2017年10月21日22時19分掲載  無料記事
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コラム

安倍首相 ありがとう そしてグッドバイ  〜特定秘密保護法強行採決からの4年間を振り返る〜

  4年前の11月末、国会(衆院)で特定秘密保護法の強行採決が行われた時に国会前にやってきてから、安倍首相の政治を今までにない緊張感を持って見てきた。そのおかげで日刊ベリタで時々に書いてきたが、民主主義について、政治について4年前とは比較にならないほど学ぶことができた。その意味で、安倍首相に「ありがとう」と言いたい。安倍首相がいなかったら、政治についても、民主主義についても、ジャーナリズムについても真剣に考えることがないまま人生を終えることになったかもしれないからだ。きっと僕のような人は少なくないに違いない。 
 
  危機感に駆られて大急ぎで読んだ一冊にジョン・スチュワート・ミルが19世紀に書いた「自由論」がある。この本は他の古典と並んで民主主義の教科書とされる一冊だ。ミルは民主主義を維持するためには反面教師役がいた方がいいと言っている。民主主義は先人たちが血を流しながらつかみ取った制度だが、その子孫たちはともすると民主主義の上に胡坐をかいてしまいがちだ。だから、いったいなぜ民主主義が必要なのか、時々、反面教師役になって人々に問いかける人が出てくる必要があると言っているのだ。 
 
  まさに安倍首相が5年間にやってきた事柄は、ミルが書いていた通りに民主主義がなぜ必要なのかを日本の市民に真剣に考えさせることになった。特定秘密保護法では言論の自由の大切さを、安保法制では選挙の持つ意味や多数決の持つ意味を、森友学園や加計学園の問題では政府と国会、裁判所の三権分立の必要性を考えさせてくれた。マスメディアと首相の寿司屋での会食はジャーナリズムと権力の関係を考えさせてくれた。反面教師役が教室の一教師ではなく、行政の最高権力者である首相だったために、本気で勉強しないとやばいことになる、という緊張感を私たちに与えてくれた。 
 
  安倍首相はもしかしたら、天使なのかもしれない。自由と民主主義に胡坐をかき、自分で考えることをやめ、政治を他人任せにしてきた日本人の弛緩しきった精神が目覚めるための喝を入れに地上に降り立った天使ではなかっただろうか。極端なたとえをすれば、そんな気すらしてくるのである。そして、そろそろこの素晴らしい先生から卒業してもいい頃だと思う。大学は基本的に4年間なのだから。 
 
 
村上良太 
 
 
■選挙の問題点 〜民意をもっと反映する選挙制度へ〜小選挙区制の見直し、会期末に全法案に対する国民投票(チェック制度)、若者の政治参加 
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■ジョン・スチュアート・ミル著「自由論」 
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■独断と偏見の読書ガイド 10日間・国民投票までに読みたい7冊 
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■ジョン・ロック著 「統治二論」〜政治学屈指の古典〜 
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