2026年10月10日07時42分掲載  無料記事
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国際

「ハラハラする西サハラの10月」【西サハラ最新情報】  平田伊都子

 「鬼がでるか蛇が出るか」 
 西サハラの人々は、どきどきハラハラしながら、10月国連の動きを見守っています。 10月31日に国連安保理が西サハラ決議を採択し、2027年10月31日までの西サハラの一年間を決めるからです。 
 <西サハラ協議>は、これまでMINURSOミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団設立の後、毎年恒例の行事になっていました。 
 が、昨年はモロッコが国連ロビー活動を激化させ、西サハラを消滅させかねない国連安保理決議2797を出させました。 
今年は何が出る? 
 
��10月の国連安保理作業予定: 
 2026年10月2日、国連記者会見室で国連安保理10月議長国の 
ギリシャ大使が、10月の安保理プログラムの中で、西サハラ協議の予定を報告した。 
 10月8日15時から安保理メンバーは、西サハラ事務総長個人特使のスタファン・デ・ミストラ氏から和平プロセスの現状と見通しについて、また、事務総長特別代表兼MINURSO代表のアレクサンダー・イヴァンコ氏から活動地域における現地情勢について、説明を受けた。 
 説明会は非公開で、そのうえスタファン・デ・ミストラ国連事務総長西サハラ個人特使は、国連記者会見室で報告したりしない。他の地域の国連特使は、事あるごとに記者会見室にきて報告する。報告は、現地活動とともに、世界の問題解決を供託金を使って代行している国連特使の義務ではないのか? 
 スタファン・デ・ミストラ氏は、2021年10月に国連西サハラ事務総長個人特使に就任してから、たった1度だけ、ビデオで国連記者会見に応じた。しかも質問は数個だけ。シャイな性格だからではない。人一倍出たがりで名誉欲が強い国連貴族だ。国連の履歴書は、「国籍:イタリア及びスウェーデン、爵位:侯爵、言語:スウェーデン語、イタリア語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、アラビア語」と、オヒレハヒレで飾られている。 
 処世術に長けているデ・ミストラ氏は、今年一杯で退陣するグテーレス国連事務総長に自分を売り込んで、安保理に提出する報告書で推薦させた。この報告書S/2026/781は、10月1日付で安全保障理事会の15カ国に情報提供を目的とした事前の暫定版として配布された。公式の国連文書として公開されていない。国連は一段落したら、公表するとしている。 
 報告書でグテーレス国連事務総長はデ・ミストラ氏の奮闘を称賛し、MINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団)の活動期間を2027年10月31日までさらに1年間延長することを勧告しているそうだ。 
 
�▲皀蹈奪海粒菷�な国連ロビー活動が方向転換: 
 アメリカとイスラエルに指導されるモロッコ外交は2025年10 
月31日にアメリカの草案で、モロッコ寄りの国連安保理決議2797を成立させた。2026年2月には3度にわたり国連共催で、アメリカに秘密会合を主催させた。そして、9月13日にアメリカ・イスラエル・モロッコの三国声明で「モロッコの西サハラ領有権を承認」させた。モロッコ外交は順風満帆だった。 
 その後、モロッコが頼りにしていたトランプ次女の義父ブロス・マサド秘密会合仲介人が、「西サハラ協議に進展なし、、」と、フランスのTV26でモロッコ主犯のイカサマ外交暴露をきっかけに、モロッコは失速し始めた。 
 10月1日のグテーレス国連事務総長報告書に、モロッコは批判的だ。MWN(モロッコ世界ニュース)は、「グテーレス事務総長は、西サハラに関する最新の年次報告書草案の中で、ミストラ特使が<交渉を通じて、自治に関するいかなる提案も最高の国際基準を満たし、同時に強力な国際的保証に裏付けが必要だ>と強調した。」と、報じた。さらにMWN(モロッコ世界ニュース)は、「報告書が、ミストラの主張として、民族自決の原則に従った西サハラの人々との、協議を求めている!」と、モロッコの外交努力をゼロにしたと怒った。 
 「モロッコに不信感を抱かせた国連特使ミストラ氏は、<民族自決の原則>を繰り返し持ち出すことで、ポリサリオ戦線に偽りの安心感を与えているようだ。モロッコの自治計画がサハラ紛争を真に解決するための唯一の信頼できる、政治的に健全で外交的に実現可能な枠組みとして事実上認められている国連主導のプロセスだ。ミストラは無視している」と、MWN(モロッコ世界ニュース)はミストラ氏を糾弾した。 
 モロッコ外交はこれまでオマル・ヒラール国連大使が先導し、トランプ顔負けの悪口雑言をポリサリオ戦線とアルジェリアに浴びせてきた。が、9月に国連総会が始まって、ヒラール大使の声が聞こえない。 
 「10月の国連脱植民地化第4委員会でモロッコは、サヘル紛争変革研究分析研究所所長スレイマン・サティギ・シディベ氏など数人に、ポリサリオ戦線と過激派グループとの繋がりを語らせた。氏は、米議会の数議員が、「ポリサリオ・テロリスト法案を提出している」と、語った。 
 モロッコは、<ポリサリオ戦線はテロリスト>のレッテル貼りに専念する、外交方針へと転換したようだ。 
 
��西サハラの外交活動: 
 9月30日、西サハラ難民政府は西サハラ外交団を、アメリカ国連代表部に送り込んだ。サレク・サレハ元外務大臣で大統領顧問、ムハンマド・ベイサット外務大臣、シデイ・オマル西サハラ国連代表と西サハラ・トップ外交官が元トランプ大統領顧問ウオルツ米国連大使以下アメリカ外交官と、渡り合った。詳しい会談内容は、例によってアメリカ側が口止めしているようだが、ウォルツ米国連大使が機嫌よく記念写真に収まっているところを見ると、西サハラ独立に向けた半世紀にわたる執念が、少しは伝わったのかもしれない。 
 「Met with the Polisario. Refugees in the Tindouf camps have waited 50 years、、(Woltz)」「ポリサリオに会った。チンドゥ―フのキャンプで50年間、難民は待っている、、(ウォルツ)」と、自身のSNSに書き込んだ。 
 10月2日、オマルMINURSO(ミヌルソ国連西サハラ人民投票監視団)西サハラ調停官は、ジャン・ピエール・ラクロワPKO(国連平和維持活動)国連事務次長と会談をした。10月8日のMINURSO報告に向けてオマル調停官は、「西サハラが脱植民地化問題として国際的に位置づけられていることは明白であり、西サハラの人々の自決権は不可侵かつ交渉の余地のない権利である」と、西サハラの主張を届けた。 
 10月1日から始まった第81国連総会の特別政治・非植民地化委員会(第4委員会)では、アフリカのナミビア、南アフリカ、ジンバブエ、アンゴラ、、、そして、中南米のメキシコ、キューバ、、、と、西サハラの民族自決権と独立権を支持する演説が続いた。 
 ナミビアは、西サハラは最後のアフリカ植民地と強調し、「MINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の任務と、西サハラの人々が最終的に民族自決権を行使できる、国連が支援する同地域で の人民投票を支持する」と表明した。 
 10月7日の第4委員会公聴会で、オマル西サハラMINURSO調停官は「我々は決して不可侵の権利を放棄せず、あらゆる正当な手段を用いて、自由と独立という民族の願望を守り続ける」と、断言した。 
 
 ブラジル大統領決戦投票が10月25日、イスラエル総選挙が10月27日、アメリカ中間選挙が11月3日、スペイン総選挙が11月29日、さらに、国連安保理では新国連事務総長を決める投票が続いていま す。 
 世界中が投票で涌くなか、西サハラでは、1991年に国連安保理が決めた<国連西サハラ人民投票>が、そのまま放置されています。 
「西サハラで投票を」というナミビアの呼びかけは、私たち世界庶民の普通の声です。 
 
 
「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。 
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー 
定価:本体1,800円+税、 
発行人:松田健二、 
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―12―9、クランデイ―ルお茶の水201電話:03-3814-3861 
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。 
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。 
「人民投票」日本語版 URL : 
https://youtu.be/Skx5CP3lMLc 
 
「Referendum」英語版 URL: 
https://youtu.be/v0awSc25BUU 
 
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。 
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL: 
https://youtu.be/yeZvmTh0kGo 
 
「Last Colony in Africa]  英語版URL: 
https://youtu.be/au5p6mxvheo 
 
WSJPO西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十2026年10月10日 
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子 


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