2 (二酸化炭素、炭酸ガス)の温室効果によるという信仰的、基本的な信念を持つ人々、そしてその影響を受けて、それこそが真実、だからCO2削減に努力しなければと考える人が多数を占めるようになってしまっている。しかし、その温室効果なるものが、本当に現在の温暖化・気候変動の原因なのか、疑問も多数提出されている。(落合栄一郎) 
 主な理由は、歴史的にみて、気温とCO2の変化の間に相関性が全然見られないし、過去80万年では、温度上昇がCO2の上昇を引き起こすというデータが見られ、温度の増加こそが、CO2の増加を促すのではあって、逆ではない。また、気温変化は、地球の太陽からのエネルギーの受け取り方の変化に依存しているという事実もある。などなど、CO2による温暖化・気候変動原因説は、多くの論者から否定されている。 
 ところが、CO2による温暖化説の基本である、CO2の温室効果なる現象が、主張されているように地表、大気の底部の温度に影響を及ぼしているのか、十分な検討が、科学者によってもあまりなされていない。そこで、今回はこの問題を検討してみます。 
 まず現実の温室を見てみましょう。外から入る光線が中の壁や土壌などにあたり、それらを暖めます。暖められた物体は、今度は、熱線を出します。それで何が起こるのでしょうか。気候変動主張者のいうように、ガラス窓が、熱戦(赤外線でもある)の一部を吸収し、半分は外へ、そして半分は、内部に向ける。それが温室内の空気を温める。これだと、熱戦のほんの一部しか回収できませんね。どうですか。温室内は、こんな風に熱が動いているのでしょうか。 
 物体から出てきた熱戦は、赤外線として何かに吸収された上でないと回収されないのでしょうか。そこにある温室内の空気には直接的には何もしないのでしょうか。熱は、空気を温めるのではないでしょうか。実は、熱が来ると、空気内にある分子(窒素と酸素分子)の動きを激しくするのです。空気中の分子の動きが激しくなると、その空気の温度が上昇するのです。熱で水を温めるのと同じです。暖められた空気は、閉じられているので、温室内にとどまります。これこそが、確かな温室効果でしょう。 
 さて温室内でなく、地球表面に近い大気のことを考えてみましょう。これには、温室のような囲いはありません。CO2温室効果の主張者は、大気中に微量(0.04%)にあるCO2が地球を取り巻く囲いになって、熱(赤外線として)を吸収して、外へ逃げるのを半減していると考えているようです (GHE-1とします)。 
 さて、大気には囲いはありませんので、地表から出てきた熱線は空気を暖めるが、その熱は、どんどん上の方に逃げていきます。地表からの熱線は出続けますが、熱せられた空気の熱も上の方へ逃げ続けます。しかしやがては、下からの熱と上に逃げる熱が同じになって、その気体部分の温度は、定常になります。このことを実験的に検証したのが、スイスの科学者トマス・アルメンデインガー博士です [1]。筒の中に、さまざまな気体を(別々に)入れて、下から熱線で熱していく。そしてある一定のところでの温度の変化を追った結果が図1です。この実験条件では30分ほどで定常状態になります。一旦定常状態になったら、熱線の出方が変化しない限り、この定常温度が続きます。 
 そうした定常温度は、この研究資料では、CO2が1番高く、続いてほんの少し低いのがアルゴン (Ar)、そしてそれよりちょっと低い空気 (窒素と酸素の混合物)、ネオン (Ne)、ヘリウム (He)の順です。やはり温室効果(赤外線吸収)の大きいCO2が一番?ところが、ほとんど同じ効果があるのがアルゴン。アルゴンも赤外線を吸収する能力があるの?いやアルゴンは、1個の原子からできているので、赤外線を吸収できない。でも、CO2と同じぐらいの効果がある。その他の、空気、ネオン、ヘリウム、いずれも赤外線吸収能力なし。他にどんな違いが、温度の定常値の違いに反映しているの?どうも、気体を構成する分子の重さが関係しているようです。そこで、これらの分子の重さを見てみましょう。分子の重さは、分子量(g/mol)で表現される。CO2の分子量は44、Ar 40、空気28.6、Ne 20.2、He 4.0。温度の定常値は、気体を構成する分子の重さによって決まるようで、赤外線吸収能力とは無関係です。 
 実際、現在の地球表面近くの気温は、こうした気体(空気)分子が熱によって動かされて、気体の温度が上がるという単純な原理によって決められているようである。そこで、違った観点から、この問題を見てみましょう。それは、気体の温度、圧力、体積との関係で、高校の物理か化学で学ぶ関係式pV=nRTで、この問題を考えてみよう。Rは気体定数。p=圧力、V=体積、n=その体積に含まれる分子の量、T=温度。現在の地球表面の大気の通常の圧力(1気圧)とその比重(重さ/V(体積))が分かれば、その気温Tが計算できる。この重さは、地球の場合、空気(窒素、酸素の混合物)の重さとして、こうした計算を、地球および他の天体に関して試みた人がいる [2]。この計算によると、地球の温度は288.14K=15.140Cとなる。すなわち、現在の地表の平均温度15度と実測値に近い。この結果が意味することは、気体内の分子が動いて現在の圧力となっていると、その気体の温度は15度になるということ。気体内の分子の運動が、圧力、温度を決めている。熱は、分子そのものの動きを早めるのであって、その熱(赤外線)を分子内に吸収するなどの現象は、関係ない。もちろん、大気中にあるCO2が熱戦の一部を吸収していることは事実ですが、その全体の温度への貢献度は、無視できるほど小さい。 
 CO2温暖化説の有力な根拠とされるものに、金星の大気がCO2で出来ていて、かなり高圧であるという事実と、その大気の表面近くの温度が、大変高い740K (4670C)という事実がある。だから、CO2の温室効果(赤外線吸収による)で、そんなに高い温度になっているではないかと主張されている。ところが、先ほどのpV=nRTなる式に、金星大気のデータを入れて温度を計算すると、738.7Kと実測値と同じになる[3]。すなわち、金星大気の温度も、CO2分子の運動の速さを反映しているのであり、赤外線吸収によるものではない。 
 実は、これこそが、本来の温室効果とされるべき現象と考えるべきであろう。筆者は、この温室効果をGHE-2 (Greenhouse Effect-2)と名付け、赤外線吸収に基づく温室効果をGHE-1とします。地球上では、GHE-1も勿論あるのだが、その影響は地表近くでは、無視できるほどでしかない。ただし、大気が希薄になる高い層では、大気の動きによる寄与(GHE-2)が少なくなり、GHE-1もかなり寄与することになる。なお、地球表層のGHE-2による温度保持を、「大気温室効果 (Atmospheric Greenhouse Effect)」と呼んでいる研究者もいる [3]。オーストラリアの専門家 [4]は、彼の著書で、「こんな温室効果 (GHE-1のこと)は、不適当な名称だ、大気こそが断熱材だ」と一喝している。そう、大気が断熱材で、地表からの熱の逃げるのを妨げていると考えてよいでしょう。 
 裸になって寒気が出始めると、何かを着ますね。そうすると寒気がおさまり、ほかほかしはじめます。裸の時、肌から熱が逃げて、肌の温度が下がる。なにか着ると、その熱の逃げが、着たもので塞がれるのですね。肌と着物の間にあるCO2(空気のたった0.04%)の温室効果でそうなっているのでしょうか。それとも、肌と着物の間の空気が熱の逃げるのを妨げている。肌からの熱が、その空間にある空気を暖めてその熱を保持し、熱の放出を軽減しているのでしょう。この例も、囲いのある温室と似たような条件ですが、肌と着物との狭い空間の空気が温められるのが、役に立っているのでしょう。 
 温室効果ガス (GH-1)の間違いを、ここで検討したように根本的に検討する科学者は、ここで述べたような少数の科学者のみです。GHE-1の間違いを主張する多くの科学者は、歴史的データ(温度とのCO2の関係)を指摘するのみです。勿論、それで十分な間違いの指摘ではあります。もう一つ、脱炭素が悪いどごろか、CO2の近年の増加は、植物の成長を助けている [5]というデータは、沢山ある。 
 
[1] Thomas Allmendinger, The Real Cause of Global Warming and its Consequences on Climate Policy, SciFed Journal of Global Warming, 2018, 2:1; Thomas Allmendinger, The Refutation of the Climate Greenhouse Theory and a Proposal for a Hopeful Alternative, Environ. Pollut. Climate Change, 2017, 1:2; https://www.researchgate.net/publication/317572928 
 
[2] Robert Ian Holmes, Earth Sciences, 2017; 6(6): 157-163; 2018; 7: 107-123; 
https://doi.org/10.11648/j.earth.20170606.18 
[3] https://www.researchgate.net/publication/317570648 
 
[4] Ian Plimer, “Heaven and Earth: global warming the missing science” 
(Taylor Trading Publishing., 2009) p365-367 
 
[5] http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202501041802556 


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