2026年02月10日18時42分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=202602101842442

政治

2026年衆院選を終えて: 軍国主義と階級政治の現在

 2026年の衆議院選挙は、表面的には政権選択や政策論争の形を取りつつも、その内実においては、日本社会がどの方向に組み込まれ続けるのか。すなわち、軍国主義と対米従属を前提とした資本主義的秩序を是認するのか、それともそれに抗する可能性を模索するのか、が改めて問われた選挙でした。本稿は、選挙結果そのものの勝敗ではなく、その背後で再生産されている構造と階級関係に焦点を当てた所感です。 
 
 欧米における左派の相対的復権は、帝国主義戦争(イラク戦争等)がもたらした物的・人的コストを、労働者階級自身が直接的かつ不可逆的に支払わされてきた歴史的経験の帰結です。保守・極右の軍国主義が抽象的な理念ではなく、生活そのものを破壊する現実的な暴力として認識されるに至った結果、戦争はもはや「遠くの出来事」ではなくなりました。 
 
 これに対し日本では、戦後一貫した対米従属体制と「一国平和主義」という自己欺瞞のもとで、帝国主義戦争のリアルなコスト、死者、社会の崩壊、不可逆的な憎悪の連鎖が、大衆的経験として徹底的に遮断されてきました。日本は資源も市場も持たず、地政学的価値の核心は在日米軍基地という軍事インフラに還元されているにもかかわらず、あたかも自国が侵略の対象であるかのような虚構が流布されています。北朝鮮の軍事的示威は体制維持と交渉のための象徴的行為にすぎず、日本への実質的侵攻は自殺行為です。中国に至っては、長期的かつ構造的な経済合理性を基軸に国家運営を行っており、莫大なコストと国際的孤立を招く日本侵攻など、戦略的選択肢として成立しません。 
 
 それにもかかわらず「中国の脅威」「北朝鮮の危険性」が反復されるのは、それが現実であるからではなく、再軍備と日米同盟の深化を正当化するために必要とされているからにほかなりません。戦争の恐怖が個人的・社会的体験から切り離され、抽象化された社会においては、「積極的平和主義」や「専守防衛の再定義」といった支配階級のプロパガンダが、検証されることなく常識として流通する土壌が形成されます。 
 
 革命的な国際主義なくして軍国主義に抗することはできません。日本の労働者階級が、自国の再軍備化と対米従属の強化を「自衛」の名のもとに受け入れ続ける限り、アジアの民衆との連帯は断たれ、最終的には自らが帝国主義戦争の砲弾として供出されることになります。問われているのは個別の「脅威」ではなく、戦争と抑圧を再生産し続ける資本主義的帝国主義のシステムそのものです。 
 
 2026 年衆院選の結果が示しているのは、軍拡と同盟強化が不可避であるという現実ではなく、それを不可避なものとして受け入れさせる政治的・思想的条件が、なお強固に維持されているという事実です。しかし歴史が示すように、支配秩序は永遠ではありません。日本の労働者階級が、自らの利害を国家や同盟の幻想から切り離し、国境を越えた階級的連帯の中で再び政治主体として立ち上がることなしに、この循環は断ち切れません。選挙は終わりましたが、問われている課題は、むしろここから始まっています。 
 
(YouTube「Red & Rising」チャンネル運営者) 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。