2017年06月09日07時20分掲載  無料記事
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安倍政権を検証する

憲法改正議論 政府は「加憲」であると言っているが、検討4項目に緊急事態条項が含まれている  改憲の本丸は緊急事態条項 = 「壊憲」である

  安倍首相が年内をめどに自民党の憲法改正案をまとめると報じられた件で、これまで報道では9条に自衛隊の地位を書き「加える」意味で、「加憲」であると伝えられている。 
 
  しかし、自民党の方針では検討項目の4つの中に、緊急事態条項が含まれており、これは真正の独裁政治に道を開くものである。つまり、本質的には「加憲」ではなく、緊急事態が生じれば日本国憲法を一時的に白紙化できる「壊憲」である。ところが、政府はあたかもこれまでの憲法改正論を大幅に譲歩して国民が賛成しやすい項目だけに絞ったかのアピールをしているのだ。そして驚くことに、メディアもこの大きな問題を正しく報じていない。 
 
  緊急事態というものは1933年のナチスの悪しき前例を見れば明白だが、政府自身が緊急事態を起こし、自ら発動する可能性がある。その場合、行政府の内閣が国会を無視して法律を自ら制定できるようになり結果的に独裁政治を行いうることになる。そして最高裁判事にも「腹心の友」が営む加計学園の関係者を送り込んだ安倍政権である。立法・行政だけでなく、容易に司法も支配し得るだろう。すでに現行の日本国憲法のもとで、司法に介入し、国会を軽視している安倍政権に憲法改正という根拠を与えれば、今すでに起きている数々の不条理な事態くらいではことが済まなくなるのは間違いない。 
 
  これは加憲ではない。本質は壊憲なのだ。一見、安倍首相が大幅に妥協したかに見せているが、そうではない。たとえて言うなら憲法の中に時限爆弾を仕込もうとしているのである。そのことをマスメディアは報じるべきだ。もう安倍政権の詐術のパターンを見破る術を身につけてよい時期である。 
 
 
村上良太 
 
 
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