2026年09月04日20時48分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】浜岡原発基準値振動不正の深層(上)規制側を欺き早期再稼働を企図した中部電力 欺かれる規制委員会と廃炉推進機構 山崎久隆
中部電力浜岡原発3・4号機の審査において、耐震設計の土台となる基準地震動の代表波選定で長年にわたりデータ捏造が行われていた問題は、NHK『クローズアップ現代』(8月24日放送)などの報道により動機についても語られるようになってきました。
規制対応の裏で都合の良いデータだけを作り出す構造的、組織的な偽造実態は、規制庁が内部申告を受けて聞き取りを開始した2025年5月以降も改ざんが続けられていたことも含め、まだ解明すべき事実が数多く残されています。
浜岡原発をめぐる不祥事はこれにとどまりません。
2025年11月には、安全性向上対策工事の一部で取引先との精算が長期間放置され、しかも原子力部門の役員がこの事実を取締役会に長期間報告していなかったことが発覚し、電気事業法に基づく報告徴収命令を二度にわたり受けています。
さらに2026年8月には、浜岡1・2号機の廃炉作業において、解体実績を書き換えて認可法人へ費用を請求していた不正行為も発覚しました。
再稼働へ向けた審査の偽装、社内ガバナンスそのもの機能不全、そして廃炉に伴う資金管理の不正操作、入口から出口、さらには経営監督の中枢にまで及ぶ不正の数々は、中部電力が原発を所有し運転する資格を根本から失っていることを明白に示しています。
1.基準地震動策定におけるデータ改ざんの深層
浜岡原発3・4号機の新規制基準適合性審査を巡り2026年1月5日に公表された基準地震動のデータ不正操作問題は、その後の規制委の検査等により、深刻な組織的病理が浮き彫りとなりました。
耐震設計の根幹である基準地震動は、プレート境界や活断層から発生する揺れを数多くのケースでシミュレーションし、評価に用いる代表波を選定して基準地震動を確定し、設計と施工を行う際の基準をつくる重要なプロセスです。
2019年1月の審査会合で中部電力は、統計的グリーン関数法を用いた地震動評価について、計算条件の異なる20組の地震動を計算し、それらの平均に最も近い波を代表波として選ぶ旨を説明していました。
しかし実際には、2018年以前から、20組の地震動とその代表波のセットを一つではなく、それらを多数作成し、その中から自社にとって都合の良いセットのみを選び出す手法(方法[1])が用いられていました。
加えて2018年頃以降は、あらかじめ平均に最も近い波ではない代表波を意図的に選定し、その代表波が20組の平均に最も近くなるよう残りの19組を後から作り出す、逆算的な手法(方法[2])が採られていました。
2026年3月末時点の報告では、代表波225ケースのうち少なくとも108ケースでこの不正が確認されました。その後の調査でも状況は悪化の一途をたどっています。
同年7月に規制庁がまとめた報告では、これまで説明のなかった第三の手法によるものが新たに40ケース判明し、確認済みの不正は少なくとも148ケースに拡大しました。
残る77ケースについては手法さえ確定できないまま追加調査が続いており、不正の全容は今なお明らかになっていません。
中部電力自身も、まとめた数字が調査のたびに動いていることを見ても分かるとおり、何をしていたのかを検証できなくなっていて、調査能力そのものへの疑念を深めるものです。
この不正操作の背景には、2016年3月の審査会合で敷地近傍の褶曲群A−17グループの扱いについて慎重な検討を求められ、同年6月の会合ではこれをA−17断層として評価し直した経緯があります。
さらに2018年5月の審査会合では、震源断層上端の深さを従来の8キロメートルから5キロメートルへ設定し直すよう求められ、地震動の再計算を迫られました。
まさにこの2018年、逆算的な手法(方法[2])による不正操作が本格化したものと確認されています。
断層モデルの追加や震源設定の厳格化を求められるたびに、耐震補強工事や設計変更で誠実に応えるのではなく、計算手法やデータ選定の工程を不当に操作することで、基準地震動がそれまでより大きくなる事態を避けようとしていたのです。
社内調査に対し担当者は「時間的制約があった」「揺れを小さく見せたかった」などと供述しており、再稼働を急ぐ社内の空気が不正を招いた構図が浮かびます。
加えて、社内で問題や懸念を指摘する声がありながらも、それが黙殺され、修正されないまま審査書類として提出され続けていたことは、安全文化が機能を失っていたことを物語ります。
極めて重大なのは、外部通報を受けた規制庁が2025年5月から聞き取り調査を開始した後にもデータの組み替えを続けていた事実が、2026年に規制委に報告されたことです。
規制側が調査を開始した最中ですら、不正を止めようとしなかった事実は、同社の企業体質の危険な実態を物語っています。
規制委の委員からは「辻褄合わせのようなことをしていて、頭を抱えてしまう」などと批判をしています。山中伸介委員長は「審査はすべてやり直し」と発言し2023年9月に一度は確定した基準地震動の前提そのものが崩れました。 (下)に続く
(たんぽぽ舎共同代表)
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