2026年03月02日19時07分掲載  無料記事
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中東

核議論は見せかけ、主目標は現政権打倒 米、イスラエルのイラン攻撃

 先ほど[1]の論考は、2007年のもので、イランでなくイラク戦争に関係して論じたものでした。現在は、イランが問題です。この問題を考えてみましょう。(落合栄一郎) 
 イランは、イスラエルの東方、そして北へは、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージアを経由してロシアに繋がっている。したがって、イスラエルの拡大、そしてロシアへの侵略の拠点となりうる。それと、もう一つ、石油資源が豊富である。これらの理由が、アメリカ(イスラエルの後押し)がイランを自分たちに好都合な国にしたい理由である。こうした意識は、先の論考にも述べたように、アメリカの拡大意識そのもので、それを軍事で実現しようとするのがアメリカであり、欧米諸国の帝国主義的植民地政策の継承である。 
 一方、イスラエルは、核兵器をかなり大量に作り保有している。この事実を、欧米諸国は黙認している。この点では、イスラエルは、アメリカの後押しもあって、軍事的に優位にある。しかし、イランは、技術的にかなり進歩した国家であり、核兵器を持とうとすれば、ほとんど直ちにできるであろう。ここで、何が問題か。イランが核兵器で中近東を支配する?そのような意図は、持っていない。ただ単に、イスラエルの拡大意識を抑え込むために、核兵器を持つぞと言う意識は持っているであろう。 
 この点に関して、イランは核兵器を持った方が良い、と言う論が文藝春秋2025年9月号に掲載された。エマニュエル・トッドとの「イランの核武装は何の問題もない」という文章である。根本的な指摘は、イスラエルもイランも核武装すれば、互いに警戒して、武力衝突には至らないだろうという指摘である。いわゆる冷戦期には、大国同士(ソ連とアメリカ)が大量の核兵器を所有していたため、軍事衝突を回避できていたために平和が持続できたからと。 
 勿論、核兵器の根本的危険性は、こうした国家間の探り合いを超えて存在する。議論するまでもないであろう。さて現在のイラン問題はどこにあるのであろうか。多くの方はご存知でしょうが、説明しておきます。核兵器の原料は、ウランですが、ウラン (U)には、いくつかの種類(同位体という)があり、主として、U-233, U-235, U-238というのがあります。原爆、原発に使われるのは、U-235というものですが、天然にあるウランの大部分は、U-238で、U-235は、0.07%ほどしかありません。このような天然ウランで原発を動かすこともできる原発(カナダのCANADOが例)もあるのですが、大部分の原発では、U-235がウラン原料の3%ぐらいまで濃縮したものでないと機能しないので、濃縮作業が大変です。原爆となると、U-235が90%ぐらいのものでないと、爆発的な反応はしないのです。 
 現在のイラン問題の基本は、このウランの濃縮問題です。IAEAなど原発を差配する施設では、イランでは、ウランを60%ぐらいまで濃縮していると発表している。そして、イランは、だからと言って、これから核兵器を造ってはいないとしているし、IAEAもそれを認めているようです。アメリカ・イスラエル側は、いや、核兵器まで進行しているのではないかと疑っている。昨年の夏のアメリカ・イスラエルによる爆撃では、こうした濃縮施設を爆破したようである。 
 そこで、今回のイラン攻撃である。アメリカ・イスラエル側は、こうした核濃縮を含めた核問題を主体に議論した。いや議論は、いかにもイランの言い分をなんとか聞こうという態度を見せただけで、軍事的攻撃により現政権を倒し、アメリカ・イスラエルに好都合な政権を打ち立てることが目的であった。これは、イスラエル(アメリカが後押し)の中東拡大の一歩であろう。 
 
[1] http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202603011255590 


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