2026年06月03日21時55分掲載  無料記事
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欧州

モデナの事件で思ったこと~チャオ!イタリア通信

 5月16日、モデナ市(エミリア・ロマーニャ州)の中心街で一台の車が歩行者たちに突っ込むという事件が起こった。7名の負傷者、その内2名は重傷という事件だった。車を運転していた男は、歩行者たちに突っ込んだ後、車を乗り捨てて歩いて逃げたが、その場にいた4,5名の人たちに追いかけられ、捕まった。 
 
 犯人はサリム・エル・クードリという31歳の男性。両親はモロッコ人だが、彼はイタリアで生まれ育っている。 
 
 ニュース番組では、こういった無差別的な事件が起こると、時世柄すぐにテロ事件ではないかと報道されるが、実際は犯人は統合失調症にかかっていたということが判明した。犯人が弁護士にも何も話さないので、本当の動機は分からないが、精神的な問題があったことが、この事件の一つの原因であることは間違いないだろう。 
 
 イタリアでは、こういった動機がない無差別的な事件はほとんど聞いたことがない。よく聞くのは、男性が元妻、元彼女を殺害する事件だ。また、数年に一回は、産後で精神的に病気になった母親が子どもを殺害するという事件もある。最近は、高校生が先生に暴力を振るうとか、同級生を殺害するという事件もあった。若い子が起こす事件は、ここ数年間でよく見られるようになっている。 
 
 私がこの事件で驚いたのは、事件の内容というよりも、事件の次の日にマッタレッラ大統領とメローニ首相が被害者たちを病院に見舞ったことだ。同じ日にメローニ首相はキプロス共和国大統領との会談を予定していたが、それを取りやめて大統領と一緒に見舞いをした。また、内務省大臣と警察長官、副首相もモデナ市長に会いに行っている。 
 
 日本でも無差別事件が起こるが、そんな時に国のトップに立つ人たちが、こんな風に動くだろうか。 
 
 また、事件の二日後にはモデナ市の中心街の広場には「暴力・憎しみ反対」の集会が開かれて、5千人の人たちが集まった。特に、この事件の場合、犯人がイタリアで生まれ育ったとはいえ、両親はモロッコ人であることから、人種差別が広がる可能性がある。ヨーロッパは、こういった人種や宗教の違いにすごく敏感である。 
 
 そんな時に、サルヴィーニ副首相は「犯人がフェイスブックにキリスト教野郎、アッラー賛美すると書いた」と発言。時々、この人は何を考えているのか分からなくなる。市民や大統領、首相が人種や宗教の違いを尊重し、憎しみや暴力に反対しようと努力をしているのに、副首相としての立場を考えての発言なのか?逆に、憎しみを煽るような発言・・・。 
 
 今回の事件で、イタリアが人間味のある人道的な国だなと改めて思った。 


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