2019年01月21日02時10分掲載  無料記事
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国際

今中東でここが知りたい  シリアとイラクにおける「イランの影響力」の実像

  今後のトランプ政権の中東政策を見通すうえで要となるのがシリアとイランにおける米軍とイラン軍あるいはイランの影響力のあるシーア派民兵の力関係です。新聞を読んでもなかなか現状がつかみにくいのがこの点です。実はイラク戦争終結間もないころから、イランの影響力についてはいろいろ書かれてきました。日刊ベリタでも平田伊都子氏が初期から触れています。しかしながら、中東の現場でイランの影響力が具体的にどのようなものなのかはなかなか知る機会がありません。 
 
  今、トランプ政権の政策はイスラエルの国益と深くリンクしており、つまりはイランの核兵器開発を完全に止めることと、中東でのイランの影響力を払拭することにあります。そのためには戦争も辞さない姿勢のようです。その場合は日本も巻き込まれるでしょう。トランプ政権はオバマ政権が構築してきたイランとの外交を全部ひっくり返そうとしています。 
 
  イランが正義か悪かといった価値判断は別として、現地で何が進行しているのか、このあたりのルポが必要でしょう。日本人が危険で立ち入れないとしても、現地ジャーナリスト(ストリンガーと呼ばれる)を通した取材と言う可能性もあるはずです。この点では日刊ベリタも全然できていないのですから、他のメディアを批判する資格はありません。 
 
  ニューヨークタイムズはホワイトハウスのボルトン氏の要求に対して、マティス国防長官が反対してイランへの報復のミサイル攻撃を行わなかったとされますが、そのマティス国防長官も辞任しました。報道によればマティス国防長官はトランプ大統領が決定したシリアからの米軍撤退(約2000人と推定される)に反対していました。これは未だイスラム国戦闘員が息を吹き返す可能性もあり、またクルド人兵士を保護する必要もあるからとされます。それではなぜトランプ大統領が撤退を決めたのか。それを見極める鍵がシリアでのイランの軍事勢力と米軍あるいはシリア軍との関係のように思われます。 
 
  もし米国がイランと戦争になればシリアやイラクに駐留する米兵はイラン軍事勢力との地上での戦いに縛られる可能性があり、米兵が大量に捕虜になる可能性もあるように思われます。これは米政府にとっては1979年に起きたイランのホメイニ革命の悪夢の再来でしょう。あの年、イランの米大使館員が学生あるいはイラン革命軍によって人質に取られました。これが2013年にオバマ政権がイランとの国交を回復するまで34年にわたって国交断絶が続いた理由でした。そうした可能性を避けて、イラン空爆の可能性をより確実にして、イランにプレッシャーをかけるつもりではないか。米政府にとってはイスラム国よりもイランの方がはるかに重要なのではないか。これは妄想かもしれませんが、しかし、米国の中東政策が今、非常に動いていることだけは確かのようです。 
 
 
■トランプ政権の危険性  イランとの戦争前夜  そしてマティス国防長官の辞任 (2019年) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201901160657583 
 
■英国がテヘランの大使館を閉鎖 外交官引き揚げ イランにも求める  イラン人が英大使館秘密資料を持ち逃げか(2011年) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201112010027354 
 
■イラン包囲網 〜5ヵ国の合同作戦が仏誌で報じられる〜(2010年) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201012132316461 
 「ウィキリークスが紙面を大々的に飾ったのは11月30日だった。その直後に出た12月2日―8日号のル・ヌーベル・オプセルバトゥール誌(フランス)には「イランに対する秘密の戦争」(Le 05 decembre 2010 、La guerre secrete contre le programme nucleaire iranien)と題された特集記事が出た。記事ではイスラエル、アメリカ、フランス、ドイツ、英国の情報機関が連携し、必死になってイランの核開発阻止を目指している話が紹介されている。「影の戦争のキーマン」として紹介されているのは以下の5人である。Leon Panetta (オバマ政権のCIA長官)、 Meir Dagan(シャロン政権時代にモサド長官になり、対イラン作戦に従事)、Sir John Sawers (英国の情報機関 MI6長官)、Eard Corbin de Mangoux (フランスの情報機関DGSE長官)、Ernst Uhrlau (ドイツの情報機関 BND長官)。・・・」 
 
■ウィキリークスとイランのミサイル技術(2010年) 
 
  「今回、ウィキリークスが流した一連の米外交公電の中で、最もインパクトが大きかったのはイランが北朝鮮からミサイル19基を入手したという今年2月24日の公電と、サウジアラビアがイラン攻撃をアメリカに勧告していた、という公電であろう。」 
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