2026年06月23日14時51分掲載
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人権/反差別/司法
「ヘイトにNO!全国キャンペーン」14万筆超の署名提出 差別禁止法の制定求める
外国人差別やヘイトスピーチに反対する「ヘイトにNO!全国キャンペーン」の署名提出が6月18日、衆議院第一議員会館で行われた。
移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)や平和フォーラムなどが今年2月から取り組んできた同キャンペーンには、オンラインと紙を合わせて14万628筆の署名が集まった。
署名は、超党派の「『包括的差別撤廃法』制定を求める議員連盟」を通じ、内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長宛てに提出された。会場では、出席した法務省人権擁護局の職員2人に署名が手渡された。
署名は、政府に対し、ヘイトスピーチを許さない姿勢を明確に示すことに加え、差別を禁止し、日本に暮らす外国人住民や外国人労働者の権利を守る法制度の整備を求めるものだ。
提出日となった6月18日は、国連が定める「ヘイトスピーチと闘う国際デー」でもある。ヘイトスピーチ解消法の成立から10年を迎える中、集まった14万筆超の署名は、差別を禁止する法制度の実現を求める市民の声として国会と政府に届けられた。
【「10年経っても差別は続いている」】
冒頭、同議連に参加する有田芳生衆院議員が趣旨説明を行った。
有田氏は、今年2月に移住連共同代表理事の鳥井一平氏から、全国で「ヘイトにNO!」のキャンペーンを広げていくと聞いたことを振り返った。それから約4カ月で14万628筆の署名が集まったことについて、「大変な関心が全国に広がっている」と語った。
有田氏は、これほど多くの署名が集まった背景には、ヘイトスピーチ解消法の成立から10年が経っても、なお深刻な差別が続いている現実があるとの認識を示した。
署名提出の場には、有田氏のほか、福島瑞穂参院議員、打越さく良参院議員、高木まり参院議員、高良沙哉参院議員、ラサール石井参院議員らが出席した。
【「声なき声」を形にした署名】
キャンペーン側からは、鳥井氏が発言した。
鳥井氏は、6月18日が「ヘイトスピーチと闘う国際デー」であるにもかかわらず、日本政府から十分な発信が見られないと指摘した。そのうえで、在留資格や外国人政策の厳格化という名のもとに、官製ヘイトとも言うべき差別や排除が広がっていると批判した。
一方で、各地域では外国人住民を支え、共に暮らしていこうとする国際交流や支援の活動が続いている。鳥井氏は、そうした活動は穏やかで静かなものであり、目の前にいる外国人を何とか支えたいという人々の声は確かに存在していると語った。
そのうえで鳥井氏は、ヘイトスピーチが繰り返されることで、あたかもそれが多数派の声であるかのように広がっていると指摘した。今回の署名活動は、地域にある「声なき声」を形にし、外国人住民と共に暮らしていこうとする人々の意思を可視化する取り組みだったという。
【川崎市の実践を国でも】
弁護士で外国人人権法連絡会事務局長の師岡康子氏は、ヘイトスピーチ対策の実例として川崎市の取り組みを紹介した。
川崎市には、差別をなくすための条例があり、一定の手続きを経てもヘイトスピーチを繰り返す場合には刑事罰の対象となる仕組みがある。師岡氏は、この条例が効果を挙げており、従来ヘイトスピーチを行っていた人々も川崎市では活動しなくなっていると説明した。
また、川崎市では条例をつくるだけでなく、市内で差別事件が起きた際に市長が具体的な批判コメントを出すなど、共に生きる社会を地方からつくり出す実践が積み重ねられているという。
師岡氏は、こうしたモデルはすでに存在しており、国でも同様の取り組みを進めるべきだと訴えた。
【ヘイトスピーチ解消法の全面改正へ】
出席者の発言後、有田氏から法務省人権擁護局の職員2人に署名が手渡された。
提出にあたり有田氏は、法務省人権擁護局が今年度、ヘイトスピーチに関する全国的な実態調査を進める予定であることに触れた。その調査結果も踏まえながら、議連としてヘイトスピーチ解消法の全面改正を求める取り組みを進めていきたいとした。
ヘイトスピーチ解消法の成立から10年。禁止規定や罰則を持たない同法の限界が指摘される一方、差別に反対する市民の声は、14万筆を超える署名として可視化された。
「ヘイトには明日がない」。鳥井氏の言葉は、この日の署名提出を象徴していた。差別を許さず、共に生きる社会をどう制度として形にするのか。国会と政府の対応が問われている。
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