2026年10月21日13時24分掲載  無料記事
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市民活動

溝の口駅前で41人が平和スタンディング 反戦・反改憲を訴え、身近な場所から政治への関心呼びかけ

通行人が行き交う10月14日夜、川崎市の溝の口駅前にあるペデストリアンデッキに、プラカードや旗を手にした人々が並んだ。声を合わせたコールやスピーチはなく、参加者らは静かに反戦や憲法改正反対の意思を示した。駅を利用する人々の多くはそのまま通り過ぎていったが、プラカードに書かれた言葉に目を向け、関心を示す人の姿も見られた。 
 
高市早苗首相は10月5日の所信表明演説で、憲法審査会における改憲議論の進展に期待を示した。こうした政治情勢のなか、反戦や改憲反対を訴える市民による街頭行動は、国会前や都心の主要駅だけでなく、地域の駅にも広がりを見せている。 
 
この日、午後7時から約1時間にわたって行われたのは「溝の口平和スタンディング」。9月に続く2回目の開催で、主催者の集計によると、途中で帰った人も含め41人が参加した。 
 
参加者らが掲げたプラカードには、「高市やめろ」「高市内閣は戦争準備をやめろ」「戦争できる国になっちゃいやじゃない?」など、政権への批判や反戦を訴える言葉が並んだ。一方で、「わたしも無関心でした」「政治に怒っていいんだよ!!」と、政治への関心や意思表示を促すメッセージも目を引いた。反ファシズムを象徴する旗も掲げられた。 
 
参加者の様子もさまざまだった。周囲と楽しげに交流する人がいる一方、神妙な表情でプラカードを掲げ続ける人もいた。参加者の一人は、黙って立つことにも独自の意味があると話す。単に看板を置くのとは違い、人が自らの意思を持ってその場に立つこと自体が、周囲に訴えかける力を持つという。 
 
活動の途中には、通りかかった中年男性が参加者に何かを言いながら、プラカードを小突く場面もあった。男性の発言内容は聞き取れなかったが、男性が立ち去った後、現場に来た警察官に関係者が経緯を報告する一幕があった。 
 
スタンディングを主催したのは、「blindfish(フィッシュ)」の名前で活動する男性だ。今年6月に登戸駅で初めて単独主催のスタンディングを行い、その後、武蔵小杉や溝の口にも活動を広げてきた。新宿駅南口では、コールやスピーチを伴う反戦集会も企画している。 
 
しかし、フィッシュ氏自身が初めてデモに参加したのは、今年3月のことだった。それまでも選挙には欠かさず足を運んでいたが、「日常的に政治に関心を持っていたかと言われれば、正直、関心は低かったと思う」と振り返る。 
 
意識が変わり始めたのは、2月8日の衆議院議員総選挙で自民党が圧勝し、同月末に米国とイスラエルによるイラン攻撃が始まったことだった。相次ぐ国内外の出来事に危機感を抱き、自分も政治に関心を持ち、考えなければならないと思うようになったという。 
 
実際に行動を起こす直接のきっかけとなったのは、3月19日(日本時間20日)の日米首脳会談だった。高市首相がトランプ米大統領に対し、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」と発言したことに、強い怒りを覚えた。 
 
「何を言っているんだと思った。子どもを虐殺する攻撃を命じた大統領に、何を言っているんだと。ブチ切れました」 
 
急いで抗議活動の情報を調べ、3月25日に国会前で行われたデモに初めて参加した。それから各地の街頭行動に足を運ぶようになり、6月には自らスタンディングを主催するまでになった。 
 
フィッシュ氏は、国会前や主要ターミナル駅に大勢が集まるデモにも、できる限り参加している。大規模なデモには多くの人が集まることによる象徴的な意味があると考える一方、地域の駅で活動することにも、また別の役割を見いだしている。 
 
「日常的に通勤や通学で使っている駅にデモがやってくるというのは、普段関心を持っていない方にとっては結構なインパクトだと思うんですよ。ぜひ政治に関心を持ってもらうきっかけをつくりたい」 
 
地域の駅でコールやスピーチを控えているのも、こうした考えからだ。声高に訴えるデモに対しては「デモは怖い」と感じる人も一定数いるのではないかという。政治に関心を持ってもらうだけでなく、これまで参加した経験のない人が、自分も加わってみたいと思える場にしたいと考えている。 
 
実際、今回のスタンディングの告知では、「初心者・飛び入り大歓迎」「途中参加・退出自由」と呼びかけ、プラカードの貸し出しも用意していた。事前に準備をしていなくても、気軽に参加できるようにするための工夫だ。 
 
参加した40代の男性も、こうしたサイレント形式の参加しやすさに触れた。 
 
「今の高市政権になってから『何かがおかしい』と素朴な疑問を感じている人も多いのではないか。静かに意思を示すスタンディングは、そうした人にとっての参加のしやすさがあると思う」 
 
各地の反戦デモにも参加してきたという女性は、この日、「アメリカの言いなり政治をやめろ」と書かれたボードを掲げていた。街頭での抗議活動については、「こうした活動に参加した後にどんな行動をするかが重要。結局、選挙行動などで選択を変えていかないと、政治を変えていくことはできない」と語った。 
 
今回の参加者数について、フィッシュ氏は、ほかのスタンディングの規模をすべて把握しているわけではないと述べ、人数の多寡については慎重な受け止めを示した。一方で、街頭行動の場所には変化を感じているという。 
 
「以前は国会前とか、主要なターミナル駅で行われることが多かったと思うんですけど、だんだん地域の駅でも連帯行動が増えてきているなと思っています」 
 
自ら政治活動を始めてから、まだ半年ほど。フィッシュ氏は、政治に関心を持ち、声を上げることに遅すぎるということはないと話す。これまで政治に関心を持ってこなかった人にも、おかしいと思ったときには声を上げてほしいという。 
 
溝の口平和スタンディングは、今後も毎月14日に定例開催する予定だ。 


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