2026年05月26日13時57分掲載  無料記事
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反戦・平和

ぬいぐるみとペンライトで『戦争反対』 国会前で開かれた“オタクによる反戦デモ”

5月23日、東京・国会議事堂前で「#オタクによる反戦デモ Act2」が開催された。 
主催は「オタクによる反戦デモ実行委員会」。会場にはアニメやゲーム、漫画などの“オタク文化”に親しむ人たちが集まり、「推しのいる世界を戦場にしたくない」と訴えた。 
 
国会前に並んだのは、いわゆる政治デモでイメージされるような硬いプラカードだけではなかった。 
 
アニメ風イラストのボード、ぬいぐるみ、ペンライト、提灯、アクスタ。会場には、オタク文化の空気をそのまま持ち込んだような光景が広がっていた。 
 
参加者の一人は、イランとアメリカの緊張激化によるナフサ不足報道をモチーフにした展示を持ち込んでいた。カルビーのポテトチップスを模したパネルや玩具、お菓子などを並べ、“戦争は遠い国の出来事ではなく、自分たちの日常にも影響する”という感覚を、オタクらしいユーモアを交えて表現していた。 
 
 
【「オタク文化は平和が前提」】 
 
発起人の高橋裕行氏は、冒頭のスピーチで、「オタク文化は平和な社会の上にしか成立しない」と語った。 
 
アニメ、ゲーム、ライブ、同人誌、イベント。 
そうした“推し活”は、安定した日常があって初めて成立するものであり、戦争や社会の不安定化は、その前提そのものを壊してしまうと訴えた。 
 
また、高橋氏は近年の社会の空気についても触れ、「戦争は突然始まるものではなく、“仕方ない”という空気の積み重ねで近づいてくる」と危機感を語った。 
 
ステージ上から「戦争反対!」というコールが上がると、参加者たちも一斉に「戦争反対!」と声を返し、国会前に響いた。 
 
 
【「沈黙は中立ではない」】 
 
登壇した漫画家・ゲームデザイナーの井上純一氏は、「沈黙は中立ではない」と語った。 
 
「政治に関わらない」「何も言わない」という態度そのものが、結果的に現状を支えてしまうこともあるとし、「好きなものを守りたいなら、その前提となる社会について考えることは避けられない」と訴えた。 
 
また、クリエイティブディレクターの辻愛沙子氏は、若い世代が感じている“政治への距離感”について言及した。 
 
SNSでは、「正しい知識がないと発言できない」「間違えると叩かれる」という空気が広がっているとし、その結果、多くの人が不安や違和感を言葉にできなくなっていると指摘。 
 
そのうえで、「難しい政治の話ではなく、“好きなもの”から社会を考えられる場が必要」と語った。 
 
 
【「デモは怖いと思っていた」】 
 
今回のAct2では、「初めてデモに来た」という参加者の姿が目立った。 
 
30代女性の参加者は、『Fate/Grand Order(FGO)』などのスマホゲームやアニメが好きな“オタク”だと話す。 
 
これまで政治系の集会や反戦デモには参加したことがなかったが、最近のニュースやXのタイムラインを見ているうちに、高市政権の方向性に漠然とした不安を感じるようになったという。 
 
「投票に行くだけでは何も変わらないんじゃないかと思って、できる範囲でリアルな行動をしてみようと思った」と話した。 
 
一方で、一般的な反戦デモには「怖いイメージ」があったとも語る。 
 
ただ、3月の第1回参加者の感想がX上で流れてきたことで、「意外とカジュアルな雰囲気らしい」と感じ、オタク仲間を誘って参加を決めたという。 
 
「これだけ戦争に反対している人がいるんだと、ネットじゃなく実際の目で見られたのが良かった」とも話した。 
 
 
【「オタクイベントみたいだった」】 
 
別の30代女性の参加者は、今回のデモについて、「政治的なものというより、オタクイベントみたいな感覚で参加した」と話した。 
 
一緒に来たのは、オタ活を通じて知り合った友人たち。 
「オタ活ができるからこそ、こうした友達と遊べる」と語り、「このまま戦争のない、オタ活のできる世界であってほしい」と話した。 
 
また、他の反戦デモにも関心はあったものの、「色が強かったり、主張が激しめだったりして少し怖かった」と感じていたという。 
 
その中で、「オタクによる反戦デモ」は、「自分と属性が近そうで、温度感もちょうど良さそうだった」ため参加したと語った。 
 
40代女性の参加者も、「イベント感もあって、他のデモとは雰囲気が違う」と振り返った。 
 
実際、会場では女性グループや学生服姿の女子学生、子ども連れの参加者の姿も見られた。確認できた範囲では、女性参加者が比較的多く、20代から30代と見られる層が目立っていた。 
 
 
【“政治”と“オタク”のあいだで】 
 
「オタクによる反戦デモ」をめぐっては、SNS上で賛否が分かれている。 
 
「オタク文化を政治利用している」という批判や、「“オタク”を一括りにしている」という違和感を示す声もある。 
 
ただ、少なくとも5月23日の国会前にあったのは、“イデオロギーのぶつかり合い”というより「好きなものを失いたくない」という感覚だった。 
 
ぬいぐるみ、提灯、ペンライト、アニメのイラスト。そうした“日常のオタク文化”を持ち寄りながら、「戦争反対」と声を上げる。 
その光景は、従来の政治デモとは少し違う、新しい参加の形にも見えた。 


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