2026年06月03日23時23分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】大飯原発差止訴訟控訴審判決批判 (下)東電福島第一原発事故の警告を無視 歴史を学ばない典型的な判決 山崎久隆
高裁判決は、非常用取水路という命綱の施設の直下・近傍にある
「新F−6破砕帯」の活断層評価において、あまりにも非科学的な
認定を下した。
4.敷地内活断層(新F−6破砕帯)評価における高裁判決の
「立証責任の転嫁」
◎「年代特定できない物差し」による活動性否定の容認
高裁判決は、国が「活動ステージ」という概念を用いて活動性を
否定した判断を適法とした。
しかし、国自身が「活動ステージからは断層が動いた具体的な時期は特定できない」と認めている。「いつ動いたか分からない物差し」を使って「大昔から動いていない(だから安全だ)」と結論づける高裁の論理は、完全な破綻(自家撞着)である。
◎「幻のhpm1火山灰層準」という捏造データの盲信
高裁判決は、約23万年前の火山灰の粒子が数粒見つかったという
電力会社の報告を信頼した。しかし、現場は土砂崩れや水流(崖錐・葉理)によって古い土砂が激しく混ざり合う環境であり、微量な粒子で地層全体の年代を決めることは科学的に不可能である。
火山灰の専門家が一人もいない有識者会合の「お墨付き」だけを
根拠に、これを「初生的な降灰層」と認めた高裁の事実認定は、科学の全否定である。
◎調査課題の放置と「安全側の原則」の放棄
高裁判決は、専門家や石渡座長らが求めた「300mのトレンチ調査を電力会社が無視し、わずか70mで打ち切った不備を容認した。
国自ら「(断層が)連続している可能性がある」と評価書に書き
ながら、高裁は不自然な断層のクネクネとした曲がり(走向・傾斜
の曲がり)を容認して不問に付した。
「科学的に不確実なら安全側に倒して活断層として扱う」という
原子力規制の鉄則(規則3条3項)を、高裁判決は自ら放棄した。
5.周辺活断層の延伸リスクと地質審査ガイド解釈の「明白な誤読」
高裁判決は、すでに活断層と認定されている台場浜トレンチ内「破砕部b」が、原発施設の極近傍まで伸びているリスクを「法解釈のすり替え」によって黙殺した。
◎「変位」と「変形」の意図的な混同とガイドの誤読
高裁判決は、地質審査ガイド[1].3.1(3)第2文(近傍の活断層による影響確認)について、これは地盤の「変形(ゆがみ=規則3
2項)」に関するものであり、一発アウトとなる地盤の「変位(ズ
動き=同3項)」の違反理由にはならないと判断した。
しかし、当該ガイドの表題(タイトル)は明確に「地盤の変位に
する調査」である。第1文(直下)も第2文(近傍)も、一体とな
て「活断層のズレ動き(変位)」から原発を守るためのルールである。高裁判決のこの解釈は、ガイドのタイトルすら無視した、救いようのない「明白な誤読」である。
◎追加調査の不実施(怠慢)に対する免罪符の付与
専門家や石渡座長が「ボーリングNo.13孔への連続性」を確認するための追加調査を求めたにもかかわらず、高裁判決は「評価書に『意見もあった』と書いてあるから手続き上問題ない」として、追加調査なしでの審査終了を容認した。これが繋がっていれば非常用取水路までわずか36mの距離に活断層が迫るという致命的リスクに対し、高裁は司法としてのチェック機能を完全に放棄した。
6.重大事故(シビアアクシデント)対策における高裁判決の
「過信と怠慢」
高裁判決は、福島第一原発事故の教訓を決して学ぼうとせず、電力会社の「机上の空論(計画)」をそのまま適法とした。
◎規則51条(独立した冷却流路)の解釈誤り
溶融炉心(メルトダウンした核燃料)を冷却するための独立した
専用ポンプや配管がない問題について、高裁判決は「上部からのス
プレイ水が隙間や連通穴を通って流下するから足りる」とした。
しかし、事故時の爆発で発生する大量の断熱材破片や、溶融炉心
そのものの堆積(福島2号機で実証されたペネトレーション閉塞など)による「流路の閉塞リスク」を完全に無視している。多重性・独立性を求める規則51条の趣旨を高裁は理解していない。
◎規則55条(放射能汚染水拡散防止)の不当な縮小解釈
高裁判決は、海洋への放射能拡散抑制について「気体状の物質
(放水砲など)」だけを想定すれば足りるという国の主張を容認した。しかし、福島で現在も大問題となっているのは「液体(高濃度汚染水)」の流出・拡散である。
事故直後にトレンチ等から直接海へ流入するリスクに対して、事前に実効性のある拡散抑制設備を講じていない本件許可を「適法」とした高裁判決の判断は、住民の生命・財産と地球環境に対する重大な犯罪である。(【TMM:No5386】より)
(たんぽぽ舎共同代表)
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