2026年04月02日16時51分掲載
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欧州
国民投票の結果とその後、メローニ政権への逆風~チャオ!イタリア通信
22日、23日に渡って行われた、司法改革のための憲法改革の是非を問う国民投票は、賛成が46,26%、反対が53.74%でメローニ政権が提案した改革案は否定された。20の州のうち17の州で反対票が賛成票を上回った。カンパーニャ州では65.22%の反対票だった。
イタリア初の女性首相として追い風を受けていたメローニ政権だが、ここに来て、その追い風にストップがかかった状態だ。この逆風を食い止めようと、メローニ首相は国民から批判を浴びている閣僚の辞任をすぐに認めた。司法省司法次官のアンドレア・デルマストロ、司法省の官房長官ジュージ・バルトロッツィ、観光省大臣のダニエラ・サンタンケである。
司法次官のアンドレア・デルマストロは、国民投票直前に、イタリアンマフィアのカモッラのセネーゼ一派(ローマに拠点を持つ)の一人、マウロ・カロッチャとローマのとあるレストランで親しそうに肩を組んでいる写真がスクープされた。この写真は2023年10月に撮影されたもので、デルマストロはすでに司法次官であった。
その後、2024年末にデルマストロとカロッチャの娘ミリアム(当時18歳)、3名の「イタリアの同胞」のピエモンテ州の幹部(1名は現在のピエモンテ州の副州知事)が、ピエモンテ州のビエッラ市の公証人事務所に集まり、「チンクエ・フォルケッテ(五つのフォーク)」という会社を設立する。「イタリアの同胞」はメローニ首相が党首を務め、戦前のファシズム政党の流れを一部汲んでいる極右政党である。その4カ月後に、この会社はローマに「ビスケッテリア・イタリア」というレストランを開店する。「ビスケッテリア・イタリア」のオーナーは、カロッチャの娘ミリアムである。わずか18歳のレストラン経営の経験もない人物が、オーナーとなっている。
このレストランで2025年6月に撮影された写真もスクープで報道された。写真には、デルマストロ、司法省の官房長官ジュージ・バルトロッツィ、その他5名の司法省幹部が食事をしている。バルトロッツィは、国民投票前の選挙戦で「賛成票に投じれば、銃殺隊のような司法制度を廃止させる」という発言をして物議を醸しだした。「銃殺隊」という強い表現は、メローニ首相も困惑したようだ。もちろん野党からは批判が続出し、バルトロッツィは国民投票後すぐに辞任を表明した。
ローマのマフィアと政治家の関係を取材していたジャーナリスト、アルベルト・ネッラツィーニが発見したのは、デルマストロの一連の奇妙な行いだ。デルマストロは「ビスケッテリア・イタリア」が開店した後、2025年末自分の持ち株を自分自身に売却して、他の会社を設立する。さらに、2026年初めには、新しく設立したその会社を通して、自分の持ち株をとあるカラブリアの女性に売却して、自分はこの一連の出来事から姿を消した。
そして、デルマストロが完全に「チンクエ・フォルケッタ」から姿を消した後、他の3名の「イタリアの同胞」ピエモンテ州幹部たちも自分の持ち株を売却して、姿を消す。会社に残ったのは、18歳のミリアムだけだ。奇妙なことは、デルマストロと「チンクエ・フォルケッタ」を一緒に設立した3名の「イタリアの同胞」のメンバーは、ミリアムのことを誰なのか知らないと発言していたことだ。全く知らない人物、18歳という、レストラン経営の資金がどこから出ているかも分からない人物と一緒に会社を設立するだろうか。少なくとも、デルマストロに関してはミリアムを知らないという大嘘をついていた。なぜなら、2023年にはミリアムの父親マウロと一緒に親しそうに写真を撮っているからだ。
2026年1月には、ミリアムの父親マウロ・カロッチャがマフィア犯罪で逮捕される。その直前にもデルマストロはマウロ・カロッチャと2023年に撮影された写真と同じレストランで写真を撮っている。
問題は、この一連の出来事をメローニ首相は「重大ではない」と発言したことだ。国民投票前のインタビュー番組で、「デルマストロは、ミリアムの父親がマフィア犯罪で逮捕されたと知った時に、会社の持ち株を売却した。だから、重大なことではない」と、デルマストロの行いを正当化するような発言をしていた。しかも、デルマストロが持ち株を売却したのは、マウロ・カロッチャが逮捕された時ではない。事実を曲げてまで、この問題を軽く見せようとする発言をしている。法を司る司法省の司法次官が、犯罪組織マフィアとつながっているというお笑い草にもならない現実。マフィア追放の先頭に立つべき立場の人間が、マフィアと一緒になって資金洗浄の手伝いをしていたかもしれない事実。国民投票でメローニ首相が推していた「賛成」票が勝利していたら、これらの閣僚は辞任せずにそのまま閣僚を続けていただろう。
メローニ首相は威勢のいいアジテーターである。それが、私の印象だ。いくら言葉で威勢のいいことを言っても、閣僚内部は腐っている。それが、メローニ政権の内実だ。
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