2017年01月28日03時12分掲載  無料記事
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社会

昨年フランスを揺さぶった異議申し立て運動「立ち上がる夜」と難民支援運動についてアリーヌ・パイエさんに聞く Interview : Aline Pailler "sur Nuitdebout " 

今、厳寒のパリで難民支援活動「紅茶と珈琲を難民へ」を行っている放送ジャーナリストのアリーヌ・パイエ(Aline Pailler)さんは、昨年、共和国広場から始まり全国に広がった「立ち上がる夜」(Nuitdebout ニュイ・ドゥブ)という、広場で行われる市民討論に毎日足を運んでいました。「立ち上がる夜」は社会階層や学歴、職業などに関せず、参加者は自由かつ公平に自分の意見を述べることができる場でした。そこでは政治や経済のあり方、住宅問題、難民問題、性差別、教育問題、ジャーナリズムの問題などなど様々な問題が積極的に論じられました。このような広場が生まれた背景にはテレビや新聞・雑誌などに自分の声が反映されていない、社会のリアルな姿や問題がきちんと伝えられていないといった思いを多くの市民が共有していたからでした。そしてまたインターネットでも単純に賛否両論で別れるだけで、討論の機会もない・・・そんな閉塞感があったと言われます。実際に広場に足を運んで、自分も討論の輪に入り、他人の意見を聞き、自分の意見を述べる。こうした当たり前のことがもう何十年と行われていなかったことに人々は気づき始めました。この「立ち上がる夜」が始まったのは去年の3月31日でもうじき1年を迎えます。この運動は発端となった労働法改正案が国会通過した後、どうなったのでしょうか?そして、またそこに参加していたアリーヌ・パイエさんにとって、どのような意味があったのでしょうか?引き続きおうかがいしました。 
 
(以下はアリーヌ・パイエさんへのインタビュー) 
 
1, Apres 49-3 et la legistration de la loi El Khomri, comment s'est developpe la nuit debout ? 
 
Q ヴァルス首相による憲法49条3項の適用と労働法改正法案の成立以来、「立ち上がる夜」はどの後、どうなったのでしょうか? 
(※国会審議を打ち切り、多数決もしないで法案を内閣の権限で通すことができる一種の禁じ手である憲法49条3項の適用により労働法改正法案が強硬に成立させられた。ヴァルス首相は2015年にも同じ手法を使っており国会軽視の批判が高まっている) 
 
  IL Y A EU PLUSIEURS . 49.3 QUI ONT CHAQUE FOIS DECHAINE PLUS LES MANIFESTANTS ET LES MANIFS ETAIENT DE PLUS EN PLUS VIOLENTES.DEPUIS AOUT ON VA DIRE QUE ND N'ECISTE PLUS. IL N'Y AVAIT PLUS BEAUCOIP DE MONDE SUR LES PLACES ET SEULS RESTAIENT LES GENS PLUS "organises". 
 
   さまざまなことがありました。憲法49条3項が適用されるたびにより多くの市民の抗議が起こり、その抗議も日ごとに強烈になっていったのです。去年の8月以来、「立ち上がる夜」は存在しないと言えるでしょう。共和国広場にはその後、あまり人が集まらなくなってしまいました。残っていたのは”組織化された人々”(「立ち上がる夜」の中にテーマごとに様々な討論のミニグループが生まれた)が多かったのです。 
 
  EN TANT QU'ELAN MASSIF ET SANS AUTRE PROJET QUE DE REPRENDRE LA PAROLE ET L'ESPACE LE MOUVEMENT N'EXISTE PLUS. MAIS L'ESPRIT RESTE. MAIS QUAND ET SOUS QUELLE FORME REPRENDRA- T- IL, mystere. LES GENS ONT SENTIS TRAHIS ET MEPRISE ET CELA DE RETEOUVERA 
 
   多くの人々の爆発的な参加があり、また言葉と広場を民衆が取り戻すという意味においては今日「立ち上がる夜」という運動はもう存在しません。しかし、「立ち上がる夜」の精神は今も健在です。ただ、いつ、どのような形でそれが再び顔を見せるのかはわかりません。人々は(政府に)裏切られ、馬鹿にされたと感じました。その思いは繰り返されるでしょう。 
 
2, Nuitdebout a donne influence sur votre activite " The et Cafe pour la refugie " ? 
 
Q 「立ち上がる夜」での経験は今、取り組んでいる難民支援活動「紅茶と珈琲を難民に」に影響を与えたと言えますか? 
 
EN FAIT PENDANT ND ON QUITTAIT SOUVENT LA REPUBLIQUE POUR ALLER SOUTENIR LES SANS PAPIERS ET SANS LOGIS ET LES MIGRANTS. 
 
  実際に「立ち上がる夜」をやっていた頃、集まった人々はしばしばサンパピエと呼ばれる移民の不法滞在者・労働者やホームレス、難民の人々を支援するために共和国広場を後にしてそれぞれの現場へと駆けつけていったものでした。 
 
  PUIS AVEC DES AMIS RENCONTRES DANS ND ET LES MANIFS ON A DECIDE D'APPORTER UNE AIDE TRES CONCRETE AUX REFUGIES. L'EUROPE, LA FRANCE ET PARIS DEVRAIENT ETRE CONDAMNEES POUR NON ASSISTANCE VOIRE POUR HARCELEMENT ET NEGLIGENCE METTANT LA VIE D'AUTRUI EN DANGER! DONC NOUS FAISONS CE QUE L'ETAT NE FAIT PAS MAIS NOUS NE VOULONS PAS FAIRE QUE DE L'HUMANITAIRE MAIS AUSSI DE L'ACTION POLITIQUE! 
 
   そして「立ち上がる夜」で出会った仲間たちやデモの参加者たちとともに難民たちのために具体的な支援をすることを決めました。欧州連合、フランス、そしてパリ市は苦難にある人々への支援をしぶっただけでなく、さらに、彼らをしつこく取り締まろうとし、放置さえしたことによって彼らの命を危険にさらしたという点で非難されるべきでしょう!私たちがやっている難民支援活動は本来、国がやるべきことなのです。ただ、私たちは人間的であるために支援活動を自ら引き受けざるをえないのです。しかし、この取り組みは同時に政治行動でもあるのです! 
 
3, Que -pensez-vous sur la nuit debout ? . 
 
Q「立ち上がる夜」という運動のことをどうお考えでしょうか? 
 
  ND A ETE UN MOMENT EXTRAORDINAIRE ET INEDIT EN FRANCE. UN ENORME ESPOIR EST NE SUR LES PLACES PARTOUT EN FRANCE. LES GENS SE REAPPROPRIAIENT LA PAROLE ER L'ESPACE PUBLIC! CELA A PERMIS A DES GENS DE PARTAGER DES IDEES DE SE POLITISER DE SE RESTAURER DANS LEUR DIGNITE ET AVEC JOIE EN PLUS! 
 
「立ち上がる夜」はフランスにはこれまでなかった素晴らしい瞬間だったと思います。とてつもなく大きな希望が生まれました。共和国広場だけでなく、フランス各地にです。人々が再び言葉を取り戻し、公共の広場を取り返したのです!それによって人々は考えを分かち合い、政治意識を高め、自己の尊厳を回復することができたのです。そしてそれがさらに、喜びを伴っていたのでした! 
 
  C'ETAIT BIEN CETTE LIBERTE ET CETTE FIERTE QUI ETAIT SUBVERSIVE ET QUI FAISAIT PEUR AU POUVOIR MAIS AUSSI AUX PARTIS, SYNDICATS ET ASSOCIATIONS! ON DEBORDAIT LES CADRES! C'EST POUR CELA QUE LA REPRESSION N'A PAS CESSEE ET NOUS AVONS ENCORE DES CAMARADES QUI ATTENDENT LEUR PROCES!  CE QUI A ETE SEME LA NE S'EVAPORERA PAS ET ATTEND DE SORTIR A NOUVEAU DE L'OMBRE... JE SUIS IMPATIENTE! 
 
 
   私たちのあの自由、あの誇らしさは体制を覆すものであり、それゆえ、権力者を震え上がらせたばかりでなく、さらには諸政党や労働組合、様々な組織すらをも揺るがしたのです!私たちは既存の枠組みからはみ出したのです!だからこそ、弾圧がとどまることなく、また私たちの仲間たちが現在も裁判を待っているわけなのです!しかし、蒔かれた種は消えることはなく、新たに日陰から再び世に出てくるのを待っているのですよ・・・私はそれを待ち焦がれています。 
 
 
Aline Pailler  アリーヌ・パイエ 
放送ジャーナリスト 元欧州議員 
ラジオ放送局France Culture などで活躍 
 
 
Interview 
Ryota Murakami 
村上良太 
 
 
■パリで難民支援運動「紅茶と珈琲を難民に」を立ち上げた女性に聞く アリーヌ・パイエ氏、放送ジャーナリスト・元欧州議員 〜私はなぜ今年は投票しないか〜 Interview : Aline Pailler #2 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201701161956361 
 
■パリで難民支援運動「紅茶と珈琲を難民に」を立ち上げた女性に聞く アリーヌ・パイエ氏、放送ジャーナリスト・元欧州議員 Interview : Aline Pailler ( Journaliste , ex- deputee europeenne) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201701161355511 
 
■パリの難民支援の輪  「紅茶と珈琲を難民に」(The et Cafe pour les refugies ) その2  衛生用品、パン、生きるための諸情報 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201701131702075 
 
■パリで難民に食糧を支援する市民の運動 「紅茶と珈琲を難民に」 The et Cafe pour les refugie 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201701130839015 
 
■パリの「立ち上がる夜」 フランス現代哲学と政治の関係を参加しているパリ大学准教授(哲学)に聞く Patrice Maniglier 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201605292331240 
 
■パリの「立ち上がる夜」 市民が自前で広場に設置したテレビ局「立ち上がるTV」の人気インタビュアー Marjorie Marramaque 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201605290351570 
 
■フランスのレピュブリック広場で続く人々の大討論会 'Nuitdebout'(立ち上がる夜) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201605261957504 


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