2026年01月11日20時56分掲載
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市民活動
日韓首脳会談直前 長生炭鉱遺骨返還で「刻む会」が政府交渉
戦時中の1942年に水没事故が起き、136人の朝鮮半島出身労働者を含む183人が生き埋めとなった長生炭鉱(山口県宇部市)を巡り、犠牲者の遺骨調査に取り組む市民団体の「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(以下、「刻む会」)は、昨年12月23日に政府交渉を行い、国に対して遺族に対する早期の遺骨返還の実現を強く求めた。
同交渉には超党派の国会議員のほか、平和・人権問題に詳しい法学者の前田朗さんも出席し、人道的観点から政府の責任を指摘した。今月13日、14日に実施される日韓首脳会談を目前に控えた状況での政府交渉であり、日本の歴史問題への認識、今後の対応が注目されている。
昨年8月、「刻む会」は炭鉱内の潜水調査で犠牲者の遺骨を収容し、遺族の特定のために遺骨を警察に引き渡したが、DNA鑑定は未だに実施されていない。「刻む会」は、このDNA鑑定の実施と今後の遺骨返還事業に向けた政府の協力を要請している。
長生炭鉱の遺骨返還を巡っては、昨年11月16日、日韓議員連盟の総会において、遺骨の身元確認に積極的に関与する主旨の共同声明が出されており、国会レベルでは一定の共通認識が形成されつつある。また、昨年12月8日、韓国の禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は、駐韓日本大使と会談し、遺骨収容に向けて日本政府に前向きな対応を求めるなど、日韓首脳会談を前に様々な政治的な動きが見られる。
政府交渉後の会見で、「刻む会」共同代表の井上洋子さんは、今月の日韓首脳会談を踏まえ、「トップ同士の外交で何か起きるかもしれない。政治が大きく動いていることを実感している」として、日韓共同で遺骨返還に取り組む方針が示されることを切望した。また、同会事務局長の上田慶司さんは、「日韓首脳会談を見届ける」としつつも、2月までに政府が遺骨のDNA鑑定を進めない場合は独自に鑑定を行う方針を示した。
遺骨返還問題は外交カードではなく、普遍的な人道の問題であり、その解決こそが近隣諸国との関係を支える基盤になる。12月23日の交渉の場で政府側は、「刻む会」の要求に対してこれまで通り慎重姿勢を崩さなかった。日韓首脳会談でこの問題が扱われ、長生炭鉱の遺骨返還に向けた動きが進展するのか、今後の動きが注目される。
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