2026年01月23日16時14分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202601231614325
市民活動
日韓首脳会談で遺骨のDNA鑑定協力に合意 市民団体が政府説明を受けて記者会見
長生炭鉱水没事故における犠牲者の遺骨返還を巡り、1月13日に行われた日韓首脳会談において、遺骨の身元特定に向けたDNA鑑定を日韓両政府が協力して行うことが合意された。この合意を受けて、遺骨収容・返還事業に取り組む市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(以下、「刻む会」)は、1月20日に政府(外務省、警察庁)からDNA鑑定の実施に向けた非公開の説明を受けたとして、説明会後、記者会見を開いた。
戦時下の1942年に起きた長生炭鉱水没事故では183人が犠牲となり、そのうちの136人が朝鮮半島出身労働者だった。「刻む会」は、クラウドファンディングなどで独自に資金を集めて炭鉱内の遺骨調査を継続的に実施し、昨年8月、ついに犠牲者の遺骨を収容するに至った。最終的な遺骨返還に繋げるため、同会は、この遺骨の身元特定のため、日韓両政府が共同でDNA鑑定を行うことを求めていた。今回の首脳会談での合意は、遺骨返還事業の進展に向けた重要な動きとなった。
記者会見において「刻む会」は、政府から今後のDNA鑑定に向けた基本的な考え方や、日韓の連携の枠組みについて説明を受けたことを報告。同会代表の井上洋子さんは「日韓首脳会談の合意は涙が出るほど感動的で嬉しく思った。たとえDNA鑑定というレベルであっても、日本政府として長生炭鉱に関与することを表明していただけたことは大きな一歩だ」と述べた。また、同会事務局長の上田慶司さんは、「政府の説明を受けてDNA鑑定に向けた日韓協議は進んでおり、近いうちに実施されるという印象を受けた」と述べた。
DNA鑑定で身元が特定できた遺骨を遺族に返還するには、日韓両政府が遺骨の鑑定だけではなく返還を目的とした連携をする必要がある。この点について井上さんは「DNA鑑定を実施するだけで終わるわけにはいない。今後、日韓共同での遺骨収容返還事業に向けて前に進む活動をしていく」と、引き続き政府に対して丁寧で誠実な対応を求めていく姿勢を示した。
政府は、長生炭鉱の遺骨調査に向けた態度を未だに明確に示していない。こうした状況の中、「刻む会」は、2月に大規模な同炭鉱内の遺骨調査を実施する予定であり、そこでは新たな遺骨が収容される可能性が高いとされている。遺骨調査には莫大な費用がかかる上、作業には多大な危険が伴う。犠牲者の遺骨を遺族の元に届けるため、こうした調査を市民団体が独自に進めていることを政府はどう捉えているか。今回の日韓首脳会談の合意をきっかけに、今後、遺骨返還に向けた具体的な取り組みがどこまで進むのかが注目される。
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。