2026年01月22日12時33分掲載
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人権/反差別/司法
「3年前の日本に戻ってほしい」 クルド人が語るヘイトの現実
「日本クルド文化協会」が、同協会の事務所周辺でヘイトスピーチを含む街宣などを繰り返し実施した神奈川県在住の男性に対し、街宣の差し止めと損害賠償などを求めた裁判の口頭弁論が21日、さいたま地裁で開かれた。口頭弁論は昨年9月に続き、4回目。社会問題となっているヘイトスピーチの根絶に向けた重要な裁判だ。
同裁判を支援する市民らは、口頭弁論終了後、さいたま市内で報告集会を開催した。報告集会には、日本クルド文化協会代表理事のワッカス・チョーラクさんや弁護団のほか、裁判に関心を持つ市民や支援者らが多数参加した。
川口市や蕨市でヘイト街宣が続いている現状について問われたワッカス・チョーラクさんは「国や県、市区町村単位で差別を禁止する法律や条例を作る必要がある」と指摘。法令や条例の整備に後ろ向きな行政に対し「私は行政に責任があると思っている」と厳しく批判した。
報告集会にはワッカスさん以外にも、ヘイトスピーチによって日常生活が脅かされている在日クルド人らも駆けつけた。クルド人の男性は「1番困っているのはクルド人の子供たちだ。今の日本は3年前と比べると全然違う。コンビニで普通に買い物ができないほど怖い思いをしている。日本政府は『安心安全の国を作りたい』と言って、私たちクルド人をターゲットにしているが、クルド人にとっても今の日本は安心安全の国ではなくなってきている。3年前の日本に戻ってほしい」と訴えた。
別のクルド人男性は、仕事のために土地を購入しようとしても、売主から「外国人には売らない。クルド人なら尚更だ」といった対応をされたという。男性は、こうした外国人に対する差別意識について「早くどうにかしないと本当に日本で生きていけなくなる。できれば力を(貸して)ください」と強調した。
クルド人に対するヘイトは、彼らをサポートする支援団体の活動にも影響を及ぼしている。
クルド人支援団体「在日クルド人と共に」(HEVAL)の温井立央代表理事は、川口市や蕨市で外国人排斥を訴える街宣が実施されるようになった頃から「私たちの団体にも嫌がらせのメールが届くようになった。現時点で計260通のヘイトメールが来ている」と被害の状況を伝えた。温井代表は「今(日本政府は)『(日本人の)安心安全』というような話をしているが、実際にはクルド人も外国人もみんな不安であり、ものすごい恐怖を感じている。何十年も日本で暮らしているインドシナ難民の方は『こんなに不安に思ったことはない』と仰っていた」と述べ、「今回の裁判はヘイトデモと差別を止めるための重要な闘いになる」と訴えた。
なお、昨年1月に立ち上げられた「クルドヘイト裁判を支援する会」は今月20日、無償で奮闘する弁護団を支えるため、クラウドファンディング「クルドヘイト裁判の勝利を通して、日本の差別の状況を改善したい」を開始した。200万円を目標金額とし、幅広い支援を呼びかけている。クラウドファンディングの締切は4月20日まで。
【クラウドファンディング】
https://for-good.net/project/1002804
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