2026年11月02日17時40分掲載  無料記事
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欧州

大規模デモの根底にあるもの~チャオ!イタリア通信

 
 10月、ヨーロッパでは各国で大規模デモが行われている。スペインでは、高騰する家賃に抗議するデモ、フランスでは教育環境の改善を求める高校生たちのデモ、イタリアでも物価高騰に抗議するデモが行われている。10月17日には、ミラノ、トリノ、ボローニャでデモに参加していたグループが暴動を起こす騒ぎがあった。特に、ミラノでは街の中心となる大聖堂広場の近くで、店が破壊されるという騒動があった。 
 
 イタリアに20年近く住んでいて、デモが暴動化するというニュースはほとんど聞いたことがなく、初めてと言ってもいい。私の夫はよく言うのだが、「フランス人はデモをする時は、本気でする」ので、フランスでデモがあると、よく物が破壊される様子がニュース番組で流れる。一方、イタリアではデモに参加する人たちは行進して、広場に集まるという、フランスと比べると穏やかな様子だ。 
 
 今回のこの暴動化を受けて、その一週間後に私が住むトスカーナ州のフィレンツェでもデモが行われた時、中心街の店が一部バリケードをして、閉めるという話を聞いた。私の友人の旦那さんが中心地の「アップルストア」で働いているのだが、その日はお店はバリケードをして閉めたということなのだ。それぐらい用心していたのだが、その夜ニュース番組では、デモ隊と警察官たちが対峙している様子を見た。対峙して、お互い話し合っている様子だったので、暴動化しなくてホッとしたが、何となく微笑ましい感じもした。 
 
 ミラノ、トリノ、ボローニャでの暴動後、メローニ首相はすぐにビデオメッセージで閣僚会議により新たな治安法令を決定したことを発表した。 
 
 この法令によると、デモ活動中に棒などで他者の安全を脅かす行為をした場合、2年から5年の懲役刑と最高2万ユーロの罰金刑に処する、ソーシャルネットワークを使って暴力的なデモを扇動する者も4年から12年の懲役刑に処する、デモ中に暴力行為を行った未成年者の親にも罰金が課せられる、などである。 
 
 今回の暴動が若者(未成年者も含む)中心であり、ソーシャルネットワークを通して、集団化して暴力行為に発展したということが背景にあるからだろう。 
 
 メローニ首相のビデオメッセージは明快であり、暴力行為を許さない、また暴力行為を受けた店の人たちも必死に働いている労働者であるということや、デモをする権利を尊重するなどなどすごく共感するところもある。政府も若者の未来のために日々働いているという言葉も分かるのだが、私の娘が自分の学校のトイレが汚くて行きたくないということを聞くと、もっとこういった生活レベルのところから学校環境を改善してほしいと思う。 
 
 ここ数年で学校のシステムがコンピューター化されて、政府が色々とシステムを改善しようとしている努力は分かるのだが、学校は勉強するところだけでなく、先生と生徒たちが6時間から8時間過ごすところであり、快適に過ごせるようにする努力も必要だ。それと、義務教育なのに、小中学校の教科書は無償で支給されないのもおかしい。毎年一人200ユーロ(約3万6千円)ほど支払っている。しかも、中学校に入り、教科書が紙のものとiPadのデジタル教科書と選択できるのだが、息子はデジタル教科書がいいと言って、iPadを購入した。iPadを買うのに500ユーロ(約9万円)、さらに紙の教科書も必要だと言われ、結局最初の年は800ユーロ(約14万4千円)近く支払ったことになる。 
 
 細かいことだが、生活者としてはこういうことが日々の生活で大事なことなのだ。今回のデモでは若者たちがミラノの中心地にある「フット ロッカー」という靴の有名店を破壊して、店内にある靴を全部持って行ったことが話題になった。デモに便乗した盗難行為、また日頃のうっ憤を晴らす行為と思われても仕方ないような行為ではあるが、やはりその裏には日々の生活への不満があるのは確かであり、上記のような小さいことの積み重ねで不満がいつ爆発するか分からないところがある。法令でその不満を取り締まれると思っているとしたら、政治家たちは現実を見ていない、能天気な人たちの集まりなのだ。 


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