2026年05月24日22時39分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】東京電力再編構想と「原子力中核化」戦略 (下) 資本提携と「黄金株」構想から見える再統合 山崎久隆【たんぽぽ舎共同代表)
福島第一原発事故以降、原子力事業は東電にとって「巨大な負債」であった。 しかし現在、国はこの負債を脱炭素資産として再定義し、制度によって強制的に収益化しようとしている。
4.原子力の「資産化」と国家・東電の「運命共同体化」
「長期脱炭素電源オークション」や「GX支援制度」は、市場原理では投資回収不可能な原子力に対し、将来の収益を国民負担(電気料金や税金)で保証する仕組みである。 これにより原子力は、リスクを国民が負い、リターンを企業が享受する「国家保証付き収益資産」へと書き換えられた。
この転換は、東電と国を後戻りできない「運命共同体」へと変質
させた。
「五次総特」における「資金不足」の強調は、「東電を支えなければ原子力政策も福島の廃炉も止まる」という、国家に対する実質的な「人質」論理である。
経済産業大臣が自ら再稼働の政治交渉を担う現状は、東電が民間
企業としての当事者性を失い、国策を執行するための「器」へと化
したことを示している。
このシステムは、事故の責任を「制度」というブラックボックス
に埋没させ、東電を延命させながら原子力回帰を強行するための巨大なカモフラージュとして機能している。
5.機能不全の露呈 2026年4月決算が示す既存モデルの終焉
2026年4月の決算報告は、東電の機能不全がいよいよ隠し得ない
段階に達したことを証明している。
販売電力量と売上高の対前年比での大幅な減少は、独占的な電力
会社としての「稼ぐ力」の枯渇を如実に示している。
「五次総特」が掲げる「自力再建の限界」は、抽象的なレトリックではなく、減少する収益基盤という冷徹な数字に基づいた「敗北宣言」であった。
もはや本業では稼げなくなった企業が、なおも原子力という巨大
リスクを抱え続ける。この論理破綻を隠蔽し、破綻を乗り切る唯一の手段として、『国による収益保証と黄金株による独裁的統治』が画策されているのである。
現在の東電再編は、市場の監視から逃れ、公的支援を私的利益に
変換するためのシステム構築に他ならない。
6.真の再生への道 民主的統制と再生可能エネルギーへの転換
東電が「五次総特」や「黄金株」構想を通じて突き進む「国家管理下の国策企業化」は、責任を曖昧にし、リスクを社会に転嫁する極めて危うい道である。
真の再生とは、国家の盾に隠れて原子力を延命させることではなく、市民・消費者の監視が届く「民主的な公益企業」へと立ち返ることにある。
東電は「国家の政策遂行装置」としての延命を断ち切り、透明性の高いガバナンスを回復しなければならない。
「黄金株」による独裁的統治ではなく、地域住民や消費者が経営
判断に実質的に関与できる仕組みこそが、公益企業としての最低限
の倫理である。
さらに、事業構造の根幹を原子力から「再生可能エネルギー」へと抜本的に転換すべきである。
「五次総特」が掲げる原子力中核化は、既存システムの無理な延命に過ぎない。 東電が保有する広大な送配電網を、原子力を守るための資産ではなく、地域分散型エネルギー社会を実現するための「公共財」として活用すること。
国家と利害を共にする「運命共同体」から脱却し、責任ある事故
処理と持続可能なエネルギーシフトを両立させること。
それこそが、事故の加害者である東電が唯一選べる、社会に対する誠実な贖罪の道である。
(【TMM:No5382】 初出:2026.5.15「金曜ビラ」531号)
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